『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』 [仕事の小ネタ]
これ、いったいどうやったら売れるんですか? 身近な疑問からはじめるマーケティング (SB新書)
- 作者: 永井 孝尚
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/10/06
- メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
なぜ「あれ」は売れるのに「これ」は売れないのか。マーケティングは、勉強したいと思いつつ、つい後回しになりがちです。そこで本書は、身近な事例でマーケティングが学べる、8つの物語を収録しました。モノを売る仕事をする人にとって、マーケティングの知識は必須です。この1冊から、マーケティングに親しめば、きっと明日からあなたの売り方が変わるはずです。
先月、『売れないものを売る方法?そんなものがほんとにあるなら教えてください』という、クソ長ったらしいタイトルのソフトバンク新書から出ている本をご紹介したのだが、それをアマゾンで購入する際、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」というので、同じソフトバンク新書で、装丁も良く似ていて、しかもタイトルが同じくクソ長いマーケティングの本が出ているのに気付いた。なんとなく気になっていたのだが、一時帰国中に10冊ほど本をブックオフに持ち込んで買い取ってもらった小金で、ついつい本書も買ってしまった。本書の最終章では、まさにこのブックオフの競争戦略が紹介されているが、まさにそのマーケティング戦略に引っかかった自分がいる。
元々中古で買った本だが、買って良かったと思う。理解しやすくてコスパは相当に高い。各章とも腑に落ちる記述が多くあったが、その中でも最も自分の問題意識にフィットした2点のみ今回はご紹介する。
1つめは、「商品中心のプロダクトアウトは失敗する」と明確に言い切っている点。商品開発は、先ずお客さんが何を必要としているかを考えることが出発点であるべきなのに、手段に過ぎない商品開発が目的にすり替わってしまっていることが多いと指摘している。商品開発の真の目的は、商品を作ることではなく、商品を使うお客さんを創り出すこと、すなわち、企業の目的とは、顧客の創造であると述べている。
ブータンだけでなく、僕が訪れた多くの国において、「ここにはこういうものがあるから、これを売りたい」という声をよく聞く。ややもすると僕も陥りやすい発想であるが、冷静に考えると、それを作って誰に売るのか、どうやって売るのかという視点が欠落しているケースが結構多いと感じる。買い手の立場に立ってもいっこうに触手が伸びないようなものを、「こんなものを作ってみました」とアピールされてもなかなか困る。日本に帰ってからでも時々発注できるようなキラリと光る良い物産もあることはあるのだが、そういうのを日本でも買えるように通販の仕組みでも考えてくれないかと要望しても、聞いてくれない生産者が多い。
2つめは、はなまるうどんのプロモーション戦略に関する記述で、お客さんの商品への思い入れが深まるにつれて、「潜在客→見込客→新規顧客→リピーター→贔屓客→ブランド信者」へと進化していくというくだり。これは、ブータンで観光誘致を考える時に結構念頭に置いておく必要があると感じるところである。これらのターゲットに合わせて、伝えるメッセージを考え、顧客ロイヤルティを高めていく戦略が必要とあるが、「ブランド・ブータン」イニシアチブなどを見ていると、どの層を狙っているのかわかりにくい戦略だなという気がしてしまう。
以上、本書に書かれていることを2点に絞ってご紹介した。いずれもわかりやすい図表が挿入されていて、非常に読みやすい。『売れないものを売る方法?~』とも併せて、2冊持っていても損はないかなと思ってしまいました。
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さて、この記事で今月は打ち止めとなります。一時帰国も手伝って、読んだ書籍は雑誌も含めて22冊にのぼり、久しぶりに20件以上の記事を書くことができました。充電がバッチリできたので、2月以降これらを吐き出すアウトプットの作業にも力を入れたいと思います。
2018-01-31 06:00
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