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『真実の10メートル手前』 [読書日記]

真実の10メートル手前

真実の10メートル手前

  • 作者: 米澤 穂信
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2015/12/21
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは「恋累心中」と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める…。太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執―己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、本書のために書き下ろされた「綱渡りの成功例」など。優れた技倆を示す粒揃いの六編。

この週末2冊目の読書。一時的にSo-netブログにログインできなくなり(後に妻がIDを変更していたことが判明)、余暇と言ってもSNS以外あまりやることもないブータンでの完全フリーの週末に、やれることといったら本を読むことだった。

米澤穂信作品は、7月に『王とサーカス』が最初。岐阜県出身の作家なのに、これまであまり読んでこなかった。『王とサーカス』は舞台がカトマンズだったから読んだわけだが、登場する主人公が東洋新聞で、大垣支局にもいたことがあるとなったら、そりゃ今後も太刀洗万智登場作品は読まねばならんだろう。多分、「東洋新聞」って、「東京新聞(=中日新聞)」がモデルでしょう?それに、実は僕の小中高の同級生にも同じ名前の女子がいた。米澤さんは年齢的には僕よりも10歳以上若いし、斐太高校ご出身だそうだから、単なる偶然だと思うが。

ただ、少なくともそうした経緯もあって、せめて太刀洗万智登場作品ぐらいはちゃんと読んでおこうと前々から思っていた。今回のこの短編集は、週刊誌でも紹介されていて、週刊文春ミステリー年間ベスト10で、『満願』、『王とサーカス』に続き、3年連続1位になるかという高い評価を受けていた。(残念ながら2票差で2位だったらしい。)その作品紹介の中で、大垣が登場しただけでなく、吉祥寺も登場するという。これは読まねばということになったわけである。

太刀洗万智は、『王とサーカス』では東洋新聞の記者を辞めてカトマンズに渡っているので、本書に収録されている「真実の10メートル手前」のエピソードの後に『王とサーカス』(時期は2001年6月)が来て、そしてそれ以降の短編につながっていく(多分、この短編は太刀洗万智の成長過程を時系列的に追った形にはなっていないように思うが)。「真実の10メートル手前」と次の「正義漢」の間での太刀洗万智の変化はあまり気にならないが、こういう順番で続けて読んでみたら、何か新しい発見があるかもしれない。

この歳になるとあまりミステリーは読まないので、久々のミステリーは新鮮だったことを最後に付しておく。

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