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『満鉄調査部』 [読書日記]

満鉄調査部 (講談社学術文庫)

満鉄調査部 (講談社学術文庫)

  • 作者: 小林 英夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2015/04/11
  • メディア: 文庫
内容紹介
ソ連研究の中心地であり、満洲国建国に際して経済計画の策定に注力。日中戦争期には占領地の宣撫工作と調査活動とともに、日中戦争の行方を予測する総合調査までも担った。アジア太平洋戦争開戦後は、ビルマ・マラヤの調査までも手がけたが、関東憲兵隊との摩擦により機能停止に。満鉄調査部の活動は、いまでは「日本初のシンクタンク」と評され、そのエッセンスが戦後の経済発展やアジア研究に大きく寄与した。その全貌を明かす。

―――もはや何の脈絡もない読書…(笑)。なんでまた今、この本? そう訊かれても、取りあえず2年以上積読状態で放置されていたから、としか答えられないな。元々は、辛島理人『帝国日本のアジア研究』(明石書店、2015年)を読みたかったのだが、明石書店の本は高くて手が出せなかったため、ジャンルが被る別の本として、『満鉄調査部』に手を出したのではなかったかと思う。

今は未読の文庫本自体があまり手元にない、残っている中にはページ数がかなり多いのもあるため、消去法的に言ってとうとうこの本に行き着いたというのが実態。本文だけなら190頁ぐらいしかないし、文体もやさしくて割とサクサク読めるが、書かれている内容は結構重厚で、読みごたえがある。よく調べられたなというのが率直な感想だ。

処女地の開発に向けた計画を策定するなら、これくらいの調査はやっておく必要があるというのを改めて感じた。この1、2ヵ月のうちに読んできた本には地域おこし、地域づくりに関するものが多く含まれるが、どれもその地域にどのようなリソースがあるのかを予め把握することの必要性を強調していたように思うが、それをある程度の規模で行おうとすると、これくらいの陣容で、通貨金融から、財政貿易、政治外交、産業、交通等まで、分担して調査をしていかないといけないのだろう。

勿論、ある意味これらは植民地経営を円滑に進めるための対象地理解の一環だったのだろうから、目的には賛同できないところもあるにはあるが、それは純粋な地域開発への貢献策を考えるにあたっても言えることで、実態把握はその第一歩だといえる。「地元学」のようなちょっと軽い言葉とは明らかに違うが、「地域を知る」ということにかけては通じるものがあるように思える。

だからといって、何かすぐに今の僕の仕事に役立つかといえばそうでもない。某大学の先生から著書の謹呈を受けて、日本統治時代の満州を扱った本を3冊ほどいただき、積読にしてあるが、いつかそれらを読んでみようかと思う時が来れば、それを補完してくれる文献として、本書にも再びあたってみる日が来るのかもしれない。

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