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浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか [読書日記]

浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)

浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか (幻冬舎新書)

  • 作者: 島田 裕巳
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2012/02/29
  • メディア: 新書
内容(「BOOK」データベースより)
日本の仏教はさまざまな宗派に分かれており教義や実践方法が大きく異なる。にもかかわらず多くの人、とくに地方から都会に出て菩提寺とのつきあいを絶った人は関心を持たない。だが親や親戚の葬儀を営む段になって途端に宗派を気にするようになる。家の宗旨に合った僧侶を導師として呼ばねばならないからだ。そこで初めて「うちは○○宗だったのか」と知る。そもそも宗派とは何か。歴史上どのように生まれたのか。本書は、日本の主な仏教宗派を取り上げ、その特徴、宗祖の思想、教団の歩み、さらに他宗派との関係、社会的影響をわかりやすく解説した。
毎年この季節になると、仏教について考えることが多い。1年のうちでも、里帰りしているこの季節は、大みそかの夕方には父が仏壇を前に勤行するのに孫を帯同して付き合い、元日の朝は、近所のお寺にお参りに出かけるのに同行する。お寺が賀詞交歓の場となる。浄土真宗の門徒の間ではよく見られる光景だ。

東京に出て来て、近所に真宗大谷派のお寺があるのは知っているが、何となく入りづらい雰囲気で、結局のところ入りそびれて2年を過ごしてきた。正確に言うと、一度だけ入ったことがある。昨年9月にお亡くなりになった知人の通夜式の際のことだ。昨日、息子との会話の中で、「教会とは何か」と尋ねたところ、息子は「結婚式をするところ」と答えて僕は苦笑せざるを得なかったが、僕の故郷のお寺はともかく、東京のお寺は息子たちにとっては「お葬式をするところ」という答えになってしまいそうだ。

余談はこれくらいにして本書の話だが、正直、このタイトルだけを見て「浄土真宗」の話だと想像するとしたら、それは間違いですと先ず申し上げておきたい。

昭和15年の宗教団体法施行で、仏教の宗派は13宗56派が28宗にまとめられたが、それでも多い。日本史で習ったのは、天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、時宗、日蓮宗ぐらいだが、宗派の数はもっと圧倒的に多い。浄土真宗には本願寺派や大谷派、高田派、佛光寺派などがある。

こうした宗派はなぜ形成されてきたのか、それぞれどのように異なるのか、こうした解説が、かなり網羅的に述べられている。僕は自分の実家が真宗大谷派だとわかっているので、僕が読みたかったのは結局のところこの本の中の1章に過ぎない。新書の中の1章だから、ボリュームは大したことない。真宗大谷派が本願寺派といつどのように分かれ、どこがどう違うのかは、浄土真宗について1冊まるまる書かれた本を読めばわかる話で、僕は既にその知識は持っている。そういう意味では、どこかで聞いた話だなという程度のことしか書かれていない。

自分のアイデンティティを求めていく中での読書だけに、それとは関係のない章にまで同じだけの熱意を持って読もうという気は正直起きなかった。

僕はセクシーな本のタイトルで引っかかり、中味も確認せずに図書館で借りてしまった。これぞ出版社の営業のセンスだ。なにせ日本国内に浄土真宗の門徒は各宗派合計すると1200万人強おり、総人口の10分の1にも相当する。創価学会の会員も多いけれど、日本の仏教徒の最大人口を占めるのが浄土真宗の門徒なのだから、本の背表紙に載せられるタイトルも、いちばん多くの仏教徒の目を惹きそうなものにするのは、営業サイドとしては当たり前の戦術だ。(ましてや幻冬舎だし…)

こういうタイトル付けのセンスが、売れる本づくりには必要なのだと改めて痛感させられた。

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コメント 2

いっぷく

要するに「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の類ですね。
うちは本願寺派ですが、必ずしも浄土真宗のルールを守っていません。
親類もそうです。自分のうちの宗派もわからない、というより
亡くなってからどこの寺と付き合おうかと決める人も多いと思います。
その意味で、書籍のニーズ自体はあるのだと思います。
by いっぷく (2013-01-14 00:47) 

toshi

うちは曹洞宗ですが母方は浄土真宗です。
by toshi (2013-01-14 07:49) 

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