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ニカラグア・コーヒーを飲みながら [旅行]

エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアを知るための45章 エリア・スタディーズ

エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグアを知るための45章 エリア・スタディーズ

  • 作者: 田中 高
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2004/08/25
  • メディア: 単行本

只今ニカラグアに関するレポートを書いている。3月に訪問する機会があって、いずれはそのレポートをちゃんと書いて会社に出そうと思っていたのだが、仕事の方がひと段落したので、そろそろちゃんと着手しようと考えた。

そこでもう一度読み直したのが明石書店の「エリア・スタディーズ」シリーズ。図書館の返却期限が近付いているので、使えそうな情報だけ書き出しておこうと思う。

◆ニカラグアは北米と南米を結ぶ中米地峡の中心にある熱帯の国である。1821年9月の独立で、人口は約534万人いる。全国は15県、南北2自治地域、153市で構成されている。スペイン系、先住民族混血が74%。その他にヨーロッパ系住民が16%、アフリカ系が9%、先住民が1%という構成になっている。太平洋と大西洋の両方に面し、太平洋岸は北西から南東にかけて大小33の火山を持つ火山脈が走る。北部は涼しい山脈地帯になっており、松林、コーヒー、葉タバコなどが植えられている。グルメ・コーヒー、葉巻、胡麻はきわめて上質のものがとれ、世界の市場で珍重されている。

◆気候は全般的には熱帯性気候で、雨季と乾季に分かれる。但し、コーヒーの生産地である北部山岳地帯は高原性の気候で涼しい。

◆近年の経済の落ち込みは著しい。元々中米主要5カ国の中では最も貧しく、1人当たりGDPは486ドル(2002年)である。深刻な状況を象徴するのは輸出の不振で、2001年の数字で総輸出額の50%はコーヒー、サトウキビ、食肉、水産物などで占められる。全世帯の65%が貧困ライン以下で生活。総人口の29%は必要な栄養素を摂取していない(2000年)。平均寿命は69歳、乳幼児死亡率は1000人出生当たり36人。ジニ計数は60で、世界的にみてもかなり所得格差が大きい。

◆経常赤字はGDPの半分ぐらいの金額にのぼる。累積対外債務は64億ドル強(2003年)で、デット・サービス・レシオは33.4と高水準。IMF世銀と債務削減交渉を続けており、HIPC(重債務途上国)に数えられる。事実上の破産状態。国際金融機関はHIPCについては、政府系企業の民営化など幾つかの条件をクリアすれば債務削減に応じている。しかし、労働組合の反対もあるために、民営化は進んでいない。

◆こうした経済の混乱は、10年間にもわたる社会主義政権(サンディニスタ党)時代の混乱や、内戦による被害といった悪条件の上に、ハリケーン「ミッチ」により農産品中心に甚大な損害があったこともある。

◆経済開発の方向性としては、農牧畜部門が発展しながら、それを中間財に利用するアグロインダストリーへの前方連関が導かれる過程が考えられる。ラム酒や、ニカラグア産ビーフジャーキーのように、農産品の加工度を国内で高め、付加価値をつけてから製品輸出することであろう。

◆ニカラグアの特産品といえば、葉巻、ラム酒、そしてコーヒーである。日本ではあまり知られていないが、ラム酒もコーヒーも国際的な評価がかなり高い。ニカラグアではよいサトウキビが取れ、サンアントニオ、パンタレオン、モンテレロサ、モンテリマールなどに優良な砂糖精製工場があり、ラム酒の産地となっている。特に、Flor de Cana(フロール・デ・カーニャ)が有名。コクと甘みがあり、ストレートでもまたコカコーラと混ぜて楽しめる。

◆コーヒーでは、特にグルメ・コーヒーと呼ばれるスペシャリティ・コーヒーはジャマイカのブルーマウンテンをしのぐ素晴らしい味だと評価されている。1990年代末以来のコーヒー過剰の中でニカラグアも打撃を受け、スペシャリティ・コーヒーやオーガニック・コーヒーのような製品差別化が行なわれるようになった。コーヒー豆の包装にも工夫を凝らし、中には栽培した農園や農園主の家族の写真を載せているものもある。

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《北部山岳地帯の風景、コーヒーの一大産地》

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《中米で買ってきたコーヒー豆。左のオーガニック・コーヒーはニカラグア・ヒノテガ県での生産》

そんなコーヒーも今年はさび病が流行し、生産が不調だという。僕が訪れたヒノテガ県も例外ではない。3月は収穫期を終えつつあったので、実際にコーヒー園で労働者が働いているところはあまり見れなかったが、訪れた農家で入れてもらって挽きたてのコーヒーをご馳走になった。砂糖入りミルクなしのコーヒーはコクがあり、とても美味しかった。不作なのにご馳走になったことについては、ちょっぴり罪悪感も感じた。

首都マナグアの空港免税店で買ってきたコーヒーを、今入れて飲みながらこの記事を書いている。マナグアの免税店のコーヒーはいろいろなパッケージがあって、どれを選んだらいいのか迷ったので、僕が訪問したヒノテガの原産のコーヒー豆を購入した。僕はそれほどコーヒー好きではないが、それでも家族でコーヒーを飲みながらほっと一息つく時間はある。ニカラグア産のコーヒーが日本でももっと入手しやすくなったらいいなぁと思う。

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