好成績の舞台裏 [趣味]
9月30日(日)に開催された秋季市民剣道大会は、僕にとっては望外ともいえる好成績だった。個人戦は2回戦で敗退、団体戦は2戦勝ち上がって3位入賞だが、副将としては1回戦、2回戦とも2本取ってチームの勝利に貢献できた。通算では3勝2敗。勝ち数が負け数を上回ったこともさることながら、今の僕にとってはベストに近い試合ができたという点では満足している。5試合もできたのだから、有意義な1日だった。
5月下旬の春季大会直後に痛めた右手首の靭帯は、2ヵ月近く稽古を自重して痛みは感じなくはなってきているが、面を空振りすると痛みが走るので、今でも手首をテーピングで固定して稽古にも臨んでいる。加えて、今週は木曜朝から胸の痛みで立っているのが苦しくなり、27日(木)は午後半休を取って自宅で横になって静養する事態にも陥った。この胸の痛みはなかなか回復せず、試合前日の29日(土)の稽古も休んだ。土曜日は末の息子の小学校の運動会と娘の中学校の文化祭が重なり、はしごするだけでも疲労困憊で、とても稽古できる体調ではなかったのだ。
去年は道場の夏合宿から始動し、かなり稽古を積んで万全の状態で試合当日に臨んだが、ピークが1週早く訪れてしまった感があって、試合当日は体が重かった。その反省もあったので、今年は始動自体を遅めにし、前日の稽古も休んで体力温存に努めて、当日の試合に臨んだのである。また、試合直前の胸の痛みがあったものの、今回は先月から今月にかけて相当な距離を歩いてきた。それも意識して早歩きで。無理したら膝の痛みに悩まされるところだったが、実家の母からもらったグルコサミン&コンドロイチンのサプリメントが効いたのか、痛みを感じることが少なく、当日も膝や足が万全の状態で試合に臨めた。ストレッチも相当念入りにやっている。
とはいっても、やみくもに稽古や運動だけやっているのがオヤジの剣道ではない。今回は下記の独習書を読み、その中で「これは」という技を稽古でも試してみるよう心がけた。この本は、2001年に僕が米国ワシントンで剣道をやっていた頃に購入したもので、基本技ばかりではなく、相当に実戦的な技の解説まで掲載されていて、非常に参考になる。加えて前日にはYouTubeで寺本将司先生の一本集を見てイメージトレーニングも行なった。
本書の中で、とりわけ僕が参考にしていたのは次のような技の解説だ。
①中心を攻めて面 pp.10-14
②小手を攻めて面 pp.18-19
③表から払って右面 pp.29-31
④面切り落とし面 pp.84-85
⑤小手すり上げ面 pp.98-100
⑥小手打ち落とし面 pp.104-106
⑦避けた後に面(1) pp.220-222
⑧避けた後に面(2) pp.222-224
⑨避けた後に小手 pp.224-225
⑤小手すり上げ面は現時点で僕が最も得意とする応じ技で、⑥小手打ち落とし面も試合で1本を取ったことがあって勘はつかめている。むしろ、合い面で競り負けないことと、右手首に負担のかからない右面打ちや裏からの面を習得すること、相手の技が尽きたところを攻められる技を習得することなどが僕の課題だと思っている。既に実戦で武器になっている技は復習し、これから武器にしたい技の説明は稽古に向けた予習のつもりで読んだ。
個人戦1回戦(参・四段の部):体格の良い選手。今まで一度も当たったことがない相手だったので、様子を見ようと静かに入った。小手を誘って得意のすり上げ面での1本を狙ったが、相手が小手よりも面で攻めてきているのがわかったので、こちらも表から払い右面とかで応戦。初戦はエンジンを暖めるために時間をかけて戦おうという目論見通り、延長戦に入り、1本勝負の時にしか出さないと決めている出ばな小手をここぞというタイミングで繰り出して見事に1本取った。会心の試合。
