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アーミル・カーンを生で見る [ブータン]

アーミル・カーン、ブータンの子供の健康指標の改善を評価
Aamir Khan lauds Bhutan’s progress in child care and development
Kuensel、2016年10月20日、Tshering Dorji記者
http://www.kuenselonline.com/aamir-khan-lauds-bhutans-progress-in-child-care-and-development/

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【ポイント】
ユニセフ南アジア親善大使として、ボリウッド映画の俳優兼監督、アーミル・カーンが18、19日の両日、ブータンを訪問。子どもの健康と発育、栄養と食料確保などの取組みを「劇的」と評して称えた。ブータンは社会の中での相互扶助が進んでいる先進的な国で、世界の模範ともなるとし、「ブータンから学ぶことは多い」と述べた。

滞在中、アーミル・カーンは健全な食生活や、胎児から生後2歳に至るまでの子供のケアの重要性を強調。この母親のお腹の中から2歳になるまでの1000日間を「金色の1000日」と称し、この間に子供が被ったダメージは取り返しがつかないものになると指摘した。

また、ティンプー市内の後期中等学校を訪問したアーミル・カーンは、子供の保護に関する強力な法制度と、子供に対する性的虐待との闘いを支援するシステムの構築の必要性を強調。「社会がこうした問題に対して高い意識を持つことが必要」と述べた。

彼の監督・主演作である『Tare Zameen Par』に触れて、彼は「インクルージョン(包摂性)」を強く信じているとして、「特別な支援を必要とする子供たちにとって理想的な状況とは、彼らのための特別学校を設ける必要がない状態。僕の子供の隣りにそうした子供たちが普通に座っている状況のことだと思っている」と述べた。人は多面的な知性を持っており、個々の知性を認めることが重要だと語った。

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と、ここまではユニセフのプレスリリースに基づく記事が大半を占めるが、ことはそれで終わらない。1997年1月のネパール・バイラワで、初めて入った映画館で見たボリウッド映画がアーミル出演の『ISHQ』だった僕としては、生のアーミルを見る絶好のチャンスとばかり、19日夜にコンベンションセンターで開かれる「RIGSSダイアログ」というトークイベントへの入場を試みた。

18日午前11時から受付開始。直前にPCの前にスタンバイし、時計の針が11時を指すと同時に、ネット申込みにトライ。なかなかつながらない中で5分が過ぎ、ようやくつながった。申込み完了。その後送られてきたクーポンを見ると、座席番号は160番となっていた。(後から聞いた話では、この座席は300席ほどしかなく、受付開始から30分で埋まってしまったという。)

主催者指示により、イベント開始30分以上前には着席完了。そのうち首相をはじめとしてブータンの主要閣僚と、政府関係者、インド関係者等が最前列に着席。その後ろには、RIGSS(王立ガバナンス・戦略研究所)のシニアリーダーシップ研修を受講している研修生が陣取った。一般聴衆はその後に座席番号1番から順番に座っていく感じだった。

18時、アーミル入場。トークイベントの司会は、王立自然環境保護協会(RSPN)の創設者で、FMラジオのパーソナリティも務める通称ダショー・ベンジー(ビッグダディという感じの有名人だが、実は初代ブータン首相で中尾佐助教授の『秘境ブータン』でも出てくるクマール・ジグミ・ドルジ首相のご子息である)。

考えてみたら、僕はアーミル出演の映画は相当本数見ているが、実は英語を話しているのを聴くのはこれが初めてだった。この当たり前のことに先ず感動してしまった。でも、本当に感動したのは彼のトークの中身だった。以下自分なりにまとめてみたポイント―――。

◆今ある自分の人格形成において最も影響を受けたのはお母さん。彼は勉強よりもスポーツが大好きで、特にテニスは州内トップレベルの実力者だった。ある日試合を終えて帰宅して、母親から試合の結果を問われた彼は、いつも通りに嬉々として勝利を報告。それを聞いた母親は、その試合で彼に負けた相手は、帰宅してどんな会話を交わすんだろうねと問いかけた。自分が負かした相手の気持ちに気付いた彼は、勝つことへの関心を失ったという。

◆テレビ番組「Satyamev Jayate」誕生秘話。徹底した調査に基づく番組制作(Investigative Journalism)を実施。放映された3年間、映画出演は1本もせず、それくらい打ち込んだという。この番組については、以前、『俳優アーミル・カーンの挑戦』というタイトルでブログの記事を書いたのでそちらをご覧ください。

◆映画制作はチームワーク。制作、監督、脚本が同じ方向を向いてないといい映画はできない。初期の出演作品は自分にとっては妥協、そうせざるを得なかった自分は屈辱で、何度も自宅に戻って泣いたことがあるという。最新作では、役作りのために97㎏まで体重を増やして撮影を、その後5カ月で一気に減量して、シェイプアップした姿で撮影を再開した。筋肉が付いた状態の97㎏から、筋肉を落とさずに減量するのは工夫が要った。

◆今はマハラシュトラ州の小規模流域住民の能力向上を支援するPani Foundationに注力。

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およそスーパースターとは思えないぐらいに、社会の課題に対して向き合い、現場から学ぼうとする、その姿勢には感服。

最後はスタンディングオベーション。至近距離での写真は撮れなかったが、この出来事は僕にとって一生の宝だと思う。インド駐在していても絶対実現しなかっただろう。

ちなみに、彼の最新作は12月下旬インドで封切予定の『Dangal』という作品。元レスリングの銀メダリストが、子供たちを金メダリストにすべく育て上げるという話なので、現役レスラー時代と増量した父親の姿の演じ分けが求められる。PVが昨日リリースされたので、まあ今回のブータン訪問もちょっとばかし新作プロモーションという目的もあったかもしれない。新作は実話に基づいているが、雰囲気がシャー・ルく・カーン主演の『Chak de India』と似ている印象を受けた。ちょうどリオ五輪でインドの女性選手がレスリングでメダルを獲得した直後ということもあり、話題になることは間違いない。


そういえば、日本ではアーミル監督・主演の『PK』が間もなく公開される予定とか。これも話題になりそうですね。
タグ:ボリウッド
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