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『横道世之介』文庫版 [吉田修一]

横道世之介 (文春文庫)

横道世之介 (文春文庫)

  • 作者: 吉田 修一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 文庫
内容(「BOOK」データベースより)
大学進学のため長崎から上京した横道世之介18歳。愛すべき押しの弱さと隠された芯の強さで、様々な出会いと笑いを引き寄せる。友の結婚に出産、学園祭のサンバ行進、お嬢様との恋愛、カメラとの出会い…。誰の人生にも温かな光を灯す、青春小説の金字塔。第7回本屋大賞第3位に選ばれた、柴田錬三郎賞受賞作。
単行本の時に一度読んだことがあるが、今は主人公・横道世之介が通っていたことになっている法政大学市ヶ谷キャンパスの近くで働いているので、作品の舞台と自分の行動範囲がかなりかぶっていて、以前とは違った新鮮さがあった。16日(金)には仕事の打合せでまさにこの市ヶ谷キャンパスに出向き、横道君が学生の頃にはなかった、建て替わった高いビル(ボアソナードタワー)に上った。

作品の舞台は1988~89年のバブル全盛の頃だったと思われるが、僕は当時法政に友人がいて、何度か大学を訪れたことがある。当時交流のあった法政の友人達の姿を思い浮かべると、横道君の学生生活もさもありなんと納得できる部分も大いにある。

読み返してみて、相変わらず盛り上がりに欠ける話の展開だという感じはしたが、今回は結末を知っていただけに、いろいろなところに伏線が散りばめられているのがわかり、前回感じたよりもいい作品なのではないかと思うようになった。横道君のヘタレ学生ぶりは自分も同じ頃学生やっていたので理解できるつもりだが、であったとしても、周囲の人々が彼に一目置く理由があまりよくわからなかった。読込み不足かな。

この作品、映画化されるらしい。特徴のない横道君よりも、与謝野祥子役を誰が演じるかの方が興味があったが、吉高由利子と聞いて、意外感はあったものの、なあるほどと妙に納得してしまった。こんなお嬢様が、横道君の故郷でボートピープルと遭遇して価値観を根底から揺さぶられるようなショックを受け、国際人道援助の道に進んだという展開も驚きだが、誰かモデルでもいるんだろうか。


タグ:吉田修一
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