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『明治維新という過ち』 [読書日記]

新年あけましておめでとうございます。
今年も過去2年同様、記事掲載が不定期になりそうな気配ですが、
一本一本に意味のあるものを書き残していきたいと思っております。

サンチャイ☆ブログは昨年2月に開設10周年を迎えました。間もなく12年目突入ですね。
今年は前半の数カ月で周囲に大きな変化が予想されます。
頻繁に読書できる環境ではないかもしれず、ブログの性格がまた変わるかもしれません。

そんな中での船出となりますが、今年もよろしくお願いします。


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明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト

明治維新という過ち―日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト

  • 作者: 原田 伊織
  • 出版社/メーカー: 毎日ワンズ
  • 発売日: 2015/01/14
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
いまも続く長州薩摩社会。偽りに満ちた「近代日本」誕生の歴史。

いつ頃からだろうか、東京新聞でやたらと目立つ書籍広告が載るようになった。年末の広告でも出ていたくらいなので、相当な広告費を投入して売り出しているんだろうが、結構目立つのでいずれ読んでみようと思った。

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年末年始と例年に比べれば過ごし方に余裕はあったが、訳あって毎日走り込んでいるのと、常に家族と一緒なので、集中して読書するというわけにもいかない。この本も年末に読み始めたのに結構時間がかかってしまった。

今に語り継がれている歴史って、勝者の歴史だというのは当然のことなので、本書の論点はわからぬでもない。NHKの最近の大河ドラマで幕末から明治への推移を描いている作品を見て、少しずつ学んでいるような感じだ。『花燃ゆ』は長州の話で、長州藩内でもいろいろあったんだなと勉強になったが、『八重の桜』で描かれていた長州・薩摩連合軍の情け容赦ない会津攻撃を思い出すと、複雑な気持ちにもなる。会津と長州って仲悪いんだろうなと想像してたら、本書を読んだらやっぱり両者の間には今でもわだかまりがあるというのを知った。

読み進めるうちに、だんだん苦痛が増していった。薩長批判はやがて徳川慶喜批判に展開し、さらに水戸藩批判につながり、なぜか水戸光圀の批判になる。さらには老中阿部正弘批判になっていく。会津藩擁護はというポジショニングは不変ではあったが、登場するすべての人を批判している感じで、「日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト」と言ってる割には批判の矛先がいろいろな人に向かっている。

「「復古」「復古」と喚いて、激しく「尊王攘夷」を口先だけで主張し、幕府にその実行を迫ってテロを繰り広げた長州・薩摩人は、このように古来の仏教文化でさえ「外来」であるとして排斥したのだが、政権を奪うや否や一転して極端な西欧崇拝に走った」とか、「昨夜まで「復古」「攘夷」を旗印にしておきんがら、夜が明けた途端に百八十度転換し、卑しいはどの西欧崇拝を新しい「お上」が押し付けた」と言った主張は、この時代のことをあまりよく知らない僕らであっても抱く疑問である。『花燃ゆ』を見てても、「攘夷」「攘夷」と叫んでいた長州の志士が、倒幕に成功して以降、なぜ西洋から様々な技術の導入を図ったのかは、わかりにくいと思った。著者の言うような理解の仕方もわかりやすい気はする。

物事はどちらが一方的に良くてどちらが一方的に悪いという白黒の話ではないとも思う。薩長中心に、著者の気に入らない人々の素行をあげつらっても、彼らだけが問題だったのかというと、それらにはそうしてしまった理由があると思うのです。

それに、いかに彼らがワルかと主張しようとしても、著者は一次資料に地道にあたるという情報収集はされていないようで、誰々がどう言われていたのかは書かれていても、その話の出所はどこなのかがほとんど明記されていない。それでいて、やたらと余談が入る。自分が得た情報をできるだけ盛り込もうとしているから、「ちなみに」「余談ながら」という記述が結構目立つ。そのために、いったい今自分は何を読んでるんだっけというのがわからなくなってしまうのである。

それに、いかに執拗な薩長批判を展開していたとしても、この本を去年の1月に発刊していること自体、大河ドラマ『花燃ゆ』に便乗した本じゃないかと思えてしまう。去年前半のトマ・ピケティ・ブームの時に出た便乗本の中には、ピケティを大胆にも批判している本があったが、それをこのタイミングで出すことに自体、批判してても結局は便乗してるじゃないかとシラケた気持ちにさせられる。

結局のところ、読後感はイマイチ。そういう歴史の見方もあるというのを知ることができたのは収穫と言えば収穫だが、その時々の流行りになりそうなことに対して逆張りの発想で反論を著せばそこそこ売れるといういい見本だ。


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