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女性差別撤廃への取組み状況 [ブータン]

ブータン、女性差別撤廃取組み状況報告書を国連に提出
Bhutan presents CEDAW report to UN
Kuensel、2016年10月29日
http://www.kuenselonline.com/bhutan-presents-cedaw-report-to-un/

2016-10-29 Kuensel.jpg

【ポイント】
外務省発表によれば、ブータンは、国連女子差別撤廃条約(CEDAW)に基づく第8号、9号統合報告書を、27日、ジュネーブの国連事務局で報告した。ブータン側代表団は、キンガ・シンゲ国連ジュネーブ常駐代表大使。代表団は全国女性児童委員会(NCWC)事務局及び関連する司法当局、農業森林省、外務省代表者などにより構成。

報告の中で、キンガ・シンゲ大使は、ブータンの条約履行取組み状況の報告に加え、ブータンが直面する課題についても報告した。CEDAW委員会は、前回レビュー以降のブータンの取組みにおける政治の強い意志と取組み進捗状況を高く評価するとともに、ギャップが存在する部分についてのさらなる取組みを政府に求めた。

ブータンは1981年8月にCEDAWを批准。第7回報告書は2009年7月に委員会に提出されている。この報告書提出は4年毎に行う義務となっている。CEDAW委員会は、批准国により条約履行状況をモニタリングする独立機関として設置されている。

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ブータンで暮らしていて、女性が差別を受けていると感じることはあまりなかったように思う。仕事でご一緒する中には女性も沢山いらっしゃるし、組織の代表として立派なご発言をされている方も多い。これは今まで僕が接してきた南アジアの国々ではあまり見られなかった傾向である。

夜這いの習慣がいまだに残っている国だと聞くと、さぞや女性も弱い地位にあるのではないかと思われるかもしれないが、ブータンの多くの地域は女子相続なので、夜這いといっても気に入られたら女性の実家に婿入りして、自分の実家を後回しにする男性は多いらしい。ただ、ターゲットロックオンされると結構しつこいかもしれないので、注意は必要だ。

一方で、離婚の話もよく耳にする。それでシングルマザーになっている女性も結構いるようで、そうなると世帯間の経済格差というのもあるかもしれないし、どうしょうもなくて職場に小さな子供を連れて来てしまう母親もいるかもしれない。ブータン政府はCEDAW遵守のために、政府オフィスから率先して託児施設の開設を急いでいる様子が窺われる。こうした動きが、政府の省庁レベルでだけではなく、地方政府機関や医療施設(子供が走り回っていると子供にとっても危ない)、民間企業にまで広まってくるといいと思う。ユニセフがブータンで就学前児童教育に力を入れているのはとても良い着眼点だと思って見ている。

さて、上記でご紹介した記事だけでは、そもそもブータン政府がCEDAWに提出したレポートの中身がよくわからない。そんな不満を持っていたところ、10月31日付けクエンセルの一面で、キンガ・シンゲ大使へのインタビュー記事が相当な紙面を使って紹介されていた。長すぎる記事なのでここで詳述する気力は正直ないが、ブータン政府の取組み状況が垣間見える良い記事だと思う。

資源不足がCEDAW履行の制約
Scarce resources constrain CEDAW implementation
Kuensel、2016年10月31日、Thering Palden記者
http://www.kuenselonline.com/scarce-resources-constrain-cedaw-implementation/

具体的な取組みが列挙されている一方、CEDAWの求めに全て応じていくには、ブータンには資金的にも人材的にも、他もろもろの面でも資源の制約があることは否めないと、大使は苦しい弁明もされている。CEDAWにしても、SDGsにしても、パリ条約にしても、国際的な取り決めは忠実に履行するというのが小国ブータンの生きる道で、その点では日本よりもよほど遵守していると思えるのだが、ちゃんとやろうとするにはカネがない、人がいないというのもまた事実なのだろう。

ジェンダー平等に向けた啓発を行おうとした場合、女性が置かれた状況をエビデンスを以って洗い出すことは出発点として重要だと思われる。例えば、ブータンでは5年に1回、国民総幸福量(GNH)全国調査というのが行われ、最近では2015年に実施されている。この結果を見ると、女性は男性よりもGNH指数が低いことが見て取れる。こうした格差は解消されるべきなのだろうが、ではどこをどう変えていけばいいのかという点においても、GNH調査は9つのドメイン(領域)での相当具体的な質問項目が含まれているので、ちゃんと調べて行けば、どこから手を付けたらいいのか、しっかりとした含意が導き出せるように思う。が、ジェンダー主流化という視点でこれを分析している研究者は聞いたことがない。

UNDPは昨年9月、国連がSDGsを採択した直後に、ブータン政府の現時点でのSDGsへの取組み状況を調査したが、ゴール5のジェンダー平等への取組みの中で唯一、現時点でブータンが取り組めていない項目として、ターゲット5.4、「公共のサービス、インフラ及び社会保障政策の提供、ならびに各国の状況に応じた世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価する」というのを指摘している。これは、現行五ヵ年計画にこれに関する言及がないという意味でUNDPは捉えて取り組めていないと評価している者だが、実はGNH全国調査のデータを分析すればこの部分は取り組めるはずのもので、要はデータとしては実はとれているのに分析・活用がなされていないというものであり、その意味では、UNDPが指摘していることは必ずしも正しくないと思う。

クエンセルの記事が指摘しているように、9月の地方選挙でも女性の首長、副首長はわずかながら増加しているし、女性の県知事も全国に2人いらっしゃり、開明的な女性のリーダーもいらっしゃることはいらっしゃる。そうした方々が、「女性にももっと頑張って欲しい」と期待を込めて取り組んでおられるようなことを、さらに伸ばしていくこと、それをエビデンスとともに明らかにしていくことが、一見すると女性に対する差別が見られないと感じてしまうブータンで、それでもやっていく必要があることなのかなと思う。


あまりこの分野の知見がないもので、まとまりのない記事になってしまいました。最後にお詫び申し上げます。

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