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スマートシティ・環境未来都市早わかり [仕事の小ネタ]

図解 スマートシティ・環境未来都市 早わかり (1時間でわかる)

図解 スマートシティ・環境未来都市 早わかり (1時間でわかる)

  • 作者: 白井 信雄
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2012/11/30
  • メディア: 単行本
内容紹介
東日本大震災以降、それまで潜在的であった都市の抱えるリスクが顕在化し、対応が求められるようになりました。“持続可能性”を重視した都市づくりに大きく舵が切られる中で、「スマートグリッド」や「再生可能エネルギー」「モバイルワーク」「シェアリング」にまつわる、さまざまな新たなビジネスがクローズアップされています。現在を、明治維新、昭和の戦後復興に続く、“第3の革命”ととらえる著者が、そのダイナミズムと都市ビジネスをわかりやすく解説します。

最初に結論を言おう。地元の図書館で借りて読んでみたけど、仕事の参考になるからこの本は買おうと思う。

このところの自分の読んだ本を振り返ると、幾つかのキーワードが思い付く。「未来」「環境」「ものづくり」がすぐに出て来るキーワードだが、その捕捉範囲をさらに半年以上拡げるともう1つのキーワードが浮かび上がる。それは「都市」と「データ」である。要するに、今まで読んできた本の延長線上にあるのは、各々のキーワードをつなぎ合わせて「環境未来都市」となるわけで、さらに言えば、様々な器具や端末をネットでつなげてデータをやりとりし、それを生産性向上やエネルギー効率の改善につなげようとする「スマートシティ」「スマートコミュニティ」なのである。いわば、僕が「環境未来都市」や「スマートシティ」「スマコミ」等をテーマにした本を読むのは当然の帰結とも言える。

これらのテーマについては、断片的にはいろいろな書籍や資料で読み、専門家から直接話を聴き、具体的な自治体の取組みを自分なりに調べて、なんとなくこんな感じかなというイメージは形成してきていた。でも、そうしたいわば断片的な情報をつなぎ合わせたら、どんな全体像が描けるのか―――ちょっと立ち止まって、整理してみようかと思ったのがこの種の本を読もうとした動機だった。

本書はいずれ購入するから、僕自身のナレッジマネジメントの一環としてここにメモっておくことはあまり必要ないかもしれないが、このブログの読者は僕だけではないので、僕なりに整理したこの本の内容の一端を以下でご紹介しておこう。

こうした新しい都市構想が出てきた背景として、現在の都市は幾つかの弱点やリスクを抱えていることがある。本書はこれを「3つの危機」と表現する。➀エネルギーの枯渇、②温暖化の進行、③少子高齢化が進行して都市が縮小する、の3つである。

都市の弱点・リスクの克服を目指した取組みとして最初に紹介されているのが「スマートシティ」構想である。「スマートグリッド」を中核とした街づくりや、「スマートハウス」「スマートビル」等の、エネルギー効率の高い建築物やインフラを整備して街全体の環境負荷の最小化、エネルギー効率の最大化を実現しようとする取組みである。でも、「スマートシティ」構想には、ソフトウェア、ヒューマンウェアのデザインが不足し、ハード先行で構想が立てられていること、住民不在、企業主導で進んでいることといった死角がある。

そこで出てきたのが「環境未来都市」構想である。こちらの方は、各地域の個性を重視した都市づくりや少子高齢化への取組みも含まれる。元々は政府が最初に打ち出した「環境モデル都市」があり、続いて「環境未来都市」が出てきて、国内の幾つかの自治体が実際に選ばれている。

内閣府のHPによると、「環境モデル都市」とは、「我が国を低炭素社会に転換していくため、温室効果ガスの大幅削減など高い目標を掲げて先駆的な取組にチャレンジする都市を「環境モデル都市」として選定・支援し、未来の低炭素都市像を世界に提示」し、そこでは「地域資源を最大限に活用し、低炭素化と持続的発展を両立する地域モデルの実現を先導」するとある。平成20年に13都市、24年に7都市、25年に3都市が選ばれている。

一方、「環境未来都市」とは、「環境、社会、経済の三側面に優れた、より高いレベルの持続可能な都市」であり、「環境・超高齢化対応等に向けた、人間中心の新たな価値を創造する都市」を基本コンセプトに、平成23年度に11都市・地域が選定されている。「環境モデル都市」「環境未来都市」双方に選ばれているのは、北海道下川町、富山市、横浜市、北九州市である。

しかし、著者によれば「環境未来都市」にも死角があるという。➀環境・社会・経済の連携に欠ける、②未来を共有する人づくりに欠ける、③周辺地域との連携に欠ける、といった点だという。要は、「環境、社会、経済の三側面に優れた」といってもその連携は十分ではなく、「人間中心」としつつも人づくりには十分な取組みがなされているとは言い難いのだという。

そこで著者は理想的な未来都市として「サステナブルシティ」という新たな概念を提示する。そこで必要な3つの原則として、➀将来及び他地域との共生、②起こり得る危機への適応、③住民の参加と活力、を挙げ、「サステナブルシティ」を形成する基盤として、➀最先端の科学技術を背景に環境保全やエネルギーの有効利用へ配慮できる「ハードウェア」、②社会の脆弱性を改善し、強靭性(レジリエンス)を高める制度、行政という「ソフトウェア」、③そして最も重要な基盤として、住民・市民の参加という「ヒューマンウェア」やアクター間のつながり、信頼性といった「社会関係資本(ソーシャルキャピタル)」を挙げる。

では、「サステナブルシティ」では何がどう変わっていくのか、どこにビジネスチャンスがあるのか。

(1)エネルギーシステム:再生可能エネルギー、蓄電システム、市民共同発電
(2)交通システム:エコカー、高度道路交通システム(ITS)
(3)不動産:サステナブル不動産
(4)災害対応:レジリエンス(災害適応力)
(5)生活スタイル:テレワーク(通勤地獄からの解放)、複数の居住地、癒しの里山での健康づくり
   シェアリングビジネス
(6)人とのつながり:人々が出会い、刺激し合う場をつくるビジネス、高齢者を人的資源と捉える、
   多様な人材を生かす都市づくり、農山村と連携して都市の弱点を克服

実際のところは、「環境未来都市」と「サステナブルシティ」で概念的に大きく変わるところはないと思う。「環境未来都市」は結局のところ政府が11の自治体を決めて成功事例として内外に普及を図ろうとするものなので、全ての都市に適用される制度とはなっていない。だから、「環境未来都市」の指定は受けていないけれども持続可能な都市づくりに取り組んでいる多くの自治体の取組みは、「サステナブルシティ」という概念の中で捉えておいてよいのではないだろうか。

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