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『本能寺の変 431年目の真実』 [読書日記]

受注していた仕事をなんとか期日までに終わらせ、ただいまつかの間の夏休みを満喫中です。いろいろな関係者の都合で僕の夏休みは当初予定よりも短くなってしまいましたが、急ぎの仕事は14日までに仕上げ、先送りできるものは休暇明けに着手するということで、4日間は完全フリー。仕事のことは考えないことにしています。

【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)

【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)

  • 作者: 明智 憲三郎
  • 出版社/メーカー: 文芸社
  • 発売日: 2013/12/03
  • メディア: 文庫
内容紹介
光秀の末裔がついに明かす衝撃の真実!!名門・土岐明智氏の行く末に危機感を抱いていた光秀。信長の四国征伐がさらに彼を追いこんでゆく。ところが、絶望する光秀の前に、天才・信長自身が張りめぐらした策謀が、千載一遇のチャンスを与えた!なぜ光秀は信長を討ったのか。背後に隠された驚くべき状況と、すべてを操る男の存在とは! ? 新事実をもとに日本史最大のクーデターの真実に迫る、壮大な歴史捜査ドキュメント!!

そんなわけで、4日間は里帰りして寝まくっているところである。仕事関係の本はいっさい読まないことにして、風通しの良い実家の縁側で寝そべりながら、ここ数週間全く読めていなかった趣味の本に手を出しているところだ。読みながら、眠くなったら居眠りし、目が覚めてまた読書を再開する感じ。こんなまったり感は久し振りだ。特にここ3週間ほど、抱えている仕事をこなすのに自宅でも睡眠時間を削って作業していた日も多かったことから、感覚的には普段の倍は寝ている感じでいる。それくらいのオーバーホールは今はやってもいいと思っている。

この夏休み中に読了した本の第1号は明智光秀の末裔が書かれた本能寺の変に関する新解釈の書。光秀が謀反を起こすに至ったのは、主君・織田信長による長年にわたる冷酷な仕打ちに耐えかねた衝動的な行為だったとする見解が定説となっている。確かに主犯は明智光秀で、その事実自体がひっくり返ることはないと思うが、その一方で光秀の単独行動だったのかという点、謀反の企てを本当に他に誰も知らなかったのかとか、疑問な点も多い。真の黒幕は足利義昭だったとか、羽柴秀吉だったとか、そんな見解を打ち出した本も読んだことがあるし、また伊東潤の小説では、信長が家康を完全に信用していたわけではなく、本能寺で信長が家康を殺そうとしていたという解釈も出ていた。いずれも新鮮だった。

本書は作者が光秀の末裔ということで、どうしても色眼鏡で見られてしまう不利はあるかもしれないが、それを割り引いてもなかなか面白く、一次史料と二次史料を峻別し、どの史料は信憑性が高く、どの史料はそうでないかを分けて、理路整然と述べられている。また、「歴史捜査」と自称している通り、別の史料で裏を取るというのも丁寧にやられていて、著者のアプローチには好感が持てる。

いちばんの驚きは、本能寺の変の頃の明智光秀が既に60台後半だったということ。僕らは肖像画しか見ていないから、信長よりも光秀は年下なんじゃないかと勝手に思い込んでいたが、実際のところは20歳近くも光秀の方が年上だということ、しかも謀反を起こした時点でどうも67歳だった可能性があることを知り、意外な感じがした。70近い老人が「天下取り」というのはイメージはしづらく、むしろ自分なき後の家を守るという発想の方が強かったんだろうなという想像はつく。

衝動的な謀反行為だったわけではなく、しっかり練られていたものであったという点は腑に落ちるところが多かった。ただ、前半の「歴史捜査」のち密さと比べると、後半は証拠の整っていない中での状況証拠に基づく推理が多い感じがして、飛ばし読みしてしまった。

歴史というのが勝者の都合で書き換えられてそれが通説になってしまって今に伝わってしまっていることを、僕らは肝に銘じて見る必要がある。 通説を疑ってみる必要はあるものを、実態を暴きだすための証拠は時の為政者によって隠滅されてしまっている可能性も高い。一見何の関係もない別の史料から得られる断片的情報をつなぎ合わせて推理を展開していく著者の手法は好感度が高い。

そして、そういう史料が残っている日本の古文書保存の習慣の素晴らしさも改めて感じる。本能寺の変勃発当時に、日記を付けていた人が全国各地に何人もいて、その記録が文書として保管されていて今でも閲覧できるというのは大変なことだ。その頃の毎日の天気までわかるというのだから、驚きだ。




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