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サブジ・バザールの子どもたち [ブータン]

ファーマーズ・マーケット販売人のための就学前教育
ECCD for vendors at CFM
Kuensel、2016年6月13日、スタッフ・レポーター
http://www.kuenselonline.com/eccd-for-vendors-at-cfm/

ファーマーズ・マーケット(CFA)の販売人や地方農家の子どもたちは、近々託児施設でのケアを受けられるようになる。今日、CFAでは、就学前児童ケア・児童発達センター(ECCD)がオープンする。ユニセフの支援を受け、教育省とティンプー市教育事務所が設立するものだ。3歳から5歳までの31人の児童が一期生として登録している。

CFAは水曜日から月曜日まで毎日営業しており、430以上の売店がある。その販売人の多くが子ども同伴で営業しており、中には未だ3歳の幼児も多い。CFAは週6日、午前6時から午後8時まで開いており、多くの児童が通路や階段周辺で走り回って遊んでいる姿をよく見られる。その間子どもたちの両親は来店客への対応で忙しい状態だ。ECCDが市場で開かれることにより、子どもたちが遊んだり学んだりするのに適した場所が提供させる。

2016-6-13 KuenselECCD.jpg

現在、国内251カ所にECCDセンターが設置されていて、地方や遠隔地で約5000人の児童がその恩恵を受けている。うちユニセフは168カ所の地域ECCDセンターの開設を支援してきた。このプログラムの目的は、子どもたちにより早い段階から刺激を与えて学習意欲を高めるということよりも、むしろ働く親の託児ニーズに応えるところにある。

過去に行われた調査によれば、ECCDプログラムが子どもの発達にもたらす影響は、就学準備の観点からも、生涯にわたってのその子の可能性や生産性を伸ばすという観点からも、非常に大きいことが明らかになっている。

自宅外で子どもに刺激を与えるというECCDのコンセプトは、2005年までブータンでは知られていなかった。この年、最初の民間託児ケア・センターの都市部での設立が政府により認可された。託児ケア・センターでは、子どもたちは靴を脱ぎ、一列に並び、軽食や昼食を食べ、食事後はテーブルを拭いて教室の外のハンガーにお弁当袋を戻すよう指導される。さらに児童はゾンカ語を教わり、どうしたら優しい話し方になるかを学び、ものを手に取ったり玩具で遊んだ後にそれを元の場所に戻す前に許可を得たりすることを学ぶ。

託児ケアの目的は、子どもたちが早く学校に溶け込めるよう準備を支援することにある。

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CFAはティンプー市内を流れる川のほとりに2008年にできた食材市場である。それまでは「サブジ・バザール」といって、ティンプーの市街地を少しだけ南に下ったところにあった。取引されているのは野菜・果物、キノコや香辛料、香料、卵・チーズ、穀物、魚の干物等で、1階はインドからの輸入品、2階はブータン国内で生産されたものが売られている。

僕はほぼ毎週末食材の買い出しでCFAには出かけている。そこで知り合いにバッタリということもよくあり、首都の市民の買い物スポットとなっている。一人暮らしをしている現在、僕は一度にそんなに多くの食材を調達することは難しい。常に1週間で使い切ることを想定して、限られた品数と量に抑えている。だから毎週行くことになるが、行くたびに少しずつ扱っている野菜のラインナップが変化していくことにも気付かされる。

さて、そんなCFAに買い物に出かけると、良く見かける風景が、子どもたちが通路で遊んでいるところである。2、3人の幼児で座ってままごとのようなことをやってるうちはいいが、通路でキャッチボールを始めたり、追いかけっこをして走り回り始めたりすると、買い物客にとっても子どもたちにとっても危ない。

先週末、ちょうどそんなことを考えながらCFAで買い物していたのだが、偶然にもそうした子どもたちを対象とした託児ケア・サービスの話が新聞記事に取り上げられていたので、今回はそれを紹介した。ユニセフはいいところに目をつけたと思う。

このECCDセンターの記事には続報もあって、6月14日(火)付けのクエンセルでも「ECCDセンター、ティンプー市内のCFMにオープン(ECCD opens at the CFM in Thimphu)」と題して取り上げられていた。記事の内容は前日の記事の繰り返しと、利用者の声を2人ほどから拾っていることぐらいだが、どうやらこのサービスの利用者は、1カ月500ニュルタムを支払うらしいといのが新たな情報だ。
http://www.kuenselonline.com/eccd-opens-at-the-cfm-in-thimphu/

2016-6-14 KuenselECCD.jpg
《記事に載ったECCDセンターの様子》

ECCDという言葉は1990年代から既にあったが、その頃にECCDの話をしても、当時は「万人のための教育(Education for All)」が叫ばれ、その焦点が初等教育の拡充に当てられていたため、ECCDの話など、一部のNGOが頑張って進めていた程度のものだったというのが僕の印象だ。2000年代に入っても、ミレニアム開発目標(MDGs)では初等教育の普及が目標となっていたことから、なかなかECCDとは言い出しにくいところがあったかもしれない。しかし、「持続可能な開発」が謳われるSDGsの時代になると、人間開発の持続性を確保するためのアプローチとして、子どもの発達段階のより早い時期から適切な教育機会を与えていくことが、後々の人格や知識の形成、さらには雇用機会の確保にもつながっていくと考えらるようになってきた。

だから、ユニセフがECCDに取り組むことは、とても時宜を得たものだと言える。また、こうやってユニセフがブータンで取り組んでいることを知ることができ、とても良かったと思う。次にCFAに行ったら、子どもたちの居場所に変化があったのかどうか、注意して見てみたい。

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