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もっと予防を考えましょう [ブータン]

腎臓病疾患死、増加傾向
Kidney disease fatalities on the rise
Kuensel、2017年1月4日、Dechen Tshomo記者
http://www.kuenselonline.com/kidney-disease-fatalities-on-the-rise/

【ポイント】
ブータン保健省が公表した2015年版年次保健報告書によると、2015年に腎不全による死亡例が国内で25件あったという。

腎臓疾患の治療のため人工透析を受ける患者数は、現時点で151人おり、ティンプーのジグミ・ドルジ・ワンチュク国立レファラル病院(以下、JDWNRH)だけで109人、うち93人は外来患者。また、ゲレフの地方レファラル病院には22人、モンガル地方レファラル病院には22人が人工透析治療を受けている。保健省事務次官によれば、人工透析器の台数の制約が腎臓疾患死につながっているわけでは必ずしもないという。

人工透析治療は、1回につき3~4時間、これを週3回行うのが標準的だが、JDWNRHには14台、ゲレフ3台、モンガル5台が配備されている。また、全ての患者が週3回の人工透析が必要というわけではない。人工透析に当たる各病院の医療スタッフの配置も十分だと事務次官は言う。

腎臓疾患はいったん発症すると治癒は困難。政府、患者、その家族、全てに対して大きな負担を強いる。腎臓疾患に最も有効かつ安価なのは予防措置だと事務次官は言う。1回の人工透析治療には3,500ニュルタムがかかる。これを週3回行えば10,500ニュルタム、1年で546,000ニュルタムとなる。これには投薬治療費は含まれない。政府は患者に対して一生涯の医療費の負担を続けることはできない。



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なぜこのタイミングでこの記事が掲載されたのかはよくわからないが、なぜ1面で取り上げられたのかはなんとなくわかる気がする。この記事が保健省の問題意識に基づくものなのか、あるいはクエンセルの記者の問題意識によるものなのかはともかくとして、記事が強調しているのは対症療法ではなく予防の重要性である。

僕の中学時代にお世話になった体育の先生で、人工透析治療を受けておられた方がいらっしゃった。おかげで体育の授業が自主練に変わったこともあったが、すらっとした体育の先生と腎臓病というのがにわかにはつながらなかった。肥満でもなく生徒に栄養バランスを説くような保健体育の先生でも患うような病気に、単純に予防の重要性といっても説得力は欠けるかもしれないが、やらないよりはやった方がいい。この記事のミソは、腎臓疾患患者1人あたりにかかる医療費に具体的に言及していることだろう。患者数が151人ということは、単純計算で年間824万ニュルタム、日本円換算で1,300万円ぐらいの政府負担を強いられている。

医療費がタダだからといって、全額負担を強いられる政府もこれじゃバカにならない。

腎臓病の予防法について、一般社団法人全国腎臓病協議会のHPには、日常生活の中で以下のようなことに気を配りつつ生活してはどうかと書かれている。
 ①尿のチェック
 ②むくみのチェック
 ③背中や腰の痛み、発熱のチェック
 ④血圧の管理
 ⑤肥満の予防
 ⑥適度な運動
 ⑦水分をこまめに補給
 ⑧感染症に注意
 ⑨節酒、禁煙

うち⑤以降はブータンでも注意が必要でしょう。本当はこういう予防の必要性を強く訴えるメッセージは、新聞記事の中でさらっと触れるだけじゃなく、学校の保健体育教育等に組み込んで、子供のころから知っている話にしていけたら、もっと広くメッセージは伝わると思う。

いずれご紹介するが、今日(9日)から12日まで、南部の町プンツォリンで、全国教育会議というのが開催される。昨年8月に教育大臣がぶち上げたカリキュラム改訂の最後のステップとして、ゾンカ語教育の拡充だの、夏休みと冬休みの長さの調整だの、幾つか遡上に上がっているイシューはあるものの、保健や栄養、体の発育に合わせた運動能力の向上といった要素は、教育省のスコープに入っているようには思えない。教育と保健って、もう少し緊密に連携してもいいのにと思うことは多い。

タグ:予防 保健 教育
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