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『ぼくは眠れない』 [読書日記]

ぼくは眠れない (新潮新書)

ぼくは眠れない (新潮新書)

  • 作者: 椎名 誠
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/11/14
  • メディア: 新書
内容紹介
35年間、不眠症――――。ガバッと起きると午前2時、それが不眠生活の幕開けだった。毎夜同じ時刻に目が覚めて、眠れないまま朝になる。70歳にして探検旅行に挑み、ビールだけは欠かさぬ豪快さの持ち主には35年にわたる孤独な「タタカイ」があった。発端となっ た独立騒動、はかられた精神科受診、手放せない睡眠薬、ストーカー事件のトラウマ、眠気をさそう試行錯誤等を初めて告白。果たして「やわらかな眠り」は取り戻せるのか。

読者の皆様、この大型連休はどのように過ごされましたか?

この後半の5連休、ブログ更新もすっかり疎かにして、申し訳ありませんでした。なんだか慌ただしかったです。東京から岐阜に里帰りし、さらに里帰り期間中に京都まで日帰り旅行。京都日帰りの翌日には行楽客の帰りの大渋滞に巻き込まれながら6時間かけて帰京。連休最終日は地元の剣道大会に出場―――といった具合で。睡眠時間は7~8時間と僕にしてはタップリとって体力温存に努めたつもりでしたが、ギリギリ日付が変わる直前に帰宅した翌朝は、睡眠時間4時間で試合会場に向かったものの体がだるく、試合前のウォームアップで少し稽古しただけでめまいがしました。肝臓、相当弱っているんじゃないかと思いました。試合の結果は申すまでもありません。

結局、疲れを残した形で連休明けを迎え、今日に至っております。

さて、連休中、全く読書してなかったわけでもないけれど、実はある学会誌から書評を書くよう依頼され、その対象となる本を二度三度と読み直して過ごした。だから、その本のことを学会誌に先取りしてこのブログで書くわけにもいかず、かといって代わりになるような本は1冊しか読んでなかったものだから、いざブログ更新しようとしても書くネタがあまりなかったということでもある。

本日紹介する1冊は、連休明けに読みはじめたもので、新書サイズで、なおかつ著者が軽いエッセイが多い椎名誠さんだということもあり、通勤途中の時間を使ってあっという間に読み切ってしまった。僕はそもそもエッセイをそれほど読まないので、椎名誠さんの作品などこれまでほとんど触れたことがない。新書でなかったら、読もうとも思わなかったかもしれない。

椎名誠さんのイメージといったら、結構アウトドア派で、郊外にキャンプに繰り出してはビール片手にバーベキューで仲間と盛り上がっている人で、書かれるエッセイも国内外の旅行の旅先での出来事や見たり聞いたりしたことを軽妙なタッチで描くというタイプのものが多いように勝手に想像していた。僕らのような朝8時に出勤して19時過ぎに退社するといった単調な生活パターンの会社人間などにとっては、人生を謳歌している、羨ましすぎる生き方をしている人だという印象が強かった。

そんな人が、30代半ばまで会社勤めをしていて、それから独立してもの書きになっていたということや、豪快な外見とは裏腹に、実は独立後の35年間、ずっと睡眠障害に悩まされてきたという事実は、意外な気がする。作家になってから夜中に頭が冴えて眠れなくなり、酒を飲んだらかえってのどが渇いて目が覚めるようになり、睡眠剤への依存度が徐々に高まっていってしまったというご自身の話が、途中何度も脱線しながらずっと書かれている。その間に睡眠に関する本を20冊も読んで勉強もされ、様々な睡眠法やグッズを試したりもされている。

僕は元々があまり睡眠時間が多くないので、夜眠りに落ちるのは比較的早い。眠れない時にはふとんに横になりながら安眠を促すBGMでもかけて目を閉じるが、もっと効果的なのは英語で書かれた本を朗読したり黙読したりすることで、これは早ければペーパーバック2頁も読まないうちに眠りに落ちることができる。但し、我が家は一人住まいじゃないので、家人の物音や声で目が覚めることは多く、何度も起こされること自体は問題かもしれない。

眠れないというなら35年も試行錯誤していれば僕が実践しているのに近い睡眠導入法など思いつきそうなものだが、それに類する方法論がようやく登場した時には既に最終章。そこに至るまでの各章は、動物の睡眠時間だの、なぜ眠るのかだの、なぜ人は夢を見るのかだの、さながら睡眠をテーマにしたエッセイが中心で、「35年間、不眠症」なる帯のショッキングな文言に比べたら、深刻さがあまり伝わってこない内容だった。いかにも椎名誠さんが書くであろうようなエッセイだと思う。

自身の睡眠障害に関して、何らか解決の糸口を見いだせないかと藁にもすがる思いでおられる方には本書は要注意だ。エッセイはエッセイだという割切りで読まれた方がよい。

確かに、きっかけになった見知らぬ女性の侵入やストーカーまがいの行為は実際に経験したらゾクッとすると思う。想像するだけでも背筋が寒くなる。また、出版社の担当編集者がかけてくる電話が、深夜や早朝の非常識な時間帯で、でもそれがこの業界では普通のことなんだという話も、想像するだけでもつらさを覚える。でも、なんか軽いんだよなぁ。

それに、椎名さんは眠りに落ちるための方法に関しては最終章で解決の糸口らしいものに言及しておられるが、椎名さんの場合、最初に眠りに落ちることに加え、すぐに目が覚めてしまうという別の問題もあり、これについては解決の糸口にすら到達していないような印象。

そういう状況で35年間もやってこれたのだから、結局のところ、睡眠時間が少ないことを不安がるよりも、仕事で高ぶった脳と神経をどのようにクールダウンさせるかとか、シエスタ等を適度にはさんでいかに疲れを軽減するかとか、そういう対処法を考えることで、ある程度健康は維持できるということなのかもしれない。

タグ:椎名誠
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