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火を噴くダージリン [インド]

インド(西ベンガル州ダージリン):大規模デモに関する注意喚起
【ポイント】
◆西ベンガル州北部のダージリンでは、ネパール系住民が自治州の設立を求めるデモを拡大させており、死傷者も出ておりますので、不要不急の渡航を控えるとともに、既に滞在中の方は十分注意してください。
◆現地治安当局は同地に滞在中の旅行者に対して、宿泊先のホテル等に待機し、極力外出は控えるよう呼び掛けています。
【本文】
1.西ベンガル州ダージリンでは、「ゴルカ人民解放戦線」(GJM)を支持するネパール系住民が自治州の設立を求めてデモを拡大させており、警官隊との衝突による死傷者が発生しています。今後、これらのデモが更に過激化する可能性も排除できません。また、同地域では継続的にゼネストが実施されており、病院、学校、銀行を除く公共機関、交通機関、商店等の営業が停止しています。
2.現地治安当局は同地に滞在中の旅行者に対して、同地に留まる場合は宿泊先のホテル等に待機し、極力外出は控えるよう呼び掛けています。
また、同地からの退去を希望する旅行者に対してバス等の移動手段を提供しています。
3.つきましては、西ベンガル州ダージリンへの不要不急の滞在・渡航は控えるとともに、既に滞在中の方は、無用なトラブルに巻き込まれることのないよう、決してデモに近づかないようにしてください。外出の際にはデモが行われている場所を避け、デモに遭遇した場合には速やかにその場から離れるなど、安全確保に十分注意を払ってください。また、現地治安当局等からの指示がある場合にはこれに従うと共に、報道等から最新の関連情報の入手に努めてください。
(以下省略)
外務省海外安全ホームページより(http://www.in.emb-japan.go.jp/files/000266077.pdf

以前、インドに駐在していた時、「独立できるかテランガナ」という、当時のテランガナ州独立運動について情報整理してブログで紹介したことがある。この時はなんだかとんでもないアクセス数を記録してしまい、通算PV数約3,500件というのは、僕のブログの中でも五指に入る、最も読まれたブログ記事の1つとなっている。

その後テランガナ州はアンドラプラデシュ州からの独立を果たしたが、本来テランガナ州独立運動よりももっと長い歴史のあるゴルカランド州独立運動も、いつ火が噴いてもおかしくない状況の中にあったと思う。僕がこの記事を書いたのは2009年。その時点で102年の歴史があるといえば、ゴルカランド州独立運動は、今年で110年目という長い歴史のある議論なのである。

2009年当時も、ダージリンではデモが発生し、邦人がホテルに缶詰めになって身動きが取れなくなるという事態が発生していた。だから、今月初旬に西ベンガル州教育大臣が全ての教科書のベンガル語化を発言した際、またぞろ独立運動活発化に発展するのではないかと気になった。

ブータンの場合、元々インドとの国交の玄関口はダージリンの東隣りにあるカリンポンだったので、このエリアとブータンの間での人の往来は結構多く、西ベンガル州教育大臣発言以降、「ダージリン」「カリンポン」が人々の話題に上ることが多くなっていた。政府にとっての関心事は、これは日本政府の場合もそうだが、自国民の安全確保である。そのため、今やデモで騒然となっているこの地域からブータン人を退避させるため、ブータン政府も様々な措置を取っている。特に、今週に入ってからは、国外退避の人々を乗せたバスがブータンに戻ってきたという報道が相次いでいる。

これまで、ゴルカランド州独立運動に関するクエンセルの記事を列挙してみた。

ダージリン、カリンポンのブータン人学生は無事、教育相語る
Bhutanese students in Darjeeling and Kalimpong safe: Education minister(6月10日)
http://www.kuenselonline.com/bhutanese-students-in-darjeeling-and-kalimpong-safe-education-minister/

GJMスト、車両通行に影響
JM-led strikes could hamper vehicle movement(6月19日)
http://www.kuenselonline.com/jm-led-strikes-could-hamper-vehicle-movement/

2017-6-19 Kuensel.jpg

配給物資の不足、ブータン人学生の懸念
Ration shortage worry Bhutanese students(6月20日)
http://www.kuenselonline.com/ration-shortage-worry-bhutanese-students/

ブータン人学生、母国に帰還
Bhutanese students come home(6月21日)
http://www.kuenselonline.com/bhutanese-students-come-home/

ダージリンのブータン人学生、明日帰国
Bhutanese students in Darjieeling to be home tomorrow(6月22日)
http://www.kuenselonline.com/bhutanese-students-in-darjeeling-to-be-home-tomorrow/

―――ともあれ、無事に帰国できているようでよかったです。

長い歴史があるだけに、何かきっかけがあれば必ずこの問題はまた表面化する。ひどければ住民が暴徒化することも起こり得る。山を隔てた隣りの国のこととはいえ、注意はしていく必要がある。

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