個人戦2回戦(参・四段の部):春季大会の団体戦で当たって2本連取して勝ったことがある相手。その時は小手すり上げ面と出ばな小手で勝っている。その時のイメージがあったので、また小手狙いかと思っていたら案の定で、開始早々に小手すり上げ面で1本先取した。そこから相手は明らかに面を攻めてくるようになった。身長からいって僕の方が面の打ち合いでは有利だと思ったのが油断だったか、面打ちにフェイントを入れたりバリエーションを加えて来た相手の工夫に応じきれずに見事な面をもらい、3本目は恥ずかしながら合い面で競り負けた。いずれも応じるタイミングが遅すぎだ。これは歳をとってきたら当然ある事態なので、相手の攻撃を避けた後の技をもっと練習しておかねばと痛感させられる。ちょっと悔いが残る試合。
団体戦1回戦:2勝1分で臨んだ副将戦。初めて対戦する相手で、これまで試合をされるのを見たこともない方との対戦だった。ただ、上背は僕の方が上。個人戦の反省もあったので、上背を生かして面から攻めることにした。表からの払い右面が決まって1本先取し、その後も面を中心に攻めたが、その面にバリエーションをつけようと考え、遠間から小手を打つと見せて一気に飛び込み面を出したら、見事に当たった。本日会心の一撃だった。応じ技ではなく、攻めて2本連取できたから。
団体戦2回戦:先鋒が2本負けし、次鋒は1本先取されたところから2本取り返して辛うじて勝つという不安な試合展開。中堅が2本取って勝ってくれたので、ようやく自軍優勢な展開に持ち込めた。副将戦は負けられない一戦。僕よりも体格の良い相手。僕達と同じ道場に息子さんを通わせておられるお父さんで、息子同士の地稽古ではうちの末っ子はものすごく分が悪いらしい。ただ、お父さんは普段は観戦されているだけで、稽古には参加されていない。ある意味こちらの剣道はよく研究されていて、相手の手の内があまり見えていない相手である。とはいえ、体格を考えたら面で攻めてくるだろうと予想し、面を引き出して返し胴か出ばな小手で決めようと考えて試合に臨んだ。序盤出ばな小手で1本先取できたので、次は稽古でもほとんど見せていない返し胴で決めたいなと思いながら戦っていたが、技が尽きて相手の小手が一瞬ガラ開きになったので、体が自然と反応して小手で2本目も決まった。会心、というよりも、勝ててホッとした一戦。
団体戦準決勝:先鋒、次鋒と2本負けを喫し、中堅で辛うじて引き分けて臨んだ副将戦。負けたらジ・エンドだが、相手は五段の選手。ここまでの団体戦は全て出ばな小手で2本取って勝ち上がってきた方だった。明らかな小手狙いの相手に対し、こちらも小手から攻めることにしたが、それでも術中にはまってしまい、開始早々に1本先取されてしまった。(本当は僕の小手に当たっていなかったけれども、タイミング的には完ぺきで、旗が3本上がっても文句は言えない。)2本目も僕なりに粘っていい小手も入ったと思ったが、こちらの技が尽きた一瞬のタイミングで相手の小手をもらってしまった。悔しいが、あんなに速い打突は僕には無理だ。せめて1本は取りたかっただけに、悔しさの残る結果だった。
普段の稽古からそうだが、僕は近間から動いて出ばな小手をもらうケースが多い。明らかに出ばな小手狙いの相手の注文に応じてしまう悔しさをいつも感じている。そこの部分の修正ができていない状態で試合に臨んだので、結果的には出ばな小手2本で負けた団体戦の3戦目は今の僕ではなんともならない。今後の稽古でなんとか克服していきたい課題だ。
昼休みの頃までは快晴だった天候も、試合が進んで団体戦が大詰めになる頃には空が厚い雲に覆われ、時折暴風雨が襲ってくる予報通りの悪化だった。無事に大会が開催されたのでホッとした。
これからも、本書を時々読み返しながら、技の修練に努めていきたい。
