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ビジネスマンが大学教授になる方法 [仕事の小ネタ]

ビジネスマンが大学教授、客員教授になる方法 (ディスカヴァー携書)

ビジネスマンが大学教授、客員教授になる方法 (ディスカヴァー携書)

  • 作者: 中野 雅至
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2013/09/09
  • メディア: 新書
内容紹介
労働市場の流動性が高まるこの時代、一流大学を出て大手企業に就職すれば一生安泰…という図式は崩れてきています。その中で、現在のキャリアに付加価値をつけるため、また、ほかの働き方を求めて転職するために、「大学教授になる」という選択肢があります。大学教授というと、博士号を取得し、助教、准教授を経て、運良く教授の席が空いたらなれるもの、と思われがちですが、今や半数が一般企業や団体からの転身組。しかも、公募からの採用が一般的です。さらに、最近増加中の客員教授・特任教授なら、副業として、こなしていくことが可能です。では、どうやったらなれるの?その裏技を、キャリア官僚から大学教授に転身した著者が実体験をもとに紹介します。

手前味噌な話だが、昨年、日本語で書いた論文が社内閲覧スペースで採用・公開された。これ以外に、クエンセルに記事を2本投稿して、1ページまるまる使って掲載していただいた。そして、2月に土日費やして必死で書いた英語の論文が、すったもんだの編集事務局とのやり取りの末、年末までにはジャーナル掲載された。

特に最後のジャーナル掲載論文はいい経験になった。最初に僕が書いた原稿は、査読者のコメントに二度答えてリライトしているうちにかなり贅肉は取り払われていったと思うが、採用が決まった後のエディターの英文校閲でメッタメタに編集され、かなりいい英文に生まれ変わったのである。「ああ、そういう言い回しがあるのね」とエディターのセンスの良さに感動してしまった。当然、僕の初稿は原形をあまりとどめていない形になってしまっているが、いい文章になって世に出たのは嬉しい。

その時の経験があって、英語で論文を書くということに対する心理的なハードルはかなり下がって2017年を迎えた。とりわけすさまじかったのはこの4月で、僕はまたまたクエンセルに寄稿し、1月からスタックしていた別の論文を書き上げ、さらに5月にブータンで開かれるセミナーでの発表のために事前提出する別の論文を書き上げた。土日はほとんどの時間を執筆に費やした。ブログの更新が滞った最大の理由は、その時間を執筆作業に充てていたからである。そして、再びブログ更新を始めたのは、4月の書き物がほぼ山を越えたからである。

自分の考えを世に問う、クエンセルへの投稿は名刺代わりに使えるし、他に書いた論文2本は当地にてジャーナル掲載を目指しており、採用されればまたエディターが美しい英文に化粧直しして下さるだろう。さすがに1カ月で3本というのは体にも無理を強いたようで、体調を崩した理由もこの辺にある。でも、それと引き換えに得られた―――というか、残せたものは大きいと思っている。

さて、本日ご紹介するのは『ビジネスマンが大学教授、客員教授になる方法』という本。著者は元厚生労働省のキャリア官僚だった人で、その意味では「ビジネスマン」じゃない(笑)が、現在の仕事が何であれ、行き先として大学教員を狙ってその準備を考えているというのなら当てはまる話が多いと思う。僕がそういうキャリアを目指しているのか、だからこんな本読んでいるのかと思われるかもしれないが、僕の動機はちょっと違う。

新聞投稿にしても、ジャーナル投稿にしても、セミナーや学会での発表にしても、今やっていることはブータンで見聞してきたこととそれに対する自分の考察をまとめ、それを文章に残すという行為である。それなりに課題を整理し、課題解決に向けた取組みの方向性を世に問うなら、文章にしてないと意味がない。日本人なんだから英語が思い通りにしゃべれない制約もあり、限られた時間の中で相手を説得しきるだけの話術は今の僕にもない。でも、考察にじっくり時間をかけ、それなりに構成も練り上げた上で、辞書も引き引き書き上げた拙い英文でも、文章になっていれば「私はこういう者です」と言って自己紹介にも使えるし、「あとはこれ読んで」と言って相手に渡すこともできる。あとで本当に読んでくれるかどうかは別問題ではあるけれど。

大学教授や客員教授を目指しているわけでは今はないけれども、普段仕事を抱えて忙しい人間が、それでも論文を生み出すにはどうしたらいいのか―――この問題意識に立って、僕は本書を読んでみた。

大学教員を目指すなら論文をちゃんと書いてなければ評価されないという点では、今僕が歯を食いしばってやっていることと本書とでは方向性では大差はない。そこで書かれているハウツーも、僕が試行錯誤を繰り返しながら確立してきた方法論とは大きな違いはなかった。僕の執筆活動のスタイルに新たなフレイバーを付け加えるような新たな方法論を本書の中に見出せたわけではないが、自分のやっていることの有効性、効率性を確認できたという意味では読んでみて良かった本である。

とはいえ、発見もあった。僕も修士号は既に持っているので、論文を書く際には「仮説は何か」という問いを必ず受ける。その仮説というのを考えるのが結構大変だと常に思い、それが執筆開始する際の大きな心理的ハードルになってきた。本書の著者も、仮説の重要性には肯定的だが、書きたい論文の中での仮説の立て方については、ヒントとなる記述が本書の中からは得られた。それが何かはここでは書かないが、ああ、こういう考え方もあるんだとわかり、執筆にあたっての心理的ハードルが下がった気がする。

既に提出してしまった論文はもう直せないが、今後論文を書く際には意識をしておきたいと思う。

今は歯を食いしばって英語で書いているけれども、いずれは書き溜めてあるものをまとめ、全部日本語に訳して1冊の本にできないかと思っている。
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