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『生きるぼくら』 [読書日記]

生きるぼくら

生きるぼくら

  • 作者: 原田マハ
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2012/09/13
  • メディア: 単行本
内容(「BOOK」データベースより)
いじめを受け、ひきこもりだった麻生人生。蓼科でひとりぐらしを続ける人生の祖母、中村真麻。対人恐怖症の中村つぼみ。田んぼから三人は前をむいて歩み始めた―。収穫のとき、それぞれの心に温もりが実る。山本周五郎賞作家が描く感動の成長小説。
何だか、農村生活や農業が小説の題材になるケースが増えてきているような気がする。今、農業が脚光を浴びるようになってきたからなのだろう。黒野伸一『限界集落株式会社』、誉田哲也『幸せの条件』ときて、今回は原田マハ『生きるぼくら』を紹介する。黒野作品と同じ八ヶ岳山麓が舞台だ。

引きこもりや対人恐怖症の若者が、認知症が進みつつある祖母の住む蓼科で、近所の人々にも助けられながら、不耕起栽培によるコメ作りに取り組むうちに、自身の直面する問題を乗り越えていくという、とてもいい話。女性作家の執筆なので、荒々しさは少なく、全編通じて優しさを感じる。登場人物もみな優しい人ばかり。言葉づかいが怪しい若者もいるが、どこかで自分の持つコンプレックスを自覚し、それを取り繕おうとして荒々しい言葉づかいになっているのだという気がする。優しい視線が送られている。

祖母の失っていた記憶も一部戻り、主人公の「人生」君は、自分を捨てて家を出て行ってしまったと思った母との関係を改めて構築し直す勇気も得る。ネタばらしし過ぎでしょうか。でも、結末が予想できていたとしても読むに値する小説だと思う。

福岡正信『わら1本の革命』を思い出した。不耕起の有機栽培も、こうして小説になるととてもわかりやすい。

この手の小説は、普通いっきに読んでしまうことが多いのだが、今週はあまり生活に余裕がなく、読了に4日もかかった。同時並行で他に2冊専門書を読まなければならなかったので、専門書は通勤途中、小説は自宅で読むという分業にした。

新年も1ヵ月が既に終ってしまったが、この1ヵ月は中旬に仕事の上で予想もしなかった事態が起き、役員を怒らせてしまってから運がいっきに落ちた気がする。月が替わって初日だった昨日も、別のことで同じ役員を再度怒らせた。自分だけでどうにかなったとは思わないけれど、一方的に責められるとかなり落ち込む。そういう時に気持の切替えがすんなりできる性格でもないので、昨日の午後は、早朝2時から起きてやっていた仕事の手も止まってしまった。また週末に持ち帰り残業である。

タグ:原田マハ
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