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『戦後サブカル年代記』 [読書日記]

戦後サブカル年代記 -日本人が愛した「終末」と「再生」-

戦後サブカル年代記 -日本人が愛した「終末」と「再生」-

  • 作者: 円堂都司昭
  • 出版社/メーカー: 青土社
  • 発売日: 2015/08/24
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
敗戦からの復興後も、私たちは戦争・環境破壊・災害などによる「終末」以後の光景を繰り返し幻視しつづけてきた―。戦後の歩みの全貌を「終末カルチャー」の歴史として描き出す、日本文化論の新たなる決定版!

ゴジラ 、『日本沈没』、 『ノストラダムスの大予言』、『漂流教室』、『宇宙戦艦ヤマト』、『危険な話』(広瀬隆)、 『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』、『AKIRA』、 『風の谷のナウシカ』、『完全自殺マニュアル』、 オウム真理教、『新世紀エヴァンゲリオン』、『新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』等等――アマゾンの内容紹介を見れば、ああ日本の戦後サブカルチャーの年代記と想像するわけです。初期のゴジラ作品は僕の生まれる前の話だったので当然知らないが、映画の再放送はテレビで見ている世代だ。特撮や陰謀説などと一緒に育ってきたところもあるので、この本が出た時には、こりゃ僕らの年齢層を狙って書かれているなと思ったものだ。

ただ、2500円もする本をわざわざ購入する気にもならず、市立図書館で順番待ちにしてあった。

正解だったと思う。戦後サブカルチャーの年代記だと思うが、サブカルチャーの部分は釣りで、実際にはその当時の世相や政情等の解説に相当な紙面を割いているかなりハードな本だ。期待していたよりはサブカルチャーへの言及は少ないので、これから読もうと思っている人は覚悟をして臨んだ方がよろしい。

しかも、どうもこのサブカルチャーの作品ラインナップを見ていると、著者本人が見ているもの以外のカバレッジがどうも今一つな気がする。まあ本人がご覧になってないのであれば仕方ないところはあるが、せめて巻末の年表ぐらい、ご本人の定義では「サブカルチャー」のカテゴリーに含まれる作品は全て載せてもいいんじゃないでしょうか。ご本人は見てないのだから本文中での論評は控えるというのはありとしても。僕は、『日本沈没』を取りあげているのに、同じ小松左京の『復活の日』になんで言及されていないのか謎だった。その時点でアウトでした(笑)。後で考えたら、『新造人間キャシャーン』なんかにも触れてない。

それと、もうちょっと日本を相対化する試みがあってもよかったのではないですかとも言いたい。日本中心に見ていけば年代記としてはこういう整理でいいのかもしれないが、それは本当に日本文化に特有の傾向だったのかどうかがよくわからない。『AKIRA』はフランスのバンド・デシネの影響を受けた作品と言われているが、バンド・デシネにはサブカルチャー的作品がけっこう多い気がする。フランスのサブカルチャーとシンクロして日本のサブカルチャーはどう変わっていったのかを年代別で見る、そんな試みがあると、どこまでが日本特有で、どこからが世界共通の風潮だったかがわかってよかった。

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