学生剣士の快挙 [趣味]
3日の文化の日に開催される恒例の全日本剣道選手権は、初出場の若手剣士同士、しかも福岡代表同士による決勝戦となり、筑波大学3年生の竹ノ内佑也選手(四段)が、福岡県警の國友練太郎選手(四段)から鮮やかなメンを2本奪い、初優勝を果たした。全日本剣道連盟によると、21歳5ヵ月の優勝は史上最年少で、出場者の大半を警察官が占めてきた中での大学生の優勝も43年ぶりという快挙。その後のテレビ報道では、例年ならNHKが夜7時のニュースで報道するのが関の山だった全日本の結果が民放のニュースでも報じられ、翌朝の民放のバラエティ番組のスポーツニュースのコーナーでも取り上げられていた。
知合いの何人かが当日は日本武道館で観戦されていたが、僕はNHKの夕方からの90分ダイジェスト番組で子供と一緒に見ていた。竹ノ内四段が準決勝で見せたメン返しドウ、決勝での1本目のコテ・メン二段打ちなど、剣道をやっている子供にも非常に勉強になったし、僕自身も参考になった。既に五十を迎えて20~30歳も違う若手剣士にはスピードでまったく勝てない自分が、今もっとも磨かないといけないのが返し技であり、また世代的に近い相手と対戦する時によく二段打ちは使っているので、竹ノ内四段が準決勝、決勝で見せた技は、いずれもお手本にしたいような素晴らしいものだった。(準決勝二本目のコテは、スロー再生してテレビの解説者が口をつぐんでしまったけれど、きれいに決まっているように見えたし、審判の旗が上がるのも当然だと思えた。)
単に学生剣士による快挙だったというだけでなく、竹ノ内四段の試合はお手本となる技が多かったこともあり、大いに刺激を受けた僕は、居ても立ってもいられず、竹刀を手に取ってお隣の神社の境内で素振りを始めた。年齢とか、手の内の堅さとかから、2年前から両手首の十字靭帯を痛めていて、加えて今年は右ひじも痛めてしまい、なかなか重い竹刀で素振りをやるという勇気が持てないでいたが、あんな試合を見せられたら、やっぱり素振りやらないとなという思いの方が強くなった。
ちなみに、僕が最も印象に残っているのは、今から11年前の第51回大会、近本巧選手対安藤戒牛選手の愛知県勢同士の決勝戦だ。前年の覇者である安藤選手が決勝で決めたメンに感銘を受け、やっぱり剣道はメンだよなと思っていて、翌年の大会でも安藤選手の連覇に期待しながら観戦していたところ、近本選手の動きがキレキレで、準々決勝ぐらいから既に優勝するんじゃないかという雰囲気を醸し出していた。結果はメン2本で近本選手の勝利。2本目のメン相打ちはしびれた。
今大会の竹ノ内選手にも、準々決勝ぐらいから既に優勝するんじゃないかというぐらいの勢いを感じた。
テレビで解説されていた石田利也先生が、来年5月の世界選手権の代表選出についてやや言葉を濁していたようだが、確かに、世界選手権の代表選考は韓国や米国と対戦してどうかという点が考慮されると思うので、勢いで全日本を制した後、その勢いを来年5月まで持続できるかどうか、今回は緒戦で姿を消した全日本の常連の剣士の安定性を取るか、いずれにしても代表選考は見ものだ。若手剣士が全日本で結果を残したことで、代表選考は混とんとしてきたのではないだろうか。
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