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未来予測の本2冊 [読書日記]

僕たちの業界では、2030年の地球と国際社会の姿を予測し、その予測とあるべき理想の姿のギャップを埋めるためには予測される姿に対してどのような取組みをこれからの15年間でやらなければいけないか、いつまでに何をしておくべきか、具体的な目標で示して国際社会で合意しようという国際交渉の動向に注目が集まっている。そのためには、そもそも何もせずに普通に世の中の流れに任せていたら、2030年なり2050年なりには何が起きているのかという未来予測について理解しておく必要があると僕自身も強く感じている。

また、子を持つ親の立場からすれば、うちの子ども達が社会に出る2020年代から30年代にかけて、多分労働市場での需要が高まっているであろう職種が何であるかを予測し、そのために大学でどのような専攻をすべきかを考え、その学部に入るためには中学高校でどのような準備をしておくべきかを考えておく、バックキャストの必要性も痛感している。

うちの子ども達もそうであるが、往々にして子ども達自身がそういう予測に耳を傾け、そのために今何をしたらいいかを自分で考えるような習慣がついていない。自分だって、中高生の頃から英語の勉強するのに本気を出した最大の動機は、得意だったとか、それを評価して頼ってくれる女子のクラスメートがいたとか、親に言われて週1回通わされたバイブルクラスで先生の話す英語が理解できなかったとか、要は目の前の要請にどう応えるかという需要追随型の勉強をしていた。今から思えば、田舎町であってもグローバル化を見越して無理やりネイティブの英語に身をさらすような機会を長男に与えようとしたのは親であり、子の将来を見越してバックキャストで子にいろいろやらせようとするのは親の役目なのかもという気がする。そうして、その意味を理解できずに親の言うことにいちいち反発するという親子の葛藤も、昔も今も変わっていない気がする。

全ての未来予測が同じ未来像を描いているかといえばそうでもない。そういう本をいろいろ読むうちに、何が何だかよくわからなくなることもあるが、まあそれぞれの本の要旨ぐらいは読了するたびに整理しておきたいものだ。今回は、3月に読んだ未来予測に関する本2冊をまとめて紹介してみたい。

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21世紀はどんな世界になるのか――国際情勢、科学技術、社会の「未来」を予測する (岩波ジュニア新書)

21世紀はどんな世界になるのか――国際情勢、科学技術、社会の「未来」を予測する (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 眞 淳平
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2014/04/19
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
未来を予測するのは難しい作業です。これに対して本書では、多様なデータをもとに、今までの傾向が続きそうな分野(出生率の低下など)と、日進月歩で研究・開発が進んでいく分野(宇宙探査、次世代エネルギー、医療技術、ロボット、BMI、軍事技術など)、双方の将来像を予測し、今世紀の社会の姿を浮き彫りにしていきます。21世紀の世界を一緒に見ていきましょう!

先ずは岩波ジュニア新書の1冊。このシリーズでは何冊かの著書が既にある科学ジャーナリストの方による21世紀予想だ。人口動態のように確実に起こることが予想されるもの、時代の趨勢からいってほぼ間違いなく今世紀末までに起こるであろうこと、実現に向けて取り組まれているけれども今世紀中の実現はかなり難しいことなどが、わかりやすく整理されている。国際関係とか、世界的な貧困削減への取組状況とか、元々著者のご専門ではないかもしれないことであっても、著者のご専門の科学技術の発展を促す外部条件ということでしっかりフォローされている。

そして、元々が著者のご専門である科学技術の進歩については、かなり詳しく述べられている。温室効果ガスのもたらす地球環境への負荷への警鐘も鳴らしつつ、そのために科学技術が何に取り組み、いつ頃までに何が実現しそうかも述べられている。水素社会への言及も当然あるだけでなく、超高齢社会化が進む今世紀に大きく進みそうな、老化とともに進む身体機能の低下を抑制する技術の開発への言及もある。iPS細胞のような生化学の領域から、ロボットのような工学的領域まで幅も広い。中高生向けの書籍だけれど、科学に対して門外漢の僕のようなオジサンにとっても、こうした整理された情報はきわめて勉強になる。

こういう書籍は中高生が今後の進路を考える時には非常に有用だと思う。

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そういう良書と並列で扱うのは違和感もあるが、次に紹介する1冊はこれとは全く違う、地政学的考察から生まれた21世紀の未来予測である。

