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再読『ロスジェネの逆襲』 [池井戸潤]

ロスジェネの逆襲

ロスジェネの逆襲

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2012/06/29
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
ときは2004年。銀行の系列子会社東京セントラル証券の業績は鳴かず飛ばず。そこにIT企業の雄、電脳雑伎集団社長から、ライバルの東京スパイラルを買収したいと相談を受ける。アドバイザーの座に就けば、巨額の手数料が転がり込んでくるビッグチャンスだ。ところが、そこに親会社である東京中央銀行から理不尽な横槍が入る。責任を問われて窮地に陥った主人公の半沢直樹は、部下の森山雅弘とともに、周囲をアッといわせる秘策に出た―。直木賞作家による、企業を舞台にしたエンタテインメント小説の傑作!
持ち回りの宿直で、会社に泊まり込んだ。宿直時間の間は基本的に緊急連絡への対応と時々自分で情報収集をするぐらいで、18時から翌朝の9時過ぎまでやることもなく、持ち帰り残業やればいいじゃないかというご批判もあろうことかとは思いますが、小説でも読んでしまおうかと考えた。

池井戸潤さんの半沢直樹シリーズの最新刊『銀翼のイカロス』が間もなく発売される。『銀翼~』についてもいずれ早い時期に読んで感想を述べたいと思っているが、その前に復習を兼ねて『ロスジェネの逆襲』を読んでおくことにした。

2012年発刊のこの本は、かなり早い段階で一度読み切っているが、その後『半沢直樹』としてテレビドラマ化された「バブル組」の2部の続編として、テレビドラマ放送終了後から注目を集め、多くの人が読んだ作品となっている。突然の出向命令で系列の証券子会社に行くことになったところでドラマは終わっているが、出向先でも「倍返し」は続くというわけだ。

今回は、ドラマでも登場した同期の渡真利や近藤、中野渡頭取、内藤部長は出てくる。なので、半沢のセリフは堺正人さんのイメージで、中野渡頭取のセリフは北大路欣也さんのイメージで、その他ミッチーや古田鋼太郎さんが実際にそのセリフを言っているのをイメージしながら、楽しく読むことができた。

2年前に初めて作品を読んだ時の印象として、半沢部長の印象は強くなかった。本のタイトルからも想像できる通り、元々の主題は「ロスジェネ世代」と「バブル世代」の対決というところにあり、ロスジェネ世代の代表格である半沢の部下の森山と、東京スパイラルの瀬名社長が前半の主役となって、バブル世代の食い散らかした負の遺産のせいで貧乏くじを引かされたと鬱屈したロスジェネ世代の空気を体現している。

しかし、ストーリーが進むにつれて、こうしたロスジェネ世代が持つ、「どれもこれもバブル世代の連中のせいだ」という感覚が実は甘えに過ぎず、どの世代であっても、自分の仕事に誇りを持って力を注ぐことが大事であることは変わらないのだという考え方が前面に押し出され、世代を越えた連帯感が生まれてくる。当初はぎすぎすしていた半沢部長と森山らの関係も、ストーリーが進むにつれてより打ち解けていき、絆らしいものが生まれていくのである。

そして、読み進めるにつれてやっぱり後半は半沢直樹大活躍だった。ただ、彼が生かした情報のピースの多くは、部下の森山君のお手柄によるところも大きい。ストーリー全体を通してみると、主人公が2人いるというのが適切なのかもしれない。

出向先でも親会社に対して「倍返し」を果たした半沢は、出向期間わずか数カ月で東京中央銀行復帰を果たす。今改めて読み直してみると、復帰先は営業第二部次長ということで、出向前のポストへの復帰とあいなったわけです。そこで与えられる次のタスクは経営破たんに直面した大企業の立て直しとなっていくのである。

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