『進む中央アジアとの出会い』 [読書日記]
内容
ウズベキスタン日本人材開発センターで共同所長として活動してきた著者の、現場報告と記録。ビジネス人材の育成、中央アジアの開発、国と国との文化交流からみえてくる現状と未来を考察する。(出版社HPから)
著者は僕の恩師であり、発刊直後に謹呈いただいた。読んで感想を聞かせてほしいということだったが、僕のブログで宣伝して欲しいというご期待もあったのだと思う。すぐに読まなきゃと思っていたが、それから9ヵ月も経過し、ようやく手にとって読みはじめたという次第。著者に面目ない。
先週金曜日、ふと、ウズベキスタンのことをもう少し知りたいと思い立った。僕は東京農工大学の先生方がウズベキスタン政府と行なっておられるシルクロード養蚕復興事業の関係で、ウズベキスタンの様子をまんざら知らないというわけではないのだが、首都タシケントの様子とかもっと知りたいと急に思うようになった。旧社会主義国家での生活ってどんな感じなのか、僕らの常識がどんなところで通じなかったりするのか、ふだんどんなものを食べているのか、等等。深読みしないで欲しい。純粋な興味以外に、他意はありませんので。
そうすると、手元にあるのは米田さんの著書。長きにわたって積読状態だったこの本、今こそ読むべき時だと考え、週末に京都・大阪を訪れた際、最優先で読むべき本として携行した。
入国審査での苦労話からはじまり、各国の文化交流の取組み状況の比較や、ウズベク人との付き合い方、さらにはウズベキスタンだけでなく中央アジア地域全体での経済開発の構想の話まで、実際にウズベキスタンに赴任するような日本人がいたら、非常に勉強になる情報が多い気がする。いや、ウズベキスタンに限らず、中央アジアに長期滞在するような人であれば、押さえておくべき情報が満載の、必携の書籍といえるだろう。
著者は、タシケントにある「日本センター」の所長という肩書で現地に2年間駐在されている。正直なところ、「日本センター」が何を行なうところなのか、今まで漠然としてしか知らなかったのだが、本書を読んでみると、ジェトロの海外ビジネスサポートセンターと国際交流基金(Japan Foundation)、日本大使館が持っている文化センター、それに日本の大学が国ごとに分担して設置している留学情報センターといった様々な機能を1ヵ所に集約したような機関だと理解した。これらの機能は、インドの場合は各機関ごとに分散していたが、なるほどこうして1ヵ所に集約するのはなかなか効率的なアプローチだなと思える。
社会主義の名残りについて感じさせられる場面がどういうところにあったか、仕事以外の場での現地生活はどんな感じだったのか、「文化交流」と副題にあるからには現地での剣道や柔道も考えられるのか、どんな稽古の様子なのか等、興味は尽きないが、これ以上はないものねだりが過ぎるか。何しろ、A5判というサイズ自体けっこう大きめなので、これ以上の記述は読み手にも少し負担感がありそうだし。
ロシア語もウズベク語もまったくわからないが、でも一度でいいから行ってみたくなった。
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