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『2011年の棚橋弘至と中邑真輔』 [読書日記]

2011年の棚橋弘至と中邑真輔

2011年の棚橋弘至と中邑真輔

  • 作者: 柳澤 健
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/11/16
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
「プロレスは最強の格闘技」というアントニオ猪木の思想は、総合格闘技の出現によって、完全に否定された。新日本プロレスは猪木から離れ、格闘技とは異なる、プロレスだけが持つ魅力を求めていくことになる。その中心にいたのが棚橋弘至と中邑真輔だった。だが、ふたりが歩んだのは、果てしなく続くイバラの道だった―。

発売日をご覧いただければわかる通り、これ、出来立てホヤホヤである。ゆえに、あまり書きすぎるとネタバレになる。ここまで1週間以上、お堅い話題ばかりを続けてきたので、ちょっと息抜きにでもと思い、久々に読んだ本の紹介をする。

ブータンに来て、娯楽も何もないこの国で、僕がハマっているのがケーブルテレビで見られるWWEロウ、スマックダウン、NXTといった一連のテレビショーである。最初はロウやスマックダウンは見ていなかったのだが、週末にだけ見られるNXTで、日本人レスラーが活躍しているのを知り、久々にプロレス番組を見るようになった。最初に見たのは女子戦線で連勝街道驀進中だったアスカ選手だったが、当時男子のNXTチャンピオンだった中邑真輔選手にも気付いた。その後、中邑選手の方が先に今年4月に1軍スマックダウンに昇格し、アスカ選手も10月にロウで1軍昇格を果たした。2人とも、今週末に行われる年1回のロウ-スマックダウン対抗戦「サバイバル・シリーズ」に両軍の主力選手として出場する。

元々1980年代に馬場、猪木の試合を、全日本、新日本を問わず、お茶の間でテレビ観戦し、時々蔵前大会や後楽園ホール大会等を見に行っていた僕だったが、新日のテレビがゴールデンタイムから姿を消して以降も、断続的にではあるが深夜の番組を見たりはしていた。スポーツ新聞も全く読んでなかったわけでもないから、棚橋弘至選手が女性トラブルで背中を刺された事件も、中邑選手が新日本プロレスを退団してWWEと契約するニュースも、まんざら知らなかったわけではない。特に、中邑選手の場合は、2000年代はじめの総合格闘技のブームの頃、そういう場に新日所属選手として出て行って総合の選手と試合しているのをテレビ中継で何度か見ていた。それだけに、こちらに来てテレビで中邑選手の試合が見られるのも何かの縁かなと思う。

ただ、僕が20年以上もプロレスを見ないでいる間に、新日本プロレスの内部で起こっていたことはよく知らなかったし、そこまで新日が低迷した時期があったというのも知らなかった。新日の試合については2004年頃の棚橋・中邑戦というのをスポーツ新聞の記事で見かけたことはあるが、もっと最近の2013年頃になると、中邑選手のルックスが豹変していたことにえらく驚いた。テレビのCMで「Yaoh」と叫んでいた頃だ。同じテレビのイメージだけで行ったら、総合格闘技の頃の無口なイメージと、今の表情豊かなイメージとでは180度違う。

そうした僕自身のプロレス空白期に、新日本プロレスが大変な苦境を迎えていた話、そして、それを、棚橋、中邑両選手が、各々のアプローチで変えようとしていく過程の話、「2011年の~」とは謳っているけれど、両選手の半生が描かれている、読み応えのある1冊だ。僕らの世代は僕自身もそうだが絶対的な「猪木信者」が多いと思うが、このアントニオ猪木を相対化して、猪木のくびきから新日本プロレスが自立していく過程を描いたストーリーとも言える。

最近の新日の試合を実際に見ているわけではないが、猪木の全盛期にさんざん馬鹿にしていたアメリカンプロレスも、今のWWEを見ていると、一部の巨大選手(ローマン・レインズやサモア・ジョーあたり)のパワー偏重のプロレス以外は、相当スリリングで高い技術力を求められる試合をやっているように思える。僕らが若かった頃よりも、日本とアメリカのプロレスは接近してきているというのを感じる。中邑選手のプロレスのスタイルは、新日にいた頃とWWEにいる今とでは大きくは変わらないというから、新日の今のプロレスの活況も、なんとなくは想像できる。

スミマセン。この記事書きながら、棚橋選手への言及が少ないのが気になった。でも、彼僕の近所の岐阜県大垣市出身だから、気にはなっていたのです。若気の至りのようなトラブルを昔起こしていた頃のイメージが強いから、彼が既に40歳だというのにも驚いたが、本書の中でも登場する世界最高のプロレスラー、A. J.スタイルズだって、今や現役バリバリ。今週末の対抗戦にはWWEチャンピオンとして出場し、ブロック・レスナーと対戦する。まだまだ老け込む歳でもないだろうし、頑張ってIWGPインターコンチネンタル王座の防衛を続けていってほしい。

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