『清須会議』 [読書日記]
内容紹介去年夏の発刊当初から気になっていた作品である。歴史小説が書店の平積みで置かれていることは珍しいし、清洲城で行なわれた会議だけを切り出してドラマ化するという手法も意外性があり、いずれ読みたいと思っていた。ただ、僕も仕事や学業に役に立ちそうな文献を優先的に読んだ方がいいという立場上、なんとなく歴史小説と言うジャンルは縁遠い気がして、手にとるのに一抹の罪悪感を感じて買いそびれてきた。今回は近所のコミセン図書室で発見し、借りたものである。図書館で借りるなら罪悪感は薄い。
生誕50周年記念「三谷幸喜大感謝祭」のラストを飾る、満を持しての書き下ろし小説、遂に刊行! 信長亡きあとの日本の歴史を左右する五日間の攻防を「現代語訳」で綴る、笑いと驚きとドラマに満ちた、三谷印の傑作時代エンタテインメント!
日本史上初めての会議。「情」をとるか「利」をとるか。
本能寺の変、一代の英雄織田信長が死んだ。跡目に名乗りを上げたのは、柴田勝家と羽柴秀吉。その決着は、清須会議で着けられることになる。二人が想いを寄せるお市の方は、秀吉憎さで勝家につく。浮かれる勝家は、会議での勝利も疑わない。傷心のうえ、会議の前哨戦とも言えるイノシシ狩りでも破れた秀吉は、誰もが驚く奇策を持って会議に臨む。丹羽長秀、池田恒興はじめ、会議を取り巻く武将たちの逡巡、お市の方、寧、松姫たちの愛憎。歴史の裏の思惑が、今、明かされる。
清須会議は大河ドラマでよく出てくる重要シーンの1つだが、その前後含めて5日間のドラマを群像劇仕立てで描いた点がとてもユニーク。今後の三谷映画だけでなく、同じ時代を扱った他の映画作品でも台本制作の参考になりそうなネタが盛り込まれているような気がした。
余談だが、本書のタイトルは「清須会議」となっているが、一般には「清洲会議」の方が使われている気がする。「清須」と聞いて意外な感じがした。開催地は「清洲城」だが、現在の地名は「清須市」で、要はどちらでもいいんじゃないかと思えるが、本書の場合はセリフまわしも現代語風だし、地名も現代的表記にしているのだろう。
会議も出たとこ勝負じゃなく、根回しが大事ということでしょうか。いずれにせよ、秀吉のようにはなれない自分を痛感させられ、逆に柴田勝家に同情してしまった。口臭に加えて加齢臭が気になるヒゲオヤジでは、美人には嫌われるということなのでしょう。
三谷幸喜監督による映画のキャストを見たら、結構豪華なキャストで、見てみたくなった。
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