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『九月の空』再読 [読書日記]

九月の空 (角川文庫)

九月の空 (角川文庫)

  • 作者: 高橋 三千綱
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1978/05
  • メディア: 文庫
『九月の空』
 『一瞬の風になれ』を読んでから、無性に『九月の空』が読みたくなった。僕が高校1年生の時にクラスメートのイワタ(女子軟式テニス部)から薦められて読んでみて、一気にはまった。「五月の傾斜」「九月の空」「二月の行方」から構成される高校1年生の剣道部員・小林勇を主人公とする青春三部作で、うち「九月の空」は芥川賞受賞作品となっている。高1のかなり早い時期にこの作品と出会ったことにより、僕は3年間を剣道部で過ごせた。夏場のきつい稽古や先輩から「突き」の洗礼を浴びせられるシーン、胴衣姿で学校の外周をランニングさせられたりうさぎ跳びをさせられたり、苦しかった記憶は今でも鮮明に蘇る。そして試合で「抜き胴」や「出ばな小手」が見事に決まった瞬間も…。僕はそんなに強い選手にはなれなかったけれど、高校時代にこれだけはやったと胸がはれる実績である。
 高校生時代にのめり込んだ作品を40代半ば近くなってもう一度読み直すと何が見えてくるのか、ちょっと興味があったが、新たな発見も多くて新鮮な気持ちで読むことができた。
僕が通っている町道場で、今週月曜日から寒稽古がはじまった。子供たちは17時30分から1時間、大人の部は19時からの1時間で、これが土曜日まで6日間続く。今年は皆勤賞を狙うと宣言したうちの次男は、毎日元気に通い続けている。彼の場合、先週木曜日の通常稽古から毎日竹刀を握り続けている。

僕は今日明日と先約があるため、皆勤賞はとれないが、あとの4日は通うことにしている。稽古に間に合うためには、17時45分の終業の合図とともに退社しなければならない。未だ皆が普通に仕事している中を、罪悪感を感じることなく抜けるためには、誰よりも早く出勤して仕事にとりかかっておくことも必要かと思い、7時30分出社を励行している。僕は最寄り駅まで30分歩いているので、家を出るのは朝6時だ。

今のところ、ちょうど前半の3日を終えたところで、疲れがピークに達している。稽古初日はともかく、2日目以降は徐々に股関節が固くなってきて跳躍がなかなかできず、竹刀も徐々に重いと感じるようになってきた。入念にストレッチをやってから稽古には入るが、歳のせいなのか、それとも単に道場の冷たさのせいなのか、稽古を開始してもなかなか体が温まらず、終盤の地稽古になった頃からようやく汗が噴き出してくる。2月に四段審査を受験する同僚がいるため、面を外して日本剣道形の稽古を少しやるが、その時が汗のピークで、形稽古の間にだんだん体が冷えてくる。3日間はこの繰り返しだった。

稽古を終えて帰宅すると、すぐに風呂に入る。同じく寒稽古から戻って来ている次男と一緒に風呂トークで反省会だ。風呂から上がると時計は21時をまわる。僕にとっては既に就寝の時間で、夕食も食べずに布団にもぐり込む。朝は3時から4時の間に起きる。多少の読書タイムはあるが、5時には身支度を開始する。

この生活パターンで3日間を過ごした。1日2食で運動付きだから、自ずと体重は落ちていく。3日目の稽古を終えた時点で体重は79kg台前半。昨年7月末以来の水準を回復した。8月のインド・ネパールへの渡航で増えはじめ、一時は83kg台をつけた体重は、ようやくそれ以前の水準に戻ったのである。だが、会社の顧問医から命じられている目標は77kg台。3月までに達成しなければならない。

さて、モチベーションを高めるため、何かいい本でもないかと考えて、ふと手にとったのが、芥川賞作家高橋三千綱の『九月の空』だった。2年半ぶりの再読である。高校時代からの通算でいえば、既に5、6回は読んでいる。主人公の小林勇クンほどストイックに剣道に打ち込むことは難しいけれど、老体にムチ打って稽古に行こうという気持ちにはさせてくれる作品だ。ベトナム戦争の頃の、米軍基地がまだあった当時の調布を舞台としており、時代背景的には少し古いが、主人公が剣道に打ち込む姿勢や、その高校生活の様子などは、今の高校生に当てはめてみてもさほど変わっているとは思えない。(そう思いませんか、高校生の皆さん!)

30分ぶっ通しで掛り稽古をやるとか、今の自分にはとても考えられないが、そういうのが普通にできた高校時代だったから、みんな強くなるわけだ。いくら喰っても太らない、それほどのカロリーを消費する稽古をしていたということなのだろう。高校生剣士諸君が羨ましいよ。ただ、ストイックに剣道に打ち込み過ぎると、その後の小林勇クンのように、徐々に剣道から遠ざかって行ってしまうリスクもある。もったいない。高校卒業後も、何らかの形で剣道を続けてほしい。くさいけどね。

昨年は四段に合格するという明確な目標があったが、今年はそういうものもなく、3年先の五段審査受験に向けて地道に稽古を続けていくしかない。夏には僕も五十の大台に乗り、秋の市民大会はシニアの部での出場も考えられる。高校生剣士とは異なる、オジサンの剣道をどう磨くか、練習量を上げればとたんに体が悲鳴をあげる今日、なかなか悩ましい課題である。

取りあえず、道場寒稽古はあと1回。でも、この生活パターン、なかなかいい。
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