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『官兵衛、駆ける。』 [読書日記]

官兵衛、駆ける。

官兵衛、駆ける。

  • 作者: 吉橋 通夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/11/15
  • メディア: 単行本

内容(「BOOK」データベースより)
信長・秀吉・家康に重用され、生涯の戦で一度も負けなかった黒田官兵衛。天下一の軍師と呼ばれた官兵衛の戦略は、「戦わずして勝つ」。その原点は、どこにあるのか?野間児童文芸賞受賞作家・吉橋通夫が渾身の力をこめて描く黒田官兵衛!
表紙の緑が鮮やか過ぎて、図書館でついつい借りてしまった歴史小説。

但し、内容的には小中高校生向きである。長々と感想を書く気にはなれないくらいに短い作品で、官兵衛が未だ「小寺」姓を名乗っていた頃、初戦で九死に一生を得る戦をやり、しかも自軍が態勢を立て直す前に楽勝ムードの敵軍に夜襲をかけて、ただでさえ深手を負って消耗しきっていた自軍の有力な幹部を戦死させてしまうという出来事があった。本書では、それぞれに家族もいる味方の兵士をいたずらに戦闘に投入するのではなく、調略も絡めてなるべくなら戦わずして勝つという官兵衛の考え方がどのように形成されていったのか、若き日の官兵衛を描きつつ紹介している。未だ盟友・羽柴秀吉との出会いもなく、当然ながら竹中半兵衛とも未だ出会ってもいない。

官兵衛といったら高松城水攻めや中国大返しが有名だが、そんな鮮やかな戦ではなく、交渉によって敵も兵士に犠牲者を出さずに和睦や降伏に持ち込む官兵衛の姿が印象的だ。官兵衛の功績には十分な造詣がなくとも、こういう考えをする人が戦国の世の中にもいたというのを知るだけでもいいかも。また、当時の播磨国は群雄割拠状態で、織田や武田、上杉、毛利らが天下獲りに向けて戦に明け暮れていた間も、播磨一国だけの小さな器の中で、領地の獲り合いを繰り広げていた。そのなかなか理解しにくい播磨の国内の勢力争いを、小中高生向けに平易な文章で描いている点でも、わかりやすくて好感が持てる作品。

我が子が万が一にでも戦国時代に興味を持ってくれたら、読むことを薦めてもいい1冊。

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