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高地のマラソン大会2 [ブータン]

以前、5月1日の「オリンピックの日」記念チャリティ・ラン5kmをブログでご紹介したが、それから5カ月が経過し、ようやく自分自身が参加して走ることができたので、ご紹介したいと思う。

大会名は通称ブータン保健信託基金マラソン(Bhutan Health Trust Fund Marathon)、2日間にわたる信託基金(BHTF)のファンドレイジングのオープニングを飾るイベントである。スタートはティンプー市内のチャンリミタン・スタジアム駐車場。コースはティンプーとパロを結ぶ国道をティンプー川沿いに南下し、ティンプー市入口にあたるバベサ・ゼロポイントを折り返し、最後は時計塔広場でゴールするという、12kmのコースだった。(55歳以上は途中のシムトカで折り返す6km)。例年、チャリティウォークとして開催されてきたが、今年から初めてマラソンに移行した。

開催アナウンスメントは9月15日にBHTFのHP上で行われ、クエンセルでも広告掲載された。これまでの1週間ほど、BBSのニュースの後にもずっと車両通行規制の事前通告も含めてイベントが報じられていた。参加申込みは電話。ブータン・アマチュア体育連盟(BAAF)に専用電話回線を設け、9月25日(日)まで受付となっていたが、この電話番号は昼休みにはつながらないし、当然9時から5時までしかつながらない。しかも、祭日や休日もダメだ。締切は日曜日に設定されていたのに、土日の電話がつながらないというのは変な話だ。だから、締切翌日に電話した僕の知り合いも、申込み受け付けてもらえたらしい。かなりユルイ運営だ。参加料は無料。

電話申込みした際には、主催者からは、朝6時30分会場受付開始で、ウォームアップの後、7時にスタートすると聞かされていた。車両通行規制は2時間のみなので、7時ジャストではないにしても、それくらいの時間ではスタートするだろうと思い、僕らは朝6時20分に待ち合わせて、会場入りした。10月に入り、さすがにちょっと朝は寒さを感じる今日この頃だ。

会場入りしてみたものの、スタジアム駐車場には選手受付のテーブルが見当たらない。と思っていたら、マイクロバスが2台停まっている向こう側に、人だかりができていた。受付テーブルが1台しか設置されていないところに、選手が殺到していたのである。これがインドだったら人々は行列など作らず窓口前で割り込みを平然としてくるが、ブータン人もインド人並みに割り込みを平気でするというのがよくわかった。病院の窓口では外来患者が一列で並んで静かに待つという姿が見られるが、こういう場になるとやっぱり窓口に殺到するんだというのが新鮮な驚きと戸惑いだった。しかも、受付係、僕らの名前とゼッケン番号を、先着順で手書きで書いていた。それじゃ電話受付は何のためにやってたんだろうか?

次の驚きは参加賞がポロシャツで、受付済ませた人はみんなそれに着替えていた。これじゃランナー個々人の個性もクソもないなと思い、僕らははあえてポロシャツを着ずに、持参したウェアで走ることにした。 それにしても、参加料が無料の大会で、毎回ウェアを配っているのは驚きだ。この費用も馬鹿にならないと思うが、どこから出るんだろうか。それに、このポロシャツ、フロントには何のプリントもないのに、背中にはでっかくBHTFとイベントのロゴがプリントされている。こんなの普段の街中ではとても着れない。もらってその場では着用できても、あとになったら処分に困る代物だ。

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ほとんどの人はポロシャツと短パン姿で、女子中高生のすらっと伸びた足を見て新鮮な感覚を覚えたスケベオヤジだったが、一部に民族衣装ゴ、キラを着て走る人がいた。これはちょっと驚いた。 男性はゴの下にポロシャツ来ていて、暑ければゴの上半身だけ脱ぐことは可能だろうが、女性のキラはどうするんだろうか。あれじゃストライドを伸ばせないが(下写真)。

