『神去なあなあ夜話』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)
三重県の山奥で、林業に取り組む平野勇気、20歳。神去村の起源、住人の暮らし、もちろん恋にも、ぐいぐい迫ります。お仕事小説の旗手が贈る、林業エンタテインメント小説の傑作。
この1つ前の記事でもご紹介した通り、今週は続けざまに三浦しをんさんの作品を読んだ。『神去なあなあ夜話』は今週木曜日まで続いたバンコク出張の携行し、全ての仕事を終えて空港に着いてからようやく読み始めた。バンコクから成田までは夜行便だったので、機内では結局あまり読めなかった。一気に読み進められたのは実は成田到着以降の話。最寄り駅まで行くリムジンバスに乗ったはいいが、通常1時間30分ほどで到着できるのが高速道路はずっと渋滞で、結局3時間近くかかった。本はかなり読めたが、夜行便の機中でエコノミークラスの席でじっとしているだけでなんとか症候群というのに近い症状った上に、リムジンでの3時間弱の移動で、帰宅した時にはヘトヘトだった。ろくに休憩もせず、金曜午後は仕事に出かけた。その間にほぼ読み切った。
『舟を編む』を読んだ後だったので、どうしても見劣りしてしまうのは仕方ないところだ。主人公が自分目線で語っているところも『舟を編む』とは大きく異なり、しかもその主人公の二十歳の目線で描かれているために、ちょっと軽さというか、落ち着きのなさというのを感じざるを得なかった。
ただ、小説ではそれぞれ著者が読者に訴えたい訴求ポイントがある筈で、そこは『舟を編む』と『神去なあなあ』の場合は違うので、一概にどちらがどうだと優劣をつけることは難しい。実際、こちらの作品では山間地の林業の実態や直面している課題にさりげなく言及されている箇所もあり、また地域に残る伝承や風習についても述べられている点には好感も持てる。二十歳とはいえ、勇気クン、そうした見聞をちゃんと記録に残しておこうと努めているその姿勢はエライと思う。
三浦さんの作品の中には読後に読者が何かの行動を起こしたくなるような気持ちにさせるものがいくつかあるが、『神去』は是非シリーズ化して、見過ごされがちな日本の森林に若い人々の目が行くようになっていって欲しいと思う。
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