ブータンの投資環境を評価する（２） [ブータン]
ブータン、ビジネス環境ランキングを下げる
Bhutan slips in ease of doing business ranking
Kuensel、2017年11月3日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/bhutan-slips-in-ease-of-doing-business-ranking-2/
【ポイント】
次の2年間でランキングを50位以内にまで上げるとする政府の公約とそれに基づく各種改革にも関わらず、世界銀行の国別ビジネス環境ランキング（Doing Business 2018）において、ブータンは3年連続でランクを下げ、75位となった。2015年は70位だったため、そこからのランクは71位（2016年）、73位（2017年）、そして75位へと下がっている。但し、世銀は2015年に評価方法を変更しており、旧評価法にのっとった場合、2015年のランクは124位であった。
75位というランクは、南アジアでは最高位。インド100位、ネパール105位、スリランカ111位、モルジブ（136位）、パキスタン（147位）、バングラデシュ（177位）、アフガニスタン（183位）である。
起業については、ブータンは88位にランクされた。ブータン国内で起業するには8つの手続きが必要で、トータルで約12日を要する。
建設許可取得については、82位。21段階の手続きがあり、約150日を要する。
電気敷設については、56位。4段階の手続きがあり、51日を要する。
財産登記についても、56位。3段階の手続きに77日を要する。
政府が取組みをさかんにアピールしている融資獲得については、77位。
また、政府は少数株主の保護を強化したが、ランクは124位に留まった。
最もランクが低かったのは、企業倒産時の処理の行いやすさで、168位に留まった。これは、過去そのような事例がなかったからである。
但し、ランキングが良ければ外国企業の直接投資（FDI）が保証されるというものでもない。世銀のこの調査は、ビジネス活動を行う際のその国の規制枠組みの整備状況を見るものであるからだ。また、これらの変数は、有限責任会社（LLC）を評価対象としている。ブータンの場合、LLCのほとんどが株式市場に上場している企業ということになる。このことは、中小企業の場合はこの評価内容と実態が異なる可能性があることを示唆する。このため、世銀では他の調査も行われている。
因みに、ビジネス環境ランキングの上位には、ニュージーランド、シンガポール、デンマーク、韓国、香港、米国、英国、ノルウェー、ジョージア、スウェーデンが並んだ。
毎年この時期恒例となっているのが、世銀によるDoing Business調査結果の公表である。最近、ブータンで会社設立するにはどうしたらいいのかと考えることがあり、そういう目で見直した時、既に1週間遅れではあるけれども、この記事はちょっと有用度が増した気がする。その一方で、この調査がLLC対象ということは、ブータンの場合はせいぜい上場21社程度であることを考えると、スコープとしては相当狭いということも、記事を読んでわかってしまった。
世銀Doing Business 2018のブータンURL：http://www.doingbusiness.org/data/exploreeconomies/bhutan
また、記事では中小企業も含めた投資環境は世銀の別のレポートを参照せよと示唆しているが、確かに、9月下旬に投資環境調査レポートが出ていて、このブログでもご紹介したことがある。
http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2017-10-08-1
因みに、上位10カ国は記事でも言及されているが、日本は何位だったのか興味がわき、世銀HPで調べてみた。なんと、34位であった。それを考えると、ブータンって、そんなに悪いとは思えないんですけど。
それにしても、こういう国際比較ランキングが出ると、やれブータンは何位だったのかと、やたらとメディアは取り上げる。外面をすごく気にしている国だなと思う。南アジア域内で何位だったのかとか、下を見てはいたずらに下位の国のランキングを詳述するのもどうかなと思う。アフガニスタンやパキスタンがそれに抗議してくることはないだろうが、こういう国と比較してだからどうだというのだろうか。
Bhutan slips in ease of doing business ranking
Kuensel、2017年11月3日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/bhutan-slips-in-ease-of-doing-business-ranking-2/
【ポイント】
次の2年間でランキングを50位以内にまで上げるとする政府の公約とそれに基づく各種改革にも関わらず、世界銀行の国別ビジネス環境ランキング（Doing Business 2018）において、ブータンは3年連続でランクを下げ、75位となった。2015年は70位だったため、そこからのランクは71位（2016年）、73位（2017年）、そして75位へと下がっている。但し、世銀は2015年に評価方法を変更しており、旧評価法にのっとった場合、2015年のランクは124位であった。
75位というランクは、南アジアでは最高位。インド100位、ネパール105位、スリランカ111位、モルジブ（136位）、パキスタン（147位）、バングラデシュ（177位）、アフガニスタン（183位）である。
起業については、ブータンは88位にランクされた。ブータン国内で起業するには8つの手続きが必要で、トータルで約12日を要する。
建設許可取得については、82位。21段階の手続きがあり、約150日を要する。
電気敷設については、56位。4段階の手続きがあり、51日を要する。
財産登記についても、56位。3段階の手続きに77日を要する。
政府が取組みをさかんにアピールしている融資獲得については、77位。
また、政府は少数株主の保護を強化したが、ランクは124位に留まった。
最もランクが低かったのは、企業倒産時の処理の行いやすさで、168位に留まった。これは、過去そのような事例がなかったからである。
但し、ランキングが良ければ外国企業の直接投資（FDI）が保証されるというものでもない。世銀のこの調査は、ビジネス活動を行う際のその国の規制枠組みの整備状況を見るものであるからだ。また、これらの変数は、有限責任会社（LLC）を評価対象としている。ブータンの場合、LLCのほとんどが株式市場に上場している企業ということになる。このことは、中小企業の場合はこの評価内容と実態が異なる可能性があることを示唆する。このため、世銀では他の調査も行われている。
因みに、ビジネス環境ランキングの上位には、ニュージーランド、シンガポール、デンマーク、韓国、香港、米国、英国、ノルウェー、ジョージア、スウェーデンが並んだ。
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毎年この時期恒例となっているのが、世銀によるDoing Business調査結果の公表である。最近、ブータンで会社設立するにはどうしたらいいのかと考えることがあり、そういう目で見直した時、既に1週間遅れではあるけれども、この記事はちょっと有用度が増した気がする。その一方で、この調査がLLC対象ということは、ブータンの場合はせいぜい上場21社程度であることを考えると、スコープとしては相当狭いということも、記事を読んでわかってしまった。
世銀Doing Business 2018のブータンURL：http://www.doingbusiness.org/data/exploreeconomies/bhutan
また、記事では中小企業も含めた投資環境は世銀の別のレポートを参照せよと示唆しているが、確かに、9月下旬に投資環境調査レポートが出ていて、このブログでもご紹介したことがある。
http://sanchai-documents.blog.so-net.ne.jp/2017-10-08-1
因みに、上位10カ国は記事でも言及されているが、日本は何位だったのか興味がわき、世銀HPで調べてみた。なんと、34位であった。それを考えると、ブータンって、そんなに悪いとは思えないんですけど。
それにしても、こういう国際比較ランキングが出ると、やれブータンは何位だったのかと、やたらとメディアは取り上げる。外面をすごく気にしている国だなと思う。南アジア域内で何位だったのかとか、下を見てはいたずらに下位の国のランキングを詳述するのもどうかなと思う。アフガニスタンやパキスタンがそれに抗議してくることはないだろうが、こういう国と比較してだからどうだというのだろうか。
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