5月下旬の春季大会直後に痛めた右手首の靭帯は、2ヵ月近く稽古を自重して痛みは感じなくはなってきているが、面を空振りすると痛みが走るので、今でも手首をテーピングで固定して稽古にも臨んでいる。加えて、今週は木曜朝から胸の痛みで立っているのが苦しくなり、27日(木)は午後半休を取って自宅で横になって静養する事態にも陥った。この胸の痛みはなかなか回復せず、試合前日の29日(土)の稽古も休んだ。土曜日は末の息子の小学校の運動会と娘の中学校の文化祭が重なり、はしごするだけでも疲労困憊で、とても稽古できる体調ではなかったのだ。
去年は道場の夏合宿から始動し、かなり稽古を積んで万全の状態で試合当日に臨んだが、ピークが1週早く訪れてしまった感があって、試合当日は体が重かった。その反省もあったので、今年は始動自体を遅めにし、前日の稽古も休んで体力温存に努めて、当日の試合に臨んだのである。また、試合直前の胸の痛みがあったものの、今回は先月から今月にかけて相当な距離を歩いてきた。それも意識して早歩きで。無理したら膝の痛みに悩まされるところだったが、実家の母からもらったグルコサミン&コンドロイチンのサプリメントが効いたのか、痛みを感じることが少なく、当日も膝や足が万全の状態で試合に臨めた。ストレッチも相当念入りにやっている。
とはいっても、やみくもに稽古や運動だけやっているのがオヤジの剣道ではない。今回は下記の独習書を読み、その中で「これは」という技を稽古でも試してみるよう心がけた。この本は、2001年に僕が米国ワシントンで剣道をやっていた頃に購入したもので、基本技ばかりではなく、相当に実戦的な技の解説まで掲載されていて、非常に参考になる。加えて前日にはYouTubeで寺本将司先生の一本集を見てイメージトレーニングも行なった。
実戦のための剣道講座 ここ一番に役立つ技八十九手 (剣道日本)
- 作者: 小川 春喜
- 出版社/メーカー: スキージャーナル
- 発売日: 2001/11/01
- メディア: 単行本
内容紹介
剣の理法に則った技を、心理面にもふれながら豊富な写真によってわかりやすく解説。技の使用法やしかけるポイント、稽古でのアドバイスなど、実戦での勝利に向けてより多くの技を知り、体得する。奥深い剣道へ実力アップの一冊。
本書の中で、とりわけ僕が参考にしていたのは次のような技の解説だ。
①中心を攻めて面 pp.10-14
②小手を攻めて面 pp.18-19
③表から払って右面 pp.29-31
④面切り落とし面 pp.84-85
⑤小手すり上げ面 pp.98-100
⑥小手打ち落とし面 pp.104-106
⑦避けた後に面(1) pp.220-222
⑧避けた後に面(2) pp.222-224
⑨避けた後に小手 pp.224-225
⑤小手すり上げ面は現時点で僕が最も得意とする応じ技で、⑥小手打ち落とし面も試合で1本を取ったことがあって勘はつかめている。むしろ、合い面で競り負けないことと、右手首に負担のかからない右面打ちや裏からの面を習得すること、相手の技が尽きたところを攻められる技を習得することなどが僕の課題だと思っている。既に実戦で武器になっている技は復習し、これから武器にしたい技の説明は稽古に向けた予習のつもりで読んだ。
個人戦1回戦(参・四段の部):体格の良い選手。今まで一度も当たったことがない相手だったので、様子を見ようと静かに入った。小手を誘って得意のすり上げ面での1本を狙ったが、相手が小手よりも面で攻めてきているのがわかったので、こちらも表から払い右面とかで応戦。初戦はエンジンを暖めるために時間をかけて戦おうという目論見通り、延長戦に入り、1本勝負の時にしか出さないと決めている出ばな小手をここぞというタイミングで繰り出して見事に1本取った。会心の試合。
