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にわか勉強、電気自動車(EV) [持続可能な開発]

エコノミスト 2017年 9/12 号

エコノミスト 2017年 9/12 号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
  • 発売日: 2017/09/04
  • メディア: 雑誌
内容紹介
〔特集〕EV革命100兆円
・脱ガソリン車ドミノ 活況! EV・自動運転市場
・車体構造 ガソリン車の流用が通じないEV 構造と部品は「機電一体」で激変
・規制 「ガソリン車は走らせない」 米国と中国の新ルールの凄み
・中国の野望 国策で新エネルギー車の開発加速 2025年に「自動車強国」入り狙う
・電気自動車に注力する化学・電子部品業界のキーマンに聞く 旭化成/TDK
・沸騰! 車載市場 電池・半導体・センサー・モーター・構造材料・地図・通信&データ
・クルマづくりも一変 縦型からエコシステムの構造へ 変革が必要な日本の系列主義

9月上旬、仕事で日本に帰った際、たまたま駅の売店で週刊エコノミストの電気自動車(EV)特集を見かけた。このところ、EVを巡る報道が喧しい。今回の特集のきっかけになったのは、ルノー・日産が8月末に中国でEVを開発する新会社を設立すると発表したことにあるようだが、その背景にある中国政府のEVシフトの他にも、英国やフランスが内燃機関のみ搭載の車の販売を禁止する方針を打ち出し、インドも今年6月4日、国内で販売する自動車を2030年までに全てEVに限定するとの野心的な政策を打ち出した。インドが7月1日から施行した物品サービス税(GST)でも、EVの税率は実質引き下げられたのに対し、ハイブリッド車(HV)は実質増税で、高級車並みの税率が適用されることになった。

持続可能な開発、SDGs達成への取組みを考えるに当たって、EVの普及はおそらく最大のインパクトを持つゲームチェンジャーだと思う。EVの普及にどう取り組むのかは相当大きなテーマであり、日本の国際協力でもEVと向き合うことは欠かせないと僕は思う。ブータンではトブゲイ首相はテスラ・モータースのイーロン・マスクCEOの自伝の愛読者であり、早くから「ブータンでのEV普及」を提唱してきている。次の第12次五カ年計画のパフォーマンス指標の1つにも、「EVの普及率」が含まれている。

そういうところに、日本はどう向き合っていったらいいんだろうか。内陸の小途上国に住む一個人が頭をひねったところで出てくるアイデアなどたかが知れているが、そもそも日本でEV研究開発や生産、普及に取り組んでいるプレイヤーって誰なんだろうか―――それを考える上で、格好の包括的な特集が今回の週刊エコノミストだといえる。

特に、冒頭の概説「脱ガソリン車ドミノ―活況!EV・自動運転市場」というのは、この課題を概観するのに非常にいい記事だと思う。

ガソリンエンジンを搭載した一般的な乗用車の場合、そのエネルギーとなるガソリンは、油井での石油の採掘からガソリンの精製、輸送、給油、走行までの一連の過程である「Well to Wheel(井戸から車輪まで)」において、ガソリン1リットル当たり2.7キロの二酸化炭素(CO2)を排出しているといわれる。世界の内燃機関車が排出するCO2の量は、毎年50億トン超に上り、温暖化の元凶とされている。

最終的に再生エネルギーでつくった電気でEVを走らせる時代を目指すのなら、”EVシフト”を加速させることは理にかなっているといえる。

 また、EVでは航続距離を延ばすための「省エネ化」と「軽量化」が重要になるため、対応する電子部品や車体の構造材料を供給するメーカーは需要拡大の好機にある。
 省エネ化では、高性能リチウムイオン電池、軽量化では樹脂など軽い構造材料に注目が集まる。(後略)
 さらに、電動化率が高まれば、自動運転やコネクテッド(通信)の機能を付加しやすくなるため、クルマの周囲を認識するためのセンサーや、画像処理半導体の需要が伸びている。

ガソリン車からEVへ大きく形を変えつつあるクルマは、自動車メーカーがコントロールできる部分が少なくなる一方で、部品メーカーにビジネスチャンスをもたらしている。
―――この辺の記述には、EVシフトの背景、トブゲイ首相がEVに着目した理由などが触れられていると思う。そもそもブータンの電気は水力発電のような再生可能エネルギーで作られたものなので、EV普及で目指す理想の姿に近い条件を有している。しかも、完成車メーカーに支配されるのではなく、パーツ毎でメーカーが異なるようなモジュール化に、EVは合っているから、その気になれば国内生産でまかなえるパーツも出てくるかもしれない。

