南米原産キヌアのブータンでの生産 [ブータン]
農業省、キヌア生産推進へ
Agriculture ministry will promote quinoa production
Kuensel、2016年11月10日、Dechen Tshomo記者
http://www.kuenselonline.com/agriculture-ministry-will-promote-quinoa-production/
【ポイント】
ユシパンの研究開発センターにおける3年間にわたる試験生産を経て、農業省はキヌア生産の振興に乗り出す。キヌアは南米原産の穀物で、高い栄養価で知られる。他の穀物と比べて高い価格で取引され、輸出産品としての可能性も有する。
昨年、農業省は、キヌア生産の全国各地での適用可能性を見るため、ポブジカ(ワンディポダン県)、カンマ(タシガン県)、ビテカ、ダワカ(いずれもパロ県)、ユシパン、パジョディン、ドチュラ(いずれもティンプー県)等、計40エーカーの農地で試験栽培を行った。用いられたキヌアの品種は9種類で、うち2品種については海抜1500メートル以上の高地、1品種は低海抜地帯での生産適用性が試験された。
その結果、キヌアはブータン南部での生産により適することがわかった。一方で、低海抜地帯ではあまり生育が期待できないこともわかっている。キヌアの生育サイクルは120~240日と言われているが、ブータンでは、低地では112~115日、高地では165~225日で収穫可能となる。
キヌアは健康食品としても世界的に注目されており、実だけでなく、新葉も消費対象とされている。キヌアの種の含有タンパク質は、質、量ともにコメ、小麦、トウモロコシ等の穀物を凌駕するという。
農業省では、キヌアに関するパンフレットを作成するとともに、今年12月にドバイで開催予定の国際キヌア学会に向けた発表レポートの作成にも取り組んでいるところ。
今年のブータンのキヌア生産は300~500キロだが、これまでの生産増加のペースが続くとすると、今後3年間で3,000~4,000キロにまで生産拡大が見込まれる。キヌアの国際取引価格は、キロ当たり4~6ドルと言われる。
2017年、農業省はキヌア生産にさらに集中し、約65エーカーの農地で26,000キロ(ママ)の生産を試みる。これにはキヌア種子32キロが必要であり、農業省はキヌア生産農家からキロ100ニュルタムで種を調達する予定である。海抜1500メートル以上の高地での播種は3月中旬から4月中旬、1500メートル未満の農地では10月中旬から11月を予定。
キヌアの話を耳にした時、いい話だなと思った。まだ農業省が試験生産を行っている段階なので、大量生産して輸出というところまでにはとうてい至ってない話ではあるが、健康食品としてのニーズがそこそこ期待される穀物らしいので、わずかながらでもブータンの外貨稼得に貢献できそうな農産品であることは間違いない。
また、キヌアの生産適地は他の主要穀物とあまり競合しないようだ。既存の作付を止めてキヌアに転換するとなると、少なくともそれまで作っていた作物よりも高い買取価格が保証されないとキヌアへの作付転換は成立しないだろう。でも、競合作物がないのであれば、遊んでいる農地での栽培が可能だろう。また、コメに比べて穫れる種が細かいので、栽培・収穫にかかる労力も少なくて済むのではないかと想像する。
問題は市場へのアクセスだろう。ブータンでは生産技術の面に注目した技術指導に取り組んでおられる人が日本からも大勢来られていて、良いものを作ろうというアプローチは頻繁に耳にするが(ブータン人にあくなき品質向上へのインセンティブがあるのかどうかはさておき)、問題はそれを買ってくれる消費者にどうアプローチするかにあり、ここのところをちゃんとやらないと、なかなか売上げが伸びないだろう。
キヌアの場合も、潜在的には消費者は世界中にいると思うので、うまく「ブータン・ブランド」として上手くマーケティングができれば、あるいは消費者への販売ルートを持っている業者とうまく提携できればいいと思う。
Agriculture ministry will promote quinoa production
