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『みんなのうた』 [重松清]

みんなのうた (角川文庫)

みんなのうた (角川文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/08/24
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
東大を目指して上京するも、3浪の末、夢破れて帰郷したレイコさん。傷心の彼女を迎えるのは、個性豊かな森原家の面々と、弟のタカツグが店長をつとめるカラオケボックス『ウッド・フィールズ』だった。このまま田舎のしがらみに搦めとられて言い訳ばかりの人生を過ごすのか―レイコさんのヘコんだ心を、ふるさとの四季はどんなふうに迎え、包み込んでくれるのか…。文庫オリジナル感動長編!
読書ブログと銘打ちながら、今週は更新がすっかり疎かになっている。その間読んでいた本も何冊かあって紹介したいネタは揃っているのだが、僕がもっぱらブログ記事を書くのに充てている午前3時30分から5時までの時間帯、すっきりと目覚めることができず、書く時間を作れずにここまで来てしまった。

目覚めがすっきりしない理由は、夜の寝つきが極端に悪いからである。僕は今週火曜日から木曜日まで、3日連続で夜に10kmのジョギングをやった。来週末に久しぶりのマラソン(10kmの部)を走るので、その追い込みで走る頻度を増やしてここまで来てるのだが、これをもっぱら夜20時から21時の時間帯で行なうと、なんだか神経が昂って、なかなか眠りに落ちない。僕は朝3時30分に起きるのに夜は22時には就寝するのを日課にしているが、なかなか眠りにつけないので、目覚ましの時刻を少し遅めに設定せざるを得ないのである。それがブログ更新時間のなさに繋がっている。

などとひとしきり言い訳した後で、今週読んだ本のうち、軽いものから先ず感想を述べていきたいと思う。

非常にレアなケースだが、8月の新刊を市立図書館で借りることができた。今回学んだのは、新刊本には貸出開始日が設定されており、それは発売開始日から約3週間後だということだ。相当に早めに予約を入れていたので、1番目か2番目ぐらいで現物にありつけた。人気あるだろうから、さっさと読んだ。感想は―――。

重松作品、もう読むのやめようかと思った。既読感がハンパない。

昔読んだことがあるような話を焼き直して新しい読者を開拓しようとしているのではないかという印象だ。強いて言えば、『熱球』を『希望ヶ丘の人びと』のようなトーンで書いたら、こんな作品になるというところだろうか。だから、最近重松作品を読み始めたという読者にはおそらく受けのいい作品だといえる。最近の重松作品に、中国地方の過疎地を舞台にした作品は少なくなってきていたから。

しかし、something newを期待する昔からの読者のニーズに応えるような作品とはとてもいえない。田舎では天才少女で東大合格間違いなしと言われながら、目的意識もなく東大を受験して挙句何年も東京で浪人生活を繰り返したレイコさんにはイライラさせられっ放しだったし、結末もレイコさん個人にとっては目的も見つかってハッピーエンドかもしれないが、過疎の進む山間地にとっては、何の解決にもなっていない。

シゲマツさんは、この作品を書いて、読者にどんなメッセージを伝えたかったのだろうか。中国地方の山間地の村おこしは自分ならこうやるというような具体策を提示したかったのだろうか(カラオケ店がそんなソリューションになるとは思えないが)。あるいは、三世代家族同居の暖かさ、農村社会の暖かさを伝えて、都会の若者にもっと地方に来てもらいたいと考えたのだろうか。

こういう問題は、僕らの世代はかなり真剣に考えていることだと思う。読み終わって何か自分で行動を始めたくなるようなものが何も得られない読書は、時間の使い方を誤ったと後悔の方が先に立ってしまう。

作品に唯一救いがあるとしたら、僕は先週末中国地方をたまたま訪れていて、そのあたりの様子を実際に見てきたことがある。その直後に本作品を読んだので、具体的な風景を頭の中で思い浮かべながら読み進めることができた。

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