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さらに、9月に購入した別の雑誌にも、EVの特集記事が載っていた―――。

ホリデーオート 2017年10月号 [雑誌]

ホリデーオート 2017年10月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: モーターマガジン社
  • 発売日: 2017/09/08
  • メディア: 雑誌
【第二特集】
『リーフがもたらすEV新世紀』
~新型リーフ 発表記念特集

こちらの特集のきっかけは、9月6日に発表された新型日産リーフである。それに、第2特集だけあって、表紙をよっぽど注意していなければ、築かなかった記事群だった。そもそもこの月刊誌を購入したのは、何を隠そう、表紙のランボルギーニ・カウンタックと、第1特集の「昭和の男はスーパーカー」に惹かれたからで、買って読んでみたらEVが載っていたというのが真相だ。

第2特集だから分量もそんなに多くはないが、さすが車好きの専門誌だけあって、記事がメチャ面白い。3つある記事のうち、「EVの仕組み総ざらい」と「EV100年ものがたり」は永久保存もののいい記事だった。

電動モーターはもともとゼロ回転から最大トルクを発揮できるという、大きなメリットがある。走り出しの加速の鋭さは、先代でも証明済み。(p.67)

 EVは極端に言ってしまえば、100年以上前からそのシステムは変わっていない。ようやくここ数年で乗用車として普及してきたとはいっても、ネックもその時代から変わっておらず、航続距離だ。
 ここはなんと言ってもバッテリーによる部分が大きい。このシンプルなシステムを生かせるバッテリーの進化と充電に対応したインフラの整備こそがリーフをはじめとしたEVの最大のテーマとなっている。(p.69)

 結局のところ、次世代自動車の問題は何から作ったエネルギーで走るか?というところだ。(中略)「Well to Wheel」という考え方がある。これは燃料の生成段階から走行までを含めたCO2の排出量を考慮すること。水素は生成方法によって、CO2の排出が多くなり、エコにもなれば環境破壊にもなる面がある。
 最終的には自然エネルギーが理想だろう。ただ太陽光、風力など、まだ安定供給が難しい。自然エネルギーの安定供給が果たされたときに本当の次世代自動車が見えてくる。(p.73)
―――なんだか、読めば読むほどブータンには合っていそう。航続距離を考えれば、当面はティンプー~パロ間、ティンプー~ワンデュ―・プナカ間あたりを何とかするところから始めるのだろうが、山がちで坂道が多いだけに、アクセルを踏めばすぐに最大トルクが発生するというEVの特性はブータン向きだと言える。

でも、放っておいたら隣国から完成車を輸入するだけに終わってしまうのがこの国の悲しいところである。EVのシステムは、本書によれば、モーター、バッテリー、それに電力とモーターを制御するためのインバーターがあればいいということらしい。内燃機関車と比べてシンプルだと言えばシンプルだが、モーターにしてもバッテリーにしても、インバーターにしても、原理を理解して定期的なメンテナンスを施したり、これにコネクテッド機能等を付加したりするには、それなりに自前の人材を育成しないといけない。その部分は、今の首相やブータン政府の高官の口からは聞いたことがない。整備・修理の人材や、研究開発の人材を育成する機能を、どこがどう担っていくのか。急速充電器のようなインフラ整備もさることながら、その部分の検討も必要だと思う。

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さて、ここまではEVに関するあれこれだが、先ほども書いたように、中学生時代に何度か購入して以来である月刊誌ホリデーオートの購入は、ひとえに第1特集の「スーパーカー」によるところが大きい。これに加えて、先月はこんな雑誌でもスーパーカー特集がなされていて、ついついこちらも衝動買いして、ブータンに持ち帰ってきてしまった(笑)。

2017年10月号

『昭和40年男』2017年10月号

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: クレタパブリッシング
  • 発売日: 2017/09/11
  • メディア: 雑誌
◆特集「俺たち、クルマが好きだ。」
昭和40年男のクルマ好きには明解な理由がある。生まれた時から家にクルマがあった最初の世代であり、スーパーカーブームでその魅力を知った のだから、目が肥えている。クルマが欲しくてたまらなくなる頃に80年代が始まって、日本のモータリゼーションが花咲く時代に青春時代を送った昭和 40年男は、伸び盛りの日本車のいちばん美味しいところを食べてしまった世代であろう。クルマが大好きになるのは当然至極の歴史的必然である。 そんなクルマ大好き世代へ贈る「いま乗りたい昔のクルマ大特集」だ!


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