100年予測 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

100年予測 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 作者: ジョージ・フリードマン
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2014/06/06
  • メディア: 文庫
内容紹介
「影のCIA」の異名をとる情報機関ストラトフォーの創設者が、21世紀に起こる政治・経済の危機、国際紛争、宇宙や自然エネルギー開発を地政学的見地から予測! 2020年までに中国は分裂の危機に瀕し、ロシアはアジアや欧州に進出。2050年、勢力を増した日本とトルコは、米国、ポーランドと世界戦争に突入。やがて世界の中心は北米大陸に移り、メキシコと米国が頂上決戦へ。クリミア危機を的中させた話題の書。

この本は、ロシアによるウクライナへの介入をちゃんと予測していたというので評判にもなった。ストラトフォー(Stratfor)というのは、しっかりしたウェブサイトも持っている米国の民間情報機関で、地政学的な分析から未来を予測するシンクタンクらしい。

地政学、地政学と本文中で連呼して、その有用性をアピールしていて、近々起こるであろうロシアの衰退とか、2020年代の中国の分裂とか、まあ今の状況からして10年ぐらい先には起きていそうなことだとは思うが、本当にそうかなと懐疑的な見方をしながら読み進めるのがいいかもしれない。近未来の話であっても、イスラム国の台頭についてはほとんど言及していないので、ロシアのウクライナ介入を予測したからといって、彼らの予測が全部当たるという保証はない。著者の基本思想は制海権を有する国が強いということなので、大西洋・太平洋ににらみのきく米国は21世紀を通じて世界の超大国に君臨するが、それに一見対抗できそうな中国は、海洋進出の出口を塞がれていて、今後米国に匹敵する勢力とはなり得ないと著者は考えているようである。その一方で、本質的に海洋国家である日本がやがて米国に対抗できる国として台頭してきて、2040年代には米国と日本が一戦交えるというのは、地政学的には可能性あるかもしれないけど、日本の超高齢化という人口動態や、公的債務の積み上がり状況など、地政学とは異なる要因を見ていると、やっぱりあり得ないだろうと思えてしまう。

この本を読んでいると、今最も旬な話題の1つである中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加問題も、日本は取り残されちゃって野党が外交的敗北だと言って与党攻撃の格好の材料にしているけれど、中国が予想通りに2020年代に分裂の危機に陥ったりした場合、AIIBのメンバー国に入ってなくてよかったなんて事態もあり得るのかもしれないですね。

しかも、途中まではちゃんと地政学に基づく予測になっていたように思うが、著者の「地政学」に基づく予測によれば、2040年代に日本が米国に先制攻撃を仕掛けるとしたら、それは地球上ではなく、月面なんだという。まるで「機動戦士ガンダム」の世界だ。月面で戦争やるのがなんで地政学で説明つくのかわからず、僕は2040年以降の予測は割り引いて飛ばし読みした。さすが、こんなSFチックな本が早川書房から出ているというのが象徴的だ。読んでて途中からSF小説かと見まがうような内容に展開していってしまった。

それ以降の予測では、日本が叩かれた後、21世紀後半に台頭してくるのはメキシコだそうだ。というか、米国自体がメキシコからの移民をガンガン受け入れて、メキシコ自身が北米大陸で勢力を拡大し、米国がメキシコ化しているであろうというのも大きいだろう。

地政学、地政学というのはいい。でも、高齢化が進んで世界的に移民受入れ競争が起こる中で米国が一人勝ちするという予測はいいにしても、受け入れた移民にイスラム国的過激思想を持ってる奴が相当含まれているリスクはほとんど考慮していない。また、日本が米国のライバルとして極東で台頭するといわれれば聞こえはいいが、日本の財政赤字がどれくら足枷になるのかについても考慮されていない。米国一人勝ちになるというのはいいが、米国が温室効果ガスの最大の排出国になっているんだから、その国が一人勝ちするということで気候変動はどうなってしまうのか。

地政学だけでは語れない重要要素もあるように思うんですけどね。
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うしこ

フリードマンさんの予測となると、興味あります。さっそく読んでみます。
by うしこ (2015-04-11 10:04) 

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