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『この国で起きている本当のこと』 [読書日記]

この国で起きている本当のこと

この国で起きている本当のこと

  • 作者: 辛坊治郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2012/04/20
  • メディア: 単行本
内容紹介
「年金」が底をつく日はズバリ、いつか?「放射能」の脅威はどこまで広がるか?「消費税」は何%まで上がるのか?人気キャスターが身を削って記した、日本の病根と「解決策」がすべてわかる一冊!
事実を知れば、未来はきっと変えられる。明日を生き抜くためのヒントがここにあります。
[目次]
第1章 年金の恐ろしい真実
第2章 検証「3.11原発敗戦」
第3章 これから原発をどうすべきか
第4章 日本の財政はもう「詰み」なのか
第5章 国は「農」から腐る
第6章 「橋下徹」という爆弾
第7章 不思議の国・日本の情景

今日は衆議院議員選挙・東京都知事選挙の投票日である。このブログではあまり僕の政治的信条を明らかにしていないが、今日の投票に関しては、「死に票」になるリスクが極めて高いので、複雑な気持ちで投票所に向かうことになるだろう。「TPP参加」には賛成なので、この争点だけで支持政党は自ずと決まって来る。ところが、その政党から小選挙区に立候補している現職の代議士は、代議士としてのキャリアはそこそこ長いのに、それほど目立つ実績も挙げていない。選挙の時だけ有権者の前に姿を現す〇民党の元代議士に投票するのも悔しいし、かといって新興政党の立候補者の顔ぶれを見ていると、どの議員のだか知らないが「元政策秘書」だったりして悩む。

そんな日に向けてこの本を読んでいたというのは単なる偶然です。2週間前に近所のコミセン図書室で2冊借りたのだが、本書の前に読んでいた別の本を読み切るのに予想以上に時間がかかり、返却日までラスト1日となってしまった。

僕は辛坊治郎さんがキャスターを務める番組もほとんど見ない。一度だけ見て、「自分こそが正義」的な詰問口調でゲストの政治家をやり込めるスタイルに嫌気がさした。そういうキャスターは沢山いるじゃないかと思われるかもしれないが、そういうキャスターも含めて、僕はあまり報道番組を見ていない。

だから、辛坊さんだから読んだってわけでもない。この本が書かれた2012年4月時点で辛坊さんが推していたのは明らかに大阪維新の会である。橋下大阪市長を持ち上げている一方で、民主党に対する評価はボロクソだ。はっきりと民主党がいかにデタラメなのかを、自分の番組に出演した民主党代議士の発言と、実際の統計データとを比較して、具体的に実証している。一応の説得力はあるので、この本を総選挙直前に読んだら、民主党に投票しない人が相当出てくると思う。

でも、何でもかんでも現政権与党の失政のせいにするのはフェアじゃない。辛坊さんは当時大阪維新の会を持ち上げようとして本書を書いたのだろうが、現時点で読むと、自民党を利するような書き方になっているところがかなりある。民主党の前の与党だった自民党時代に根源があるような失政の部分については、明示的に「自民党」と言わずにぼかしている。民主党を貶めようとして書かれたことが、大阪維新の会ではなく、結果的には自民党を利しているのである。

そういうフェアじゃない記述が目立つ本書だが、わかりやすいという点は認めるし、「民主党政権が」とはっきり書いてる箇所の指摘も当たっているところは多い。TPP参加の是非に関する第5章の記述は、特に頷ける内容である。

さて、話は総選挙の方に戻るが、「TPP」の他に気になっているのは、日本の右傾化である。これは東アジアの隣国の対日政策の先鋭化と対の関係にあり、「売り言葉に買い言葉」「売られた喧嘩は買う」といった状況もあるのかもしれないが、巷間予想されているような選挙結果が現実のものとなった場合、緊張関係はもっと高まって、憲法改正と再軍備化が現実味を増すようで怖い。

日本が成長していくためには、どんどん人口が減っていく国内市場だけで考えていてはダメで、購買力が高い中間層人口が増加しつつあるアジアの国々も視野に入れた商品開発やマーケティング戦略が求められる。そんな時に、自ら市場確保のチャンスを逸して緊張関係を高めようとするのは、自分で自分の首を絞めているようなものではないだろうか。領土問題が先鋭化する以前に書かれた本書では、辛坊さんはこの点にはまったく言及していないが、石原新党を吸収した橋下さんの政権公約を見る際のポイントの1つはそこだろう。

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