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ポブジカのホームステイ [ブータン]

ホームステイを利用する旅行客はほとんどいない
Fewer tourists avail homestay services in Phobjikha
Kuensel、2017年2月10日、Dawa Gyelmo記者(ワンデュー)
http://www.kuenselonline.com/fewer-tourists-avail-homestay-services-in-phobjikha/

2017-2-10 Phobjikha.jpg

【ポイント】
ご近所であるにも関わらず、ガンテ郡と違い、ポブジカのホームステイサービス提供者はあまり潤っていない。ホームステイを利用する旅行客がほとんどいないからである。王立自然環境保護協会(RSPN)のイニシアチブにより始まったコミュニティベースの持続可能な観光プログラムの下、2012年に登録されたサービス提供農家は21世帯あるが、うち10世帯はポブジカ、11世帯はガンテに属する。同じサービス内容であるにも関わらず、ガンテでホームステイする旅行客はポブジカでホームステイする旅行客よりも多い。

これは単にポブジカがガンテよりも遠いことによるものとは言えないというのが関係者の見解。ポブジカでも多くの住民がホームステイプログラムには関心を持っているものの、現状十分な訪問客を受け入れていないことから、参加にも躊躇しているのが現状。

ある農家では、2013年にRSPNから15000ニュルタムの支援を受けてホームステイプログラムに参加した。最初は1年間で2組の旅行客を受け入れたが、その数は2015年以降減少し、2016年にはゼロとなった。しかし、元々大きな投資をして起業したわけでもないので、損失自体は発生していないという。ポブジカのプログラム参加農家はいずれも同じような状況である。

ホームステイにかかる宿泊料は1泊700ニュルタム、食事代は300ニュルタム、朝食代は180ニュルタムだという。ブータン人には安い料金が適用されるという。

一方、ガンテで同様のホームステイプログラムを始めた農家のケースでは、3ベッドルームで始めた最初の4年間の収益は芳しくなかったが、来訪客の数は徐々に増えてきているという。玄関に看板を設置したり、ソーシャルメディア上で宣伝を行ったりしたのが奏功した格好である。

ブータン観光評議会の2015年版年次報告書によると、ホームステイを利用した旅行客数は全体の2.82%に過ぎない。64.98%がホテル、29.81%がリゾートを利用しているという。

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僕は昨年夏にポブジカを訪れてそこで1泊したことがあるが、日本から来ていた家族がホームステイを嫌がったので、このサービスを利用したことはない。いったいどんなところにホームステイ参加農家が立地しているのかわからないが、ある程度は観光の利便性も考えているとしたら、僕たちが泊まったホテルに近いところにもホームステイ参加農家はきっとあったのだろう。ガンテとポブジカは距離的には大きな違いはないし、道路も本当にしんどかったのはガンテに入ってくる分岐手前の国道の方もかなり酷かったので、ポブジカが特段道路状況が悪いという感じもしなかった。

でも、ホームステイにあたって1つだけ懸念したことがあるとしたら、そこで出される食事である。辛いのが苦手な人も多い中で、伝統的なレシピでしか調理してもらえないと、うちの家族にはかなりしんどい。とはいえ、これもポブジカだけが特にダメという話でもないだろう。

この記事だけからは想像がしづらいが、ポブジカまで来るような旅行客ならその先のトンサやブムタンあたりまでは足を伸ばす可能性が高いから、そう考えると旅行代理店のブッキングも、ポブジカの谷の入り口にあたるガンテ・ゴンパ周辺に客を泊められれば、ゴンパ見学も含めたあとの行程のマネジメントもしやすいという判断がどうしても働くことはあるだろう。

もう1つのヒントは、ガンテのホームステイ参加農家の話の中にある、「ソーシャルメディア」かもしれない。旅行代理店に頼ることは可能だが、そうすると外国人観光客中心になることは必至だが、元々ポブジカまで足を運ぶような外国人観光客はそれほど多くないので、そもそも需要がそれほど大きくはない。

それに、RSPNが始めたこのプログラム、元々は日本のNGOが仕掛けたもので、日本人観光客を主な対象として企画されたものと聞く。この日本のNGOの支援が2014年に終了して、このNGOもポブジカから撤退してしまい、残ったRSPNもスポンサーがいなくなったので、その後のフォローアップをあまりやっていなかったのかもしれない。元々日本人観光客でポブジカ方面に足を伸ばす人は少なかっただろうし、日本人観光客相手にビジネスを行ってきた旅行代理店ぐらいしか知らないというプログラムでは、発展の可能性は少ないのではないかと思われる。

こうした調査を行うのであれば、本当は知りたかったのは、ポブジカを訪れる旅行客の構成である。予想としては、インド人、中国人を含めた中国系の観光客、欧米人はそこそこいるのではないかと思うが、そうなると今のホームステイプログラムのマーケティングの対象とちょっとねじれが起きていることになる。「ソーシャルメディア」は、そのギャップを多少なりとも埋められる、地元発の良い取組みかもしれない。

ただ、こうやって地域間、あるいは域内であってもいいが、旅行客が多く訪れる農家と、そうでない農家が生まれること自体は悪いこととも思われない。競争意識が芽生えて、お互いに提供するサービスの質を競えるよう切磋琢磨していけたらいい。別に客が来なくとも損失は出ないという程度のことしかやられていないのなら、大した投資はしていないということ。単に自然に囲まれた静かな農村で一夜を過ごせれば客は喜ぶだろうというのでは、早晩客足は遠のくだろう。

ポブジカも、海抜が高くて見晴らしもいいその地形は、クロスカントリーの高地トレーニングには結構有望だと思うが、外国人旅行客の長期滞在を可能にするには、1日250ドルの定額手数料の見直しも必要ではないかと思う。ここまで書いて思ったが、1日250ドルも払っておいて、農村でホームステイするよりは、旅行客は250ドルの元を取ろうとするだろう。農村でホームステイする日数分だけこの手数料を割引したら、ホームステイの利用客数は増えそうな気がするなぁ。

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