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『僕は小説が書けない』 [読書日記]

僕は小説が書けない

僕は小説が書けない

  • 作者: 中村航・中田永一
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2014/10/31
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
生まれながらになぜか不幸を引き寄せてしまう光太郎。引っ込み思案で心を開くことができず、親しい友人もいない。血のつながりのない父親との関係をはじめ、家族との距離感にも悩んでいる。高校に入学した光太郎は、先輩・七瀬の勧誘により廃部寸前の文芸部に入ることに。実は光太郎は中学生のとき、小説を書こうとして途中で挫折した経験があった。個性的な先輩たちや強烈な個性のOBふたりに振り回されながら、光太郎は自分自身の物語を探しはじめる。かつてない青春小説。

中学・高校あたりを舞台にした青春小説を得意とする2人の作家による連作。角川の文芸誌『野生時代』に連載され、中村航と中田永一が交互に執筆して1つの長編として紡いでいったものだ。ずっと昔にブログでも述べたことがあるが、中村航は僕の高校の後輩だが、登場する主人公が優男すぎ、作風全体を通じても繊細さが際立ち、叩いたら壊れてしまいそうなストーリーが多くて、力強さに欠けるところを嫌ってあまり作品を読んだことがない。一方の中田永一の方は、このペンネームでの発表作品がそもそも少ないので判断いたしかねるところがあるが、「乙一」のペンネームでの作品とも共通して、ミステリー的要素が各作品の中に脈々と息づいており、ちょっと気を緩めると結末のどんでん返しに向けて張られた伏線を見落とすこともある。

この2人がコラボするとどんな作品になるか。しかも、毎月交互に書いていくのだから、相手の担当月の作品の展開が読めないわけで、伏線を散りばめておくというのにも制約がありそうだし、中田作品の主人公は中村作品のそれに比べたらまだ芯の強さが垣間見えるところがあり、2人が同じ主人公を描いていても、その人物像にブレが生じるかもしれない。

いちばんの関心事は、作者が交替する場面がどこか、交替することによってお互いの作風の良いところがどのように生きてくるのかという点だった。でも、結果的に読み終わってみると、そうした作者交替を匂わせる箇所は簡単に特定できなかったし(多分、1行開けられていた箇所で作者交替があったと思われるが)、人物像のブレもほとんど感じることもなく、作品として楽しむことができた。さすがはプロの作家だと思う。ただ、さすがに文中いたるところに伏線を散りばめるというわけにはいかなかったのか、結末に向けてもあまり大きなどんでん返しというのはなかった。高校卒業してから年数も経っている筈のOBが今でも高校の部活動に頻繁に顔を出しているという時点で、何かあるぞと読めてしまったので、展開にあまり意外感はない。2人の作家による連作とはいえ、僕個人の印象としては中田永一の元々持っている作風に近い作品に仕上がっているという印象。

高校を舞台にした青春小説なので、オジサンがコメントするのもおこがましい。もっともっと若い人に読んで欲しいと思うが、この作品を読んでて思い出したのは、そういえば僕も高校時代に小説書いてたなということだった。

1年の時には現代国語の授業で、クラス全員が毎回交替で、授業の最初の15分ほどで、書いた作文の朗読をやらされていたし、2年の春の選抜甲子園大会での伊東昭光を擁する新鋭・帝京高校(当時はね)の活躍、決勝での高知商・中西と伊東の息詰まる投手戦、そして延長戦でのあっけない幕切れ―――そういうのに感化されて、高校野球部を舞台にした小説を書こうと試みたのである。2年の春から、3年の夏休みにかけてのことだ。

受験勉強に本格突入する前にやってた余興だが、大学ノートに書き溜めた小説はノート3冊ほどにも及んだ。そして、残念ながら高校卒業して上京する前日、部屋の整理をする際に、恥ずかしくて家の畑で燃やしてしまった。今にして思うとなんとももったいない。

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