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『地域を変えるデザイン』 [仕事の小ネタ]

地域を変えるデザイン――コミュニティが元気になる30のアイデア

地域を変えるデザイン――コミュニティが元気になる30のアイデア

  • 作者: issue+design project
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2011/11/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
内容(「BOOK」データベースより)
人口減少、育児、エネルギー、格差…世の中の課題を美しく解決して幸せなムーブメントを起こす、みんなのための「デザイン」実例集。
少し前に『ソーシャルデザイン・アトラス』という本をこのブログで紹介した際、この本は参考文献リストが非常に豊富だというコメントを付けた。実際にそのリストを参考にして、少しずつ次の本を読み始めているが、本日ご紹介するのはその1つで、『ソーシャルデザイン・アトラス』が世界中で建築家やデザイナーが取り組んでいる様々な問題解決実践事例を紹介しているのに対し、『地域を変えるデザイン』は、国内での実践事例ばかりを集めている。

そのうちの幾つかをここで挙げてみよう。

 ◆ボランティアと被災者をつなぐ「できますゼッケン」
 ◆妊娠・出産・育児のセーフティネット「親子健康手帳」
 ◆市民が発電を体験・体験できる「ふじさわ発電ゲート」
 ◆わりばしから始まる中山間地域循環システム「和RE箸」
 ◆人と人との絆をつなぐ、まちのうわさ「八戸のうわさ」
 ◆町民と行政職員が一体で作った「海士町総合振興計画」

日本は「課題先進国」だと言われる。本書でも、冒頭で我々が置かれた環境を示す幾つかの課題を統計数値とともに示している。「気候変動」「地震」「エネルギー」「食料自給」「森林」「ものづくり」「人口減少」「高齢化」「人口密度」「多世帯化」「コミュニティ」「結婚・出産」「育児」「子どもの心と体」「経済格差と雇用」「外国人」「犯罪」「医療・介護」「自殺」「生活習慣病」の20項目である。

これに対して、問題解決に地域で取り組む30の事例が紹介されているわけだが、課題として20項目挙げている割には、次の取組み事例30件の中では取り組まれていない課題も幾つかあった。正直なところ、地域を変える取組みに外国人が関わっている事例などはもっと知りたいという気がしていて、そういう事例を期待したのだが、残念だがそういうのは本書には含まれていなかった。

また、割と有名な事例も含まれていた。兵庫県丹波地方で産科医・小児科医の減少に直面した母親グループが、減少に歯止めをかけるために始めた、お医者さんへの感謝の気持ちを届ける「ありがとうカード」などはその一例で、もう5年以上前にこの事例については別の本で読んだこともある。でも、産科医・小児科医に感謝の気持ちをカードにしたためて贈るという着眼点は素晴らしいが、それによって本当に医師の減少に歯止めがかかったのかどうか(効果)については本書では触れられていなかった。感謝すれば産科・小児科医は辞めないというのはやや短絡的で、もっと大事なのは医師の負担軽減にあると思う。ちょっとした体の変調であっても我が子を安易に病院に連れて行ってしまう親の意識を変えることがまず必要なのではないかと僕には思える。これらの具体的な施策と絡まってこそ、医師への感謝の気持ちを表す取組みも生きてくるのだとは言えないだろうか。

「地域を変える」と銘打っている割には、取組みの成果まではっきり書かれていないケースもあるので、その有効性については確信が持てない事例もある。多分有効なのだろうし、実際に地域が変わったというケースもあるに違いないのだが、本当にその取組みの結果として地域が変わったのか、それ以外にも何らかの効果のありそうな取組みが行なわれていなかったのかどうかなど、もっと知りたいと思える事例もあった。

ただ、だからといってこの本の価値が大きく減退するといったことはない。こうして地域づくりに取り組み、住民もその活動にどんどん参加しているという状況にあるのは好ましいことだと思う。本書を読んで、これだったら自分にもできそうだと思った学生さんなどが、将来どこかで具体的な実践に移していく際に、こういった先行事例は参考にはなると思う。また、こうした形でその取組みが紹介されれば、その取組みに参加している人々にとっては大きな励みにもなるだろう。

読んでいてワクワクする本である。ここまで凄い取組みでなくても、自分も生きてきて「これは自分が関わった」と胸を張って人に言える事例を作ることができたらと思う。

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