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『黄金の旅路』 [読書日記]

黄金の旅路 人智を超えた馬・ステイゴールドの物語

黄金の旅路 人智を超えた馬・ステイゴールドの物語

  • 作者: 石田 敏徳
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
50戦7勝、2着12回、3着8回―現役時代、勝ち切れなかった馬が、オルフェーヴル、ゴールドシップ、フェノーメノ、レッドリヴェールといったG1産駒を次々と輩出。いまや日本有数の種牡馬にまで成り上がった“大逆転”の軌跡。
先週開催された日本ダービー、牝馬による制覇があるのかと注目されたレッドリヴェールは12着に終わってしまった。1週前のオークスではローテーション的にきついと判断してのダービー出走かと思われるが、府中の左回りコースでは左によれる癖のあったステイゴールドの産駒ではオークスであってもダービーであってもちょっと大変だったかもしれない。

僕達は1990年代末から2000年代のはじめにかけて、現役時代の勝ちきれないステイゴールドを何度も見ていた。G1では好走して着順表示板に載るのに、G2、G3での格下相手のレースでも同じように勝ちきれず、3着というのがやたら多かったと記憶する。同世代の強かった馬といえばテイエムオペラオーだが、毎回当たり前のように1位入線を果たすオペラオーに比べると、ステイゴールドはついつい応援したくなる馬だった。

さんざん試行錯誤を繰り返した後、武豊騎乗で目黒記念を勝った時は本当に嬉しかった。(ステイゴールドといえば熊沢重文騎手とのタッグが有名だが、重賞を勝てるようになると熊沢騎手がなかなか乗らせてもらえなくなっていったのがちょっと残念。)海外G1を勝ったと聞かされた時も長くやってればいいことがあるというのを身をもって示してくれた。

現役時代の勝ちきれないステイゴールドだったから、種牡馬になるといってもさほどの期待はしていなかったのだけど、世にあまたいるサンデーサイレンス産駒のG1種牡馬を押しのけ、成功しているのも、サラブレッドの生涯も、単に競争成績だけじゃないというのを示してくれて嬉しい。現役時代の実績からいえば、ジェニュイン、タヤスツヨシ、マーベラスサンデーなどの方が上だが、産駒の成績でいえばステイゴールドの方が圧倒的に上だ。そして、同じく産駒に良績馬が現れずに不遇をかこっていたメジロマックイーンにも光を当ててくれたことを感謝したい。

そうした様々な思いがあって、この本は発売されてから割とすぐに書店で購入した。僕は馬券を毎回買うようなディープな競馬ファンではないが、テレビの競馬中継はわりとよく見ている。自分の見てきたものを記録として残しておいてくれるようなルポは、大事にとっておきたい気持ちだ。

さて、冒頭のダービーの話題に戻る。1番人気は皐月賞馬イスラボニータで、結局この一番人気馬との叩き合いを制して勝ったのはワンアンドオンリーだった。その父はそれぞれフジキセキとハーツクライで、いずれもサンデーサイレンス産駒だった。フジキセキは現役時代、皐月賞出走を前に故障で引退を強いられ、産駒はほとんどが短中距離で活躍していたが、クラシックには無縁だった。イスラボニータが初の産駒のクラシック制覇。そして、現役時代ダービーに勝てなかったハーツクライの産駒として、ワンアンドオンリーが初めてダービー制覇を果たした。競馬にはこうした血統のドラマがある。いずれフジキセキやハーツクライのドラマを読んでみたいと思う。

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