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再読『稼ぐまちが地方を変える』 [仕事の小ネタ]

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則 (NHK出版新書)

  • 作者: 木下 斉
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: 新書

この本とのなれ初めは2015年7月25日付けの記事で詳述している。その時の記事を読み直してみても、結構まともなことを書いている。今回は、間近に迫ってきている某地方の県知事との意見交換に向けて、日本の地域おこしの知見を少しぐらい復習しておこうと思い、週末から急遽読み直すことにしたものである。最近、地域おこしを主題とした文献を幾つかご紹介してきているが、またしても岩手県の「オガールプロジェクト」への言及が本書でもあったので驚いた。

勿論、それどれの本で「オガールプロジェクト」の捉え方、描き方が違うので、参考にはなるのだが、本書のこの部分には、示唆に富む記述が多かったので、ちょっと引用しておく。

鍵となっているのは、「消費」を目的としない集客を先に固めたこと。
地域の人の多くが必要な施設やサービスには公共性があり、さらに市場性も確保できます。これからの施設開発は、公共性と市場性が一致するという考えのもとで進めていく必要があります。(p.164)

施設はつくったからといって自動的に利用者が集まるわけではなく、営業が必要なのです。このような人に、こんな機会に使ってほしいと具体的に営業なければ、誰も活用してくれません。(中略)小さな事業をつくっていくときには、自分自身の強みを最大限活かすことが大事です。
 これは地方であればあるほど有効な戦術だと思います。中途半端な多目的施設をつくるよりは、事業を仕掛けるチームが営業可能な分野に徹底的に絞り込んだものにする。(pp.169-170)

繰り返すが、これらはオガールプロジェクトをベースに書かれている。

著者がいう「まちづくりの10の鉄則」は、前回のブログ記事でもご紹介した通りだが、その「鉄則」の詳述した箇所にもこれはという記述が幾つかあったので引用しておく。

 民間ベースでやるからこそ、誰にも気兼ねすることなく、方向性もターゲットも絞ることができる。小さく始めれば、資金規模も身の丈に合った適正なものになり、ムダに大きなものは必要なくなります。(p.96)

 私の実感では、民主的なプロセスは、民間が率先して、小さくても多様なものを世の中につくっていくことでこそ達成出来るのではないかと思います。ユニークな店は、一般的には多くの人が必要としていなくても、一部の人には確実に必要です。
 例えば10のカテゴリーがあったとします。1つの場が10を揃えるよりも、1に特化した場が10あるほうが、まちとしてはよほど魅力的ではないでしょうか。
 地域内にユニークな店や施設が増えて、多様な選択が可能になれば、総体として結果的に誰も排除されません。重要なのは、まち全体で多様性をいかに創出していくかということです。「1つの事業で全てをカバー」というような建前平等論にはもうサヨナラして、それぞれにとって本当に必要なものを多様に、多数集積していくこと。この小さな集まりこそが、住みやすいまちの実現に不可欠です。(pp.97-98)

複数のプロジェクトがある場合、同時並行的に進めるより、期間を分けて直列的に始めた方がいいと思っています。一定期間は1つのプロジェクトに集中するのが、いい仕事をする秘訣です。そのうえで、3カ月経ったら総括し、継続するなり、次のプロジェクトに移るなり決めればいいのです。(p.141)

最後に、本書では相当頻繁に「営業」の重要性を謳っている。いくら良いものを作ったからといって、営業努力が全くないと、消費者は買ってくれないし、その地域に足を運んでくれない。

本来の雇用は、経済活動を通じて生み出されるもので、地域内雇用の基本は外貨獲得産業とそれに関連する産業、そして内需型(地域内消費型)の3つで構成されています。
 (中略)
 外貨獲得になるのは、地元からモノを出していくか、サービスを出していくか、人を出していくか、のどれかになります。地元に山があれば木材を製品加工して外に販売する事業があり、他地域に飲食店を進出させることも出来、さらに地元で培った取り組みのノウハウを地域外に教えに行くこともできます。
 外貨獲得で重要なのは、「営業」です。そこだけでしか手に入らない特産品を地域外に出していくにしても、画期的な技術やアイデアを地方に持ってきたとしても、営業ができなければ、宝の持ち腐れです。
 「売れている地域」は、消費地に先回り営業を行い、販売ルートを開拓してから、生産に着手しています。(pp.187-188)

以上、今回は引用を中心に再読書籍の紹介をさせてもらった。う~ん、いい話のネタが多いな。

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