SSブログ

『世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント』 [仕事の小ネタ]

世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント【第3版】

世界一わかりやすいプロジェクト・マネジメント【第3版】

  • 作者: G.マイケル キャンベル、サニー・ベーカー
  • 出版社/メーカー: 総合法令出版
  • 発売日: 2011/07/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容紹介
◆世界中のプロジェクト・マネジメントのプロが推薦する本格的入門書の決定版
◆あらゆる事態を乗り越えてプロジェクトを成功させる具体的なノウハウやツールが満載
◆優秀なプロジェクト・マネジャーとしてチームをまとめていくアイデアを実践的に提供

海外の空港等で書店にふらっと立ち寄ると、よく置いてあるのが「The Complete Idiot's Guide(完璧なおバカ向けガイド)」のシリーズのペーパーバックである。この手のガイドブックにはあまり食指が伸びないというか、今さら感もあるため、ほとんど読んだことがなかったのだが、2年ほど前に某雑誌で本書を薦める記事があり、その時点では既に中古本も出回っていたので1冊買って積読にしておいた。

今さら読む気になったのは、最近、プロジェクト・マネージャー(以下、プロマネ)の仕事について考えさせられる機会があったからだ。1月末、ブータンでは無償資金協力で建設された国道1号線の2橋の引渡式が開かれた。その模様は新聞でもテレビでも取り上げられ、僕もよく買い物に行く近所のゼネラルストアのおっちゃんから「おい、あの橋スゲーな」と興奮気味に言われて、自分のことのように鼻が高くなった。実際、あの素晴らしい橋の建設をほぼ工期通りに進行させたのは現場の大日本土木の方々であり、日本のゼネコン企業のプロジェクト・マネジメントの素晴らしさをまざまざと見せつけられた。

一方で、別のプロジェクトでは、今年は上院下院とも国政選挙が予定されており、進捗に遅れが生じるので、何をやって、何をやらないかを今議論している。選挙管理委員会から、2月から5月、8月から10月の期間、大衆を動員するようなパブリックイベントの開催は自粛するよう各政府機関に通達が出ている。2月16日付のクエンセルによると、上院議員選挙の投票日は4月20日に決まったらしい。一見不可抗力だと納得してしまいそうな話なのだが、2年以上前から始まっているこのプロジェクトの場合、関わっているブータン人は、なんで5年前の総選挙の際の経験を踏まえて、2018年に起きるプロジェクトへの影響を予測して予め対策を講じることができなかったのだろうか?ちょっと疑問に思えてきた。

「有能なプロジェクト・マネージャーはリスクを先取りして考えます」と本書には書かれている。それじゃこのプロジェクトのマネージャーって誰だったのだろうか。肩書として「プロマネ」と付いている奴はいたが、人事異動で途中から入ってきたので、プロマネの役割について十分理解しているようではなさそうだ。このプロジェクトをどうやったら終了に導けるのか、どうやってプロマネを盛り立てればいいのか―――ステークホルダーの1人としては、そのあたりを考えてみるための刺激物として、今この本を読んでみようと考えた。

500頁近くもある分厚い本だが、書かれている内容はやさしく、そのくせ非常に実践的である。プロジェクトの局面局面において、必要なところを再度読み直すようなやり方が今後必要になると思われるが、その一方で第3章「ゲームのルール」は、備忘録としてここに多少エッセンスを挙げておいてもいいかもしれない。

【プロジェクトの成功基準】
 1.プロジェクトを期限内に完成する。
 2.プロジェクトを予算内で完成する。
 3.プロジェクト・チームとステークホルダーが合意した品質目標を満足する。

【プロジェクトの失敗の主原因】
 1.プロジェクト・マネジメントやプログラム・マネジメントのやり方がまずい。
 2.経営陣からの支援が不足している。
 3.ビジネス戦略に結びつかない。
 4.メンバーのスキルが不足している。
 5.プロジェクト成功の判断基準がない。
 6.しっかりしたリスク戦略がない。
 7.変革をマネジメントできない。

【プロジェクト成功の12の黄金律】
 1.成果物について合意を得る。
 2.最良のチームを育てる。
 3.しっかりしたプロジェクト計画書を作り、更新を怠らない。
 4.本当に必要な資源を判断する。
 5.現実的なスケジュールを作る。
 6.できる以上のことはやらない。
 7.常にヒトを大切にする。
 8.正式な支援を取り付け、継続して確認する。
 9.変更を躊躇しない。
 10.現状を周知する。
 11.新しいことに挑戦する。
 12.リーダーとなる。

うわぁ、頭が痛い。これって正論で、その多くがくだんのプロジェクトにも当てはまるような気がする。それに、もっと強く感じたのは、これって僕自身の仕事にも通じるところではないか。まあ僕自身がプロマネをやってるわけじゃないものの、定常業務をやっている中においても、作業期限を意識しなければならないものもあるし、人を雇わなければ進められない作業もある。チーム内のコミュニケーションの取り方も、本書は参考になる。そして、「プロジェクト日誌を付ける」は、僕が付けている毎日の日記がそれに相当するが、「最終報告書の執筆」や「プロジェクト終了半年後の振り返り」等は、僕の仕事の一環として、今後ちゃんとやらねばいけないなと改めて感じた。

原書はこちらから。訳本は第三版だが、原作は既に第五版にまで発展しているようだ。

The Complete Idiot's Guide to Project Management, 5th Edition

The Complete Idiot's Guide to Project Management, 5th Edition

  • 作者: G. Michael Campbell PMP
  • 出版社/メーカー: Alpha
  • 発売日: 2011/06/07
  • メディア: ペーパーバック

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント