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『南朝の真実』 [読書日記]

南朝の真実: 忠臣という幻想 (歴史文化ライブラリー)

南朝の真実: 忠臣という幻想 (歴史文化ライブラリー)

  • 作者: 亀田 俊和
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2014/05/20
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
「不忠の足利氏、忠臣ぞろいの南朝」―こうした歴史観は正しいのか。皇統が二つにわかれた南北朝時代の、皇位や政策をめぐって頻発した内乱と、複雑に絡みあう人物相関を詳述。本当の忠臣は誰か、新たな視点で描く。

最近、仕事に関連する難しい本ばっかり読んでる気もしたので、息抜きで僕の趣味の1つである歴史、その中でも最も好きな南北朝時代を扱った本を購入した。好きなテーマだし、ある程度は知っている前提で読んでいるので読み方にメリハリをつけられる。ちゃんと読むべきところはじっくり読み、知っているところは適当に読み進めて、結構時間をかけずに読んでしまった。

僕自身は今でも皇国史観に基づく南朝礼賛が今も根強いとは思っていないが、南朝の歴史に惹かれるところがあることは否定できない。多分それは、100年以上かかって衰退の一途を辿って行った南朝の滅びの歴史に対するシンパシーが相当あるからだと思っている。

だから、本書の論点についてはそれほど意外感はない。この時代は北朝(幕府方)だけでなく、南朝方もドタバタをやっていたことはよく知っている。まあ、著者は南朝方が聖人君子ばかりの集まりではないと言いたいのだろうけど、僕はそれはかなりの部分、北朝方のドタバタの中で、弾かれた人が南朝にすり寄ってその権力を利用しようとしたところが大きいように思う。

とはいえそれだけでは説明できないぐらい、印象の悪い人物も南朝方には存在する。後醍醐天皇なんてその典型。元々印象がよくない人だったけど、本書を読んだらこの人の権力への執着の凄まじさを感じざるを得なかった。

予想通りに著者の評価の低かったのが後醍醐天皇だとしたら、予想以上に著者の評価が高かった人物もいる。護良親王と北畠親房だろう。特に、北畠親房の描かれ方は、これまで読んだ本ではボロクソなケースが多かったが、本書では親房の描かれ方がわりとフェアだったように思う。逆に予想と違ってこの人も腹に一物持っていたんじゃないかという描かれ方がされていたのが懐良親王。そういう見方もあるんだと意外だった。

こうして、本書を読んで見方が変わった人も多いのだが、南朝方も打算と裏切りが渦巻いていたと言いつつも、楠木正成、正儀父子には正当な評価をしている印象であった。腹に一物とは言わないけど、2人は超現実主義者であったという点については僕もそう思っている。取り分け、楠木正儀は、北朝に降りて吉野の南朝を攻めたりもしたことがあるだけに、皇国史観では極めて評価が低い人物だが、長年の争乱に嫌気がさしている畿内の空気も読んで、南北合一を果たそうとした努力はもっと評価されていい。

いずれにせよ、南朝の成立と衰退過程をひと通り知っておくにはいい入門書だと思う。

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