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『国語のできる子どもを育てる』1 [読書日記]

国語のできる子どもを育てる (講談社現代新書)

国語のできる子どもを育てる (講談社現代新書)

  • 作者: 工藤 順一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1999/09/20
  • メディア: 新書
内容紹介
読むこと・書くことをどう教えたらいいか。本の面白さを知らない、作文が書けない――子どもたちの「失語」的状況は単に能力低下だけが問題なのではない。本当の国語力を引き出すための実践的教育法を提示。
先週、高校に入学した長男が入学前に学校でもらっていた宿題の1つ、読書感想文を読む機会があった。今どきの高校は入学前から宿題を出すのかと驚きながら、3月末から4月あたまにかけて我が子を傍らから見ていたのだが、彼がいちばん悩んでいたのが作文で、本人も自信がなかったのか、珍しく親に作文のできを見せてこれでどうかと確かめてみようとしたようだ。

最初は妻が読んだ。妻もいろいろ言いたいことはあったようだが、「ちょっと書き方がくどいんじゃない?」とひと言言ったあと、すぐに僕にお鉢がまわってきた。僕がまずに驚いたのは、「です・ます」調の文体を使っていたことだ。感想文を書くのに「です・ます」調を使うのは、小学生だったらあってもおかしくはないが、高校生が使うのにはかなり違和感がある。そうして、「僕がこの本を面白いと思ったのは、〇〇というところがが面白かったからです」といった調子で書いている。確かに妻が言うように「くどい」ことは「くどい」が、もっとそれ以前に、作文に慣れていないこと自体が問題なのではないかと僕には思える。(長男の中2、中3の時の担任は国語の先生だった筈だが、いったい何を教わったんだろうか…)

長男には、この宿題だけでいくらうまく書こうとしても仕方がない、これが今自分に書ける精一杯の文章なのだと受け止め、これからの3年間で小論文でも書けるよう、作文力を上げて行こうという話だけをした。

そんな経験をしたので、先週末は中2の娘と小4の次男にも作文を書かせてみることにした―――。

(1)小4の次男の場合
職場の同僚から4コマまたは8コマの漫画ばかりを集めた『ぱじ』の第1巻を借り、それを次男に読ませ、どれでもいいので面白かった4コマ漫画のあらすじを、400字詰め原稿用紙半分(200字)以内で書かせてみることにした。本日の記事の冒頭で紹介した本の第1章にある、『コボちゃん』を使った150字作文の応用だ。そのために『コボちゃん』のシリーズ本を新たに購入するわけにもいかないので、身近にある別の漫画を題材にしてみることにしたのだ。

結果はまたまたショッキングな内容だった。

小4になったばかりの次男の場合、まず主語を省略してしまう。三人称の描き方ができていないので、読んでいるといったい誰のことを書いているのかわからなくなってしまう。次男の学校生活の話を普段の会話の中で聞いていても、5W1Hをはしょって説明しようとする傾向があるのは気付いていたが、同じ調子で作文もしている。

それ以上に問題なのは、読点「、」をまったく使用しないこと、そして、句点「。」で文章をこまめに区切らないので、結果として原稿用紙半分をなんと1つの文で書いてしまっている。原稿用紙半分を息つぎもせずにいっきに読まされるのである。「~して~して~して~して~しました」という書き方、しかもそこで省略されている主語が固定されているわけではなく、それぞれの述語に対応する主語が違っていたりするので、読んでいて混乱してくる。

誤字脱字の類はご愛嬌だと思うが、それにしても驚きの作文だった。次男には、次に書く時には、①「。(句点)」を最低3つ打つこと、②「誰が」(主語)を必ず入れること、という2つのルールを与えて書かせてみたい。

(2)中2の娘の場合
次に、次男と同じことを中2の娘にもやらせてみた。小学生時代は作文が得意で、思いもよらぬ着眼点と発想で、ユニークな表現を何度も披露してくれた娘なので、それほど心配はしていなかったのだが、これまたショッキングな結果に終わった。

「あらすじを書け」と言ったにもかかわらず、選んだ4コマ漫画から受けた印象やお薦めのポイントばかりを書いていて、あらすじについてはまったく言及していない。人に『ぱじ』という漫画自体を紹介するのならともかく、僕が求めたのは特定の4コマ漫画のあらすじで、しかもよくよく問い詰めていくと、4コマ漫画の各コマにある描写のポイントをしっかり押さえていたわけではないことまでわかった。

中学で漫画研究会に入っていただけに、漫画を題材にしたらそれなりに喰いついてきてくれるのかと思っていたが、結果はそうでもない。ストーリーの研究とかしないのかと聞いてみたところ、彼女たちが部活動でやっているのは1コマの漫画を描く時の画法のブラッシュアップで、その画法を生かしてどんなストーリーを創るかということにはまるで興味がないらしい。

確かに絵は上手くなったと思う。しかし、絵を描くことに没頭していて、以前に比べて本を読まなくなった。小学生時代にあれだけセンスのある文章を書いていた娘が、漫画ばかり書いていて「インプット」をしなくなった結果、あまり面白みのない作文しか書けなくなってしまったのは残念でならない。

そんなわけで、この1週間、我が子の作文能力があまりにも拙いという現実に、ショックの連続であった。なんとかせねばと痛烈に思った。

それと並行して読んでいた本書の紹介は、3回ほどのシリーズにして、これからも紹介していくことにしたい。

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