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ブータン・韓国国交樹立30周年 [ブータン]

ブータンと韓国、国交樹立記念日を祝う
Bhutan-Korea celebrate diplomatic ties
Kuensel、2017年9月26日、Karma Cheki記者
http://www.kuenselonline.com/bhutan-korea-celebrate-diplomatic-ties/

2017-9-26 Kuensel.jpg

【ポイント】
ブータンと韓国は1987年9月24日に国交を樹立した。国交樹立30周年を祝う式典が25日、ティンプーで開催され、アン・ソンドゥ駐ダッカ韓国大使とドルジ・チョデン首相代行(公共事業大臣)が出席。30周年記念切手の発行や、韓国製儀典車7台(25万ドル相当)のブータン外務省への引渡し等が行われた。

ドルジ・チョデン首相代行によると、韓国は1991年以降、KOICA(韓国国際協力機構)の研修員受入れ事業を通じて、人材育成でのブータン支援を行ってきた。2014年から今日まで、KOICAは1000以上(註:ママ)の研修員ポストをブータンに提供してきているという。

また、アン大使によると、30周年となる今年、両国はKOICAボランティアサービスをブータンで開始することに合意、年内には派遣が行われる見通しとなっている。分野は計画(註:ママ)、建設、電子、農業。また、ボランティアサービスを開始するにあたり、KOICA事務所の開設も検討されている。

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ブータンの後発開発途上国(LDC)からの卒業が間近に迫り、幾つかの先進国が二国間援助からの撤退を進める中で、先進国入りして間もない韓国が、対ブータン二国間協力に乗り出すというのは明るい話題だと思う。この記事だけでは、元々実施されているKOICAの研修員受入れ事業に加えて、ボランティア事業の立ち上げへの言及はあるものの、KOICA本体が経済協力としてやろうとしていることについてはわからない。漏れ聞いているところでは医療従事者の育成なのではないかと思われる。

KOICAの二国間協力はJICAの良いところはコピーして導入し、良くないところはよりコピーせずより良いプログラムとして導入している。JICAや青年海外協力隊にとっても良き隣人、そして良きライバルとして、切磋琢磨していける間柄だと期待している。

こんなに大勢の研修員を韓国で受け入れられたら、ブータンで技術協力をやっていく重要な局面で、「大事な時にあなたはいない」状態になってしまう可能性もあるし、研修員の帰国後のモニタリングをきっちりやらなければ、単なる視察旅行で終わってしまう。今のJICAは、研修員が日本での研修期間中に作成した「アクションプラン」を、帰国後しっかり実行しているのか、かなり注意して追跡している。でも、「JICAの研修は縛りがキツイ、KOICAの研修の方が条件がユルイ」なんてことになると、人はユルイ方向に流れる恐れはある。

同じような制度の違いはボランティア事業の実施方法にも見られる。KOICAボランティアの方が現地活動支援費が付くから、「ボランティア=金ヅル」と考えているブータン側受入機関は、KOICAの方に安易に流れる恐れはある。

そういう意味では、両者の連携はかなり大事だと思う。でも、そういう国レベルでの努力以上に重要な課題がある。KOICAに限らず、韓国は開発途上国から先進国入りしたという自国の開発経験を、英語の文章に既にまとめているということである。

K-Developediaというウェブサイトがあるが、このサイトは韓国が開発協力に関わる政府機関が協働して、韓国の大学・研究機関等にいる研究者の力も借りて、かなりの短期間のうちにここまで仕上げた「韓国の開発経験のショーケース」である。

このサイトをよく見ていくと、KSP(Knowledge Sharing Program)というページがあるが、この中のケーススタディは今日現在253項目もある。僕がこのサイトを初めて訪れたのは2014年で、その頃は約110項目だった。多すぎるのも引用がしにくくなるのでどうかとは思うが、共通のフォーマットで、1つ1つのケースがそれなりの分量のレポートになっている。短期間でよくここまで整備したものだと感心する。

僕はこのサイトの存在を知った時、その充実ぶりとともに、日本はどうなのか、相当な危機感を感じた。

韓国の人口を考えたら、国際協力に関わることができる人材には元々制約が大きい。そこを補うために、文章化されたコンテンツをしっかり揃えてきているのである。日本も国際協力に関わってくれる国内人材の枯渇がかなり進んできていて、それが現場での事業実施に相当制約としてきつく効いてきているように思えるが、日本の開発の経験を、こういう形で「ウィキペディア化」するという取組みは、寡聞にして知らない。

日本、頑張れ―――そんなふうに、僕は韓国の30周年記念行事を見ながら思っていた。

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