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次の驚きは、スタート7時と知らされていたのに、当日突然8時スタートに変更されたことだ。みんな7時スタートだと思っていたから、スタート時刻に近づくにつれて、スタート地点に移動を開始した。さあスタートだと思って腕時計のストップウォッチをスタートさせたところ、係員から「これは本番じゃなくウォームアップセッションだ」と言われた。ほとんどの会場アナウンスがゾンカ語でやられていたので、僕らにはわからなかったが、でも7時前にスタート地点に集まっていたランナーたちも、多分知らなかったのだろう。後で考えたら、ゴール予想タイムと時計塔広場でのファンドレイジングイベントの開会式典の開始時刻から逆算して、7時スタートでは早すぎると主催者が急に判断したのかもしれない。でも、既にテレビでもアナウンスしてしまっている車両通行規制はどうなるんだろうか。お陰でランナー諸氏はスタート地点で1時間近く立ちん坊で待たされ、それだけでもちょっと疲れた。あまりランナーのことを考えてくれてないなと思った。

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次に驚かされたのは、スタート時のフォーメーション。申告ラップタイム順ぐらいで並んで、速い人ほど前からスタートさせるような工夫が日本では見られるが、なんとここでは一般・シニアが最前列、次が小中高男子、そして最後尾が小中高女子という並びになっていた。僕らは最初は小中高男子のところに並んでいたが、係員から「あんたはシニアだから前行け」と注意された。こんなフォーメーションだと、後ろからスタートダッシュしてくる男子高校生あたりに相当危ない思いをさせられそうだ。

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そしてスタート。案の定、最初のダッシュが凄すぎ。でも、1kmも走らないうちに、多くのランナーがペースダウン。ひどい人は歩き始めた。 この極端さは何なんだ!まあとにかく、他のランナーに邪魔されないよう、左側の道端にコースを取り、急な割り込みをされるリスクを極力回避する位置取りをしてマイペースで走った。

僕はこちらに来てから、最長でも6kmまでしか連続してジョギングしたことがなかったので、相当厳しいレースになると予想された。コース全体としては高低差40m弱と比較的平坦だと言えるが、途中バベサ・ゼロポイント直前は結構急な上り坂になっていて、ここで無理して心拍数を上げ過ぎると走り続ける気力が折れそうだったので、上りだけは歩こうと最初から決めていた。その戦術が上手くいき、取りあえずは完走にまでは漕ぎつけることができた。走破タイムは1時間21分台、1km当たりのラップは平均5分59秒だった。海抜2300mでの初レースだったが、取りあえず走りきれたので良しとしたい。

それにしてもですね、主催者は12kmとアナウンスしていたのに、GPS携帯を携えて走ってみると、実際の走行距離は13.6kmだった。おいおい、距離違うじゃないか!

ゴールでは保健大臣、財務大臣、バングラデシュ大使等の出迎えを受けた。え?みんな走らないんだ。係員から年齢を聞かれたので53歳と答えておいた。ブータン人は結構諦めが早くてすぐ歩き始めるので、僕のように地道に走り続けて先行するランナーを次々パスしていった人間は、結構いいポジションでゴールしている。多分、50代の参加者としては、かなり上位でゴールしたと思う。

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ゴールしたはいいが、ファンドレイジング・イベントの開会式典が始まり、クソ長いティンプー市長の挨拶に始まり、信託基金事務局のスタッフMCのトーク、トブゲイ首相の演説と、全部ゾンカ語でやられて僕らは全然意味がわからない。僕も表彰式が行われるのを待っていて時計塔広場のスタンドでずっと待機していたが、1時間経っても表彰式に移る気配がない。そうこうするうちに、首相はじめ主要閣僚、政府高官が立ち上がり、時計塔広場周辺の保健関連テントの訪問を始めた。こうなるともっと時間がかかってしまう。表彰式やらないんだろうと思ったし、こちらも炎天下でこれ以上待たされたら脱水症状に陥ると思ったので、会場を後にすることにした。

後でトブゲイ首相のFacebookページを見たら、入賞者の表彰式がちゃんと行われていたらしい。結果知りたかったなぁと後悔。かくして、海抜2300mでのマラソンデビュー戦は、無事終了した。

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それにしても、この日の時計塔広場のイベント会社Druk Eventのテント、結構豪華だった。1週間前に同じイベント会社は「日本週間(Japan Week in Bhutan)」の開会式にもテントを出していたが、その時のテントが貧相だったこと極まりなく、VIP席にはテント1つなく、野ざらしであった。先週のイベントとこの日のイベントでのDruk Eventの力の入れようの違いは何だったんだろうか・・・。

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