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『セイジ』 [読書日記]

セイジ

セイジ

  • 作者: 辻内 智貴
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
純粋であるがゆえに、不器用な生き方しかできない男たち。彼らの思いがけない言葉と行動によって、人びとは人生の真実を知ることができる。太宰治賞最終候補作となった「セイジ」に、書き下ろし「竜二」を加えた、第二作品集。
先日の『いつでも夢を』に引き続き、もう1冊辻内作品を紹介しておく。

その前に、何故三鷹市の市立図書館の某分館の辻内作品の品ぞろえが良いのかについてひと言。これは1999年の第15回太宰治賞が筑摩書房と三鷹市の共催で募集されるようになったからだと思われる。筑摩書房の単独開催だった同賞は、1978年の第14回をもっていったん休止したが、太宰の没後50周年となる1999年に太宰ゆかりの三鷹市が名乗りをあげ、筑摩との共催で同賞を復活させたのである。

その記念すべき第15回太宰賞で、最終候補作となったのが辻内智貴の「セイジ」だった。残念ながら受賞を逃した辻内は、翌年「多輝子ちゃん」で雪辱を果たす。『青空のルーレット』に収録されていた作品だ。

さて本書についてである。収録されている「セイジ」も「竜二」も鮮烈な印象を読者に残す作品だ。特に「セイジ」については、読んでいてセイジが「陸の魚」と形容されるほどうまく生きられずにいるとも思えないうちに最後のシーンになるので、エンディングの凄惨さには度肝を抜かれる。昨年映画にもなっているので、ご覧になった方もいらっしゃるかもしれない。俳優・伊勢谷友介が監督を務めた作品で、西島秀俊がセイジを演じている。


個人的には「竜二」の方が好きな作品。読んでいて、カタルシスのある重松清の作品のような印象を受けた。同じ瀬戸内海沿岸の町が舞台だし。こちらの方は、なんだか辻内自身が自分のこれまでを竜二に投影しているのではないかと感じられる内容である。

辻内作品はこれで3冊目。予想以上に佳作が多い。

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