個人戦2回戦(参・四段の部):春季大会の団体戦で当たって2本連取して勝ったことがある相手。その時は小手すり上げ面と出ばな小手で勝っている。その時のイメージがあったので、また小手狙いかと思っていたら案の定で、開始早々に小手すり上げ面で1本先取した。そこから相手は明らかに面を攻めてくるようになった。身長からいって僕の方が面の打ち合いでは有利だと思ったのが油断だったか、面打ちにフェイントを入れたりバリエーションを加えて来た相手の工夫に応じきれずに見事な面をもらい、3本目は恥ずかしながら合い面で競り負けた。いずれも応じるタイミングが遅すぎだ。これは歳をとってきたら当然ある事態なので、相手の攻撃を避けた後の技をもっと練習しておかねばと痛感させられる。ちょっと悔いが残る試合。
団体戦1回戦:2勝1分で臨んだ副将戦。初めて対戦する相手で、これまで試合をされるのを見たこともない方との対戦だった。ただ、上背は僕の方が上。個人戦の反省もあったので、上背を生かして面から攻めることにした。表からの払い右面が決まって1本先取し、その後も面を中心に攻めたが、その面にバリエーションをつけようと考え、遠間から小手を打つと見せて一気に飛び込み面を出したら、見事に当たった。本日会心の一撃だった。応じ技ではなく、攻めて2本連取できたから。
団体戦2回戦:先鋒が2本負けし、次鋒は1本先取されたところから2本取り返して辛うじて勝つという不安な試合展開。中堅が2本取って勝ってくれたので、ようやく自軍優勢な展開に持ち込めた。副将戦は負けられない一戦。僕よりも体格の良い相手。僕達と同じ道場に息子さんを通わせておられるお父さんで、息子同士の地稽古ではうちの末っ子はものすごく分が悪いらしい。ただ、お父さんは普段は観戦されているだけで、稽古には参加されていない。ある意味こちらの剣道はよく研究されていて、相手の手の内があまり見えていない相手である。とはいえ、体格を考えたら面で攻めてくるだろうと予想し、面を引き出して返し胴か出ばな小手で決めようと考えて試合に臨んだ。序盤出ばな小手で1本先取できたので、次は稽古でもほとんど見せていない返し胴で決めたいなと思いながら戦っていたが、技が尽きて相手の小手が一瞬ガラ開きになったので、体が自然と反応して小手で2本目も決まった。会心、というよりも、勝ててホッとした一戦。
団体戦準決勝:先鋒、次鋒と2本負けを喫し、中堅で辛うじて引き分けて臨んだ副将戦。負けたらジ・エンドだが、相手は五段の選手。ここまでの団体戦は全て出ばな小手で2本取って勝ち上がってきた方だった。明らかな小手狙いの相手に対し、こちらも小手から攻めることにしたが、それでも術中にはまってしまい、開始早々に1本先取されてしまった。(本当は僕の小手に当たっていなかったけれども、タイミング的には完ぺきで、旗が3本上がっても文句は言えない。)2本目も僕なりに粘っていい小手も入ったと思ったが、こちらの技が尽きた一瞬のタイミングで相手の小手をもらってしまった。悔しいが、あんなに速い打突は僕には無理だ。せめて1本は取りたかっただけに、悔しさの残る結果だった。
普段の稽古からそうだが、僕は近間から動いて出ばな小手をもらうケースが多い。明らかに出ばな小手狙いの相手の注文に応じてしまう悔しさをいつも感じている。そこの部分の修正ができていない状態で試合に臨んだので、結果的には出ばな小手2本で負けた団体戦の3戦目は今の僕ではなんともならない。今後の稽古でなんとか克服していきたい課題だ。
昼休みの頃までは快晴だった天候も、試合が進んで団体戦が大詰めになる頃には空が厚い雲に覆われ、時折暴風雨が襲ってくる予報通りの悪化だった。無事に大会が開催されたのでホッとした。
これからも、本書を時々読み返しながら、技の修練に努めていきたい。
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