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『未来の働き方を考えよう」 [読書日記]

未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる

未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる

  • 作者: ちきりん
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/06/12
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
変化を恐れて過去にしがみつくのではなく、変化を前向きに受けとめ、新しい時代の可能性を楽しもうとする姿勢が、時代の変わり目には重要です。社会が激変する次の10年を楽しくワクワク生き抜くために!

社会派ブロガー、カリスマブロガー等と呼ばれ、フォロワーも多いであろうちきりんさん。恥ずかしながらその存在を知ったのは意外と最近、著書を読んだのは今回が初めてだった。「です・ます」調の文章はやさしいし、統計データを用いてそれなりに説得的ではあるとは思う。定年がどんどん延長され、60代、70代でも働くことが期待される中で、従来通りの1ヵ所で働き続けるという考えからシフトし、40代で残りの働き方を一度考え直すべきだ、というのが著者の言いたかったことなのだろう。でも、読んでて途中ぐらいから「あれ?」と思いはじめて、読み続けるのが苦痛になった。

この本を50代の僕のような人間が読むと、それはあなたが独り身でいて子供がいないから言えることだという反論はやはりしたくなる。まだ教育に金のかかる子供がいて、妻にはできるだけ今の仕事にしがみついていて欲しいと言うし。それゆえ僕は自分が今本当はやりたいことを我慢して、時に納得いかない上司の指示にも我慢を重ねて、それでここまでやってきたのだから。先ずは自分が大事、自分だけが良ければそれでいいということなら、或いはこの生き方を選択して周囲に迷惑がかからないのであれば、こういう生き方はありだと思う。ただ、それで海外旅行とかできるという生き方は、それなりに金もかかる。

僕はちきりんさん自身が本書で推奨している生き方を実践できた最大の理由は、それだけの蓄えがあり、かつ収入もある人だったからだと思う。40代までにこういう生き方を選択する人がいてもいいとは思うが、全員が全員そうできるという保証はないと思う。ちきりんさんのような勝ち組がいる一方で、多くの負け組も存在する。

もう1つ、この本に違和感を覚えた理由は、その議論の大半がリンダ・グラットン著『ワーク・シフト』の受け売りだからだ。別にそのことを著者が隠しているわけではなく、堂々と『ワーク・シフト』から引用している箇所も多いが、漫然と未来を迎えるのではなく、主体性を持って未来の生き方を選択していくことが重要という論点など、まるでそっくりで、それなら『ワーク・シフト』の方が読んでて面白い。

ブログで紹介する順序は逆になってしまったが、僕はちきりんさんの著書を最初に読んで、それから『ワーク・シフト』を読んだ。だから、ちきりんさんの著書に対してポジティブな感想を1つ述べるとしたら、それは『ワーク・シフト』という良書を紹介してくれたことであるといえる。

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