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「ズルさ」のすすめ [読書日記]

「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)

「ズルさ」のすすめ (青春新書インテリジェンス)

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 青春出版社
  • 発売日: 2014/12/02
  • メディア: 新書
内容紹介
厳しさを増すこの時代を生き抜くには、実直に頑張るだけでなく、ときには「ズルさ」を発揮することも必要だ──。社会全体が敵になるような大きな困難を乗り越えてきた著者が、「人と比べない」、「嫌われることを恐れない」、「問題から目をそむけない」など、誰でも直面する11のテーマを解き明かしていく。2014年上半期ベストセラー『人に強くなる極意』待望の第二弾。

息抜きで佐藤優さんの本を借りてみた。特に何か期待したわけでもなく。

強いて挙げるなら、本当は仕事をもうちょっとズルくやれたらなと思っているからかもしれない。「ズルく」と言っても、「狡賢い」、「小狡い」ぐらいの意味。反対語は「馬鹿正直」とでもしておこうか。僕は重要な仕事に参画させてもらえなければそれなりに不安を感じる小心者である。

ここ3ヵ月ほどの間、うちの職場では結構重要な会議の準備に一部のスタッフが忙殺されていた。が、僕は手伝わなかった。僕にはほとんど予備知識がなかったし、その会議に我が社がそこまで関わる必要があるのかと疑問だったからだ。でもそれがいつの間にやらすごく重要なイベントに位置づけられるようになり、僕の唯一の部下がそれに巻き込まれた。僕の上司から僕を飛び越えて僕の部下に話が向かった。その間「仁義」が切られることもなかった。部下が忙殺されているのを横目に、全くサポートしなかったわけではなく、多少は手伝った。それでも頑なに僕はその準備には首を突っ込まなかったし、上司からもっと関与しろとも言われなかった。全員が全員それに忙殺されたら他にやらなければいけない仕事が後回しになる。実際昨年度もそういう事態に陥って、本来ならその部下がやってなければいけなかったことができなかった。危機管理の点から言っても、2人で1つの仕事を片付けるだけでなく、時には分担というのも必要だと思う。

それでも、その会議の開催直前だった先週と、開催本番だった今週は、蚊帳の外に置かれた感じがあって、自分としては居心地のいい職場ではなかった。僕がもっと開き直れる人間であったなら、それはそれで割り切って自分がやらねばならない仕事に注力しただろう。部下をそういう会議に駆り出すと、留守中に降って来る様々な事案への対応は、留守番やってる自分で負うことになるので、それはそれでやったと思う。でも心の中で本当にこれでよかったのかとの不安が拭えない。この2週間はそんな不安との葛藤だった。

「ズルさ」が欲しいと思ったのは、そういう割り切り方がしたかったのかもしれない。

でも、最初からわかっていたことだけど、結局のところ本を1冊読んだくらいで心が救済されるわけではなかった。佐藤さんがこの本で言っているのは至極まっとうなことばかりで、社会人になりたての若者諸君は読むといい。取り分け、第4章「時間に追われない」の「必要な時間は最初から天引きしてしまう」、「人脈は仕事の中でつくるもの」、「「賢者の時間」を大切にする」、「休むことが人と文化を発展させる」あたりの小見出しが付いてるセクションや、第11章「上下関係を軽んじない」の「上司の8割は「おかしな人」だと考える」、「生き残る人の上手な逃げ方」、「複数の価値観を持つ」あたりはいい。

一方で、僕のようにアラフィフから徐々に本格的なフィフティーズに突入しようという年代の人間はもう社内の評価はあらかた決まっていて、これ以上の伸びしろはさほどない。それに、たとえ佐藤さんの本の中では批判の対象となっている行動を普段やっていたとしても、今さらやり直しがきくとも思えない。

まあ、そういう世代なわけです。納得いかない上司からは逃げて、たまにカレンダーに予定のない空白が生じるようなら思い切って休み、時には思索にふける時間を設け、考えをまとめるために文章を書く。会社で肩書がある期間も残り少ないわけだから、会社で役職から外れても外にアピールできる別の肩書を自分で準備する。そうやって、会社の保護から外れた後の自分のことを考えて行動していかないといけないということです。これはズルさではない、賢い生き方ということになる。



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