Kuensel、2016年11月10日、Dechen Tshomo記者
http://www.kuenselonline.com/agriculture-ministry-will-promote-quinoa-production/
【ポイント】
ユシパンの研究開発センターにおける3年間にわたる試験生産を経て、農業省はキヌア生産の振興に乗り出す。キヌアは南米原産の穀物で、高い栄養価で知られる。他の穀物と比べて高い価格で取引され、輸出産品としての可能性も有する。
昨年、農業省は、キヌア生産の全国各地での適用可能性を見るため、ポブジカ(ワンディポダン県)、カンマ(タシガン県)、ビテカ、ダワカ(いずれもパロ県)、ユシパン、パジョディン、ドチュラ(いずれもティンプー県)等、計40エーカーの農地で試験栽培を行った。用いられたキヌアの品種は9種類で、うち2品種については海抜1500メートル以上の高地、1品種は低海抜地帯での生産適用性が試験された。
その結果、キヌアはブータン南部での生産により適することがわかった。一方で、低海抜地帯ではあまり生育が期待できないこともわかっている。キヌアの生育サイクルは120~240日と言われているが、ブータンでは、低地では112~115日、高地では165~225日で収穫可能となる。
キヌアは健康食品としても世界的に注目されており、実だけでなく、新葉も消費対象とされている。キヌアの種の含有タンパク質は、質、量ともにコメ、小麦、トウモロコシ等の穀物を凌駕するという。
農業省では、キヌアに関するパンフレットを作成するとともに、今年12月にドバイで開催予定の国際キヌア学会に向けた発表レポートの作成にも取り組んでいるところ。
今年のブータンのキヌア生産は300~500キロだが、これまでの生産増加のペースが続くとすると、今後3年間で3,000~4,000キロにまで生産拡大が見込まれる。キヌアの国際取引価格は、キロ当たり4~6ドルと言われる。
2017年、農業省はキヌア生産にさらに集中し、約65エーカーの農地で26,000キロ(ママ)の生産を試みる。これにはキヌア種子32キロが必要であり、農業省はキヌア生産農家からキロ100ニュルタムで種を調達する予定である。海抜1500メートル以上の高地での播種は3月中旬から4月中旬、1500メートル未満の農地では10月中旬から11月を予定。
xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx
《アンデス地方のキヌア生産地の様子。記事とは関係ありません。》
キヌアの話を耳にした時、いい話だなと思った。まだ農業省が試験生産を行っている段階なので、大量生産して輸出というところまでにはとうてい至ってない話ではあるが、健康食品としてのニーズがそこそこ期待される穀物らしいので、わずかながらでもブータンの外貨稼得に貢献できそうな農産品であることは間違いない。
また、キヌアの生産適地は他の主要穀物とあまり競合しないようだ。既存の作付を止めてキヌアに転換するとなると、少なくともそれまで作っていた作物よりも高い買取価格が保証されないとキヌアへの作付転換は成立しないだろう。でも、競合作物がないのであれば、遊んでいる農地での栽培が可能だろう。また、コメに比べて穫れる種が細かいので、栽培・収穫にかかる労力も少なくて済むのではないかと想像する。
問題は市場へのアクセスだろう。ブータンでは生産技術の面に注目した技術指導に取り組んでおられる人が日本からも大勢来られていて、良いものを作ろうというアプローチは頻繁に耳にするが(ブータン人にあくなき品質向上へのインセンティブがあるのかどうかはさておき)、問題はそれを買ってくれる消費者にどうアプローチするかにあり、ここのところをちゃんとやらないと、なかなか売上げが伸びないだろう。
キヌアの場合も、潜在的には消費者は世界中にいると思うので、うまく「ブータン・ブランド」として上手くマーケティングができれば、あるいは消費者への販売ルートを持っている業者とうまく提携できればいいと思う。
タグ:農業
コメント 0