2013年のドラゴンズは… [ベースボール]
この三連休、やんごとなき事情により休日出勤しようとしていた14日(月)が雪となり、自宅で待機している状態である。自宅にいてはやることもできないので、少し時間をいただき、しばしご無沙汰していた中日ドラゴンズに関する論考をしてみたいと思う。(午後は出勤を試みたが、バスがのろい上に中央線の列車もダイヤが乱れまくり、今にも運行見合わせになりそうだったので、中野から引き返して、武蔵境駅南口の図書館で勉強して過ごした。)
月刊 Dragons (ドラゴンズ) 2013年 01月号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: 中日新聞社
- 発売日: 2012/12/22
- メディア: 雑誌
正直なところ、ストーブリーグの話題になるようなポジティブな報道は少なく、紙面を騒がせたといったらトニ・ブランコ外野手、エンジェルベルト・ソト投手、ホルヘ・ソーサ投手のDeNAへの流出ぐらいだったと思う。ドラフトはまあまあの成果だが、メディアの注目する目玉選手を獲得したわけではないし、逆に権藤博・一軍投手コーチの退任のように、どこが球団にとってプラスなのかよくわからない出来事も多い。他球団の華々しい補強を見ていると、高木体制の2年目はあまり高い期待をしてはいけないと思う。老朽化した主力野手陣の顔ぶれを考えると、下手すればBクラスも覚悟した方がいい。高木守道監督は今季限りなので、下手に優勝などされてもう1年モリミチさんがやるなんてことにはなって欲しくはない。若手育成により専念し、次期監督へのつなぎと割り切って見守った方が精神的には楽だ。
だから、論考の大前提として、ブランコ流出はチャンスだと考えたい。空いた一塁は森野と山崎を併用し、三塁は2年目の高橋周平にもっと出場機会を与えてやって欲しい。それも、速球に手が出なくなってきている山崎はあまり登用しないことが、高橋の出場機会増に繋がっていく。フリーバッティングでは、山崎と高橋を並べて打たせて欲しい。どちらのスイングスピードが速いのかは歴然だ。
そう考えていたところに報じられた一連の外国人助っ人の獲得。これが僕にはよくわからない。高額ギャラで3人流出し、マキシモ・ネルソン投手もクビにした代わりに、新外国人を4人獲った。投手流出3人に対してダニエル・カブレラ、ブラッド・バーゲセン両投手を獲得したことはまあ許せる。両投手ともボルチモア・オリオールズ在籍経験があり、2000~2003年に米国駐在していた僕も、カブレラについては辛うじて知っている。メジャー通算成績で負けが先行していること、制球力に難があること等が懸念されているが、当時のカブレラはオリオールズ3Aの主力で、球が速いことでは注目されていた。オリオールズ出身の選手だったら僕は自動的に応援する。
だが、野手の助っ人についてはどうだろうか。エクトル・ルナ内野手は間違いなくポスト・ブランコを想定して獲得したものだが、内外野どこでも守れるというところは、高橋周平育成の障害にはならないだろう。でも、最近発表されたマット・クラーク内野手の獲得についてはよくわからない。彼は確実に一塁手としての起用が想定されるので、山崎、森野とダブる。結果森野がやっぱり三塁を守るなんてことになったら、高橋の出場機会がそれだけ削られるという事態になりかねない。ルナが外野を守るにしても、堂上兄や野本の守備機会を確実に奪うことになる。(平田は確実性が低いので、僕は最初からあまり評価していない。)首脳陣は若手を競争させて育成していきたいのだろうが、結果を求めてルナを起用すれば、その分若手が実戦経験を積む機会を損なうことになる。唯一評価できるのは、たとえ中日OBであっても福留孝介外野手獲得に参戦しなかったことだ。
クラークについては、個人的には応援したいところがある。彼は僕の応援するルイジアナ州立大学(LSU)のOBである。LSUのベースボールキャップをかぶって名古屋ドームに応援に行きたいくらいだ。ただ、先に述べた通り、心境としては複雑。クラークの活躍は、即高橋の出場機会を奪うことになる。
このため、今年のドラゴンズは、あくまで優勝という結果にこだわっていくのか、それとも若手を育成するのか、いったいどちらなのか、球団フロントの目的がはっきりしない補強を行なってきていると言わざるを得ない。高木守道氏を監督に招聘した時点で、僕は球団が「育成」に舵を切ったのだとポジティブに評価したのだが、高木新体制でのこれまでの1年余りを振り返ると、そうもいえない、どっちつかずなところは感じる。
今月号の月ドラは、そういう意味では面白みには欠けた。地味にスタートを切った印象。
Sports Graphic Number (スポーツ・グラフィック ナンバー) 2013年 1/24号 [雑誌]
- 作者:
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/01/10
- メディア: 雑誌
もう1つ、隔週刊のNUMBERには山本昌投手の記事が載っていたのでご紹介しておく。今年社会人25周年を迎えた僕がまだ大学生の頃に、ドラフトで中日入団した山本昌がここまで現役で投げているというのは驚くべきことで、結果が出せる間は現役を続けて欲しいと確かに僕らは願っている。プロ選手の現役プレー期間は意外と短く、高給をもらって豪華に過ごせるのは数年間に過ぎないというのはよく言われることで、選手からしてみたら長くプレーを続けたいという気持ちは痛いほどよくわかる。
他方で、昨年引退したサッカーのゴン中山(中山雅史)選手の引退会見を見ていて思ったのだが、40代にもなって現役でプレーしていること自体が既にレジェンドで、既にサッカー界の至宝ともいえるのだから、そろそろ一個人としてのプレーの続行よりも、業界全体の振興に自分がどう貢献できるかを考えていって欲しいという気もする。僕は、投手王国中日の礎は捕手谷繁が作ったと思っているが、投手としての試合への臨み方とか、練習への取組み方とかは、マサを見て学んだ選手が多いに違いない。そういったものを、球団の枠やプロ・アマの枠を越えて、球界全体に裨益するような形で還元していくことが、40代後半の選手の人々には求められているのではないかという気がする。
マサにとっては勝負の1年だと思う。
タグ:LSU
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