『電子書籍の時代は本当に来るのか』 [読書日記]
内容(「BOOK」データベースより)少し前に、電子書籍関連の本を2冊ほど紹介したことがあるが、その際に市立図書館に予約していた本が他に2冊ほどあり、うち1冊は早めに取り置きされたので、今月初旬に借りた。ただ、何となく電子書籍に対する興味がその後薄れてしまったので、予約中だったもう1冊は予約キャンセルし、借りてしまった本書については、ダラダラと読んでいた。途中貸出期間の延長も入れて…。
iPadやキンドルの登場により、日本でもいよいよ電子書籍の時代が始まると騒がれている。しかし、アメリカから来たこのブームはすぐにも定着するのだろうか?そのとき、紙のメディアは生き残れるのか?本書は、こうした不透明な先行きに冷静かつ確かな展望をもつために不可欠の(しかし見落とされがちな)ポイントを、グーグル、アップル、アマゾンらの最新の動向と、それに対峙する日本の出版社・新聞社の試みとを丹念に取材・分析することで、あざやかに浮き彫りにする。
普段僕らの知らない世界の話なので、面白かったといえば面白かったのだが、限られたトピックを相当深く掘り下げて描かれていて、話のフォーカスがどこにあるのかよくわからなくなってしまった。著者の知識が相当豊富で、あれもこれも盛り込みたいという気持ちはよくわかるのだが、凡人の理解能力を超えている。ましてや読んで学ぼうという気力を相当に減退させている今の状況では、頭に入って来るものも入ってこない。著者の方に申し訳ない。
ただ、その一方で感じたのは、この手の本は旬を過ぎたらとたんに価値が下がるのではないかということだ。技術革新は相当なスピードで進んでおり、2年前に描かれていた当時最先端だった技術やそれに伴う様々な論点が、今となっては時代遅れで、全く役に立たないということがある。本書全体がそうだと言うつもりはないが、現在は当時と比べてもっと話が進展しているところもあり、そういうのを本にする時の難しさを少し感じさせる本だった。
本書とは関係がないが、8月23日(木)の日経新聞夕刊に、「簡単!作家デビュー術-電子書籍出版サービス広がる」という特集記事が掲載されていた。この記事にすかさず反応したのが中1の娘だった。学校で漫画文化研究会(漫研)に所属する彼女は、自分が描いた漫画を誰かに見てもらうことを考えて、お手軽な作品公開手段としての電子書籍出版に興味を持ったようだ。今、電子書籍に関するより実践的な情報を必要としているのは我が家では娘なのかもしれない。
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