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『ストーリーとしての競争戦略』 [読書日記]

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

  • 作者: 楠木 建
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2010/04/23
  • メディア: 単行本
内容紹介
戦略の神髄は 思わず人に話したくなるような面白いストーリーにある!
大きな成功を収め、その成功を持続している企業は、戦略が流れと動きを持った「ストーリー」として組み立てられているという点で共通している。戦略とは、必要に迫られて、難しい顔をしながら仕方なくつらされるものではなく、誰かに話したくてたまらなくなるような、面白い「お話」をつくるということなのだ。本書では、多くの事例をもとに「ストーリー」という視点から、究極の競争優位をもたらす論理を解明していく。
僕がいつも訪ねる近所のコミセン図書室は、住民が借りて2週間で読み切れるぐらいの分量の本を蔵書として抱えている。200~300頁程度の小説が多くなるのは自明であり、500頁もあるような専門書はかなり珍しい部類に入る。そもそも2週間程度では専門書を読み切るのは難しい。何故それでもコミセンは本書を購入して蔵書に加えたのか。それは、本書が経営学の本としてはよく売れているからだろう。「読書メーター」では1000人近い人が本書を登録しているし、多くの人が読了後「面白い本だ」とコメントもしている。分厚い割には文章は平易で読みやすい。だから、2週間であってもある程度は読めるだろうという読みもあっただろう。

だから、僕も読んでみた。1週間の夏休みを取る予定もあったから、休みの間にそこそこ読み進められるだろうと考えていた。結果から言うと、僕の読みは外れた。夏休みの期間も含め、僕は会社から持ち帰ったある作業に没頭しており、他の書物を読んでいる時間を完全に失っていた。休暇明けの職場も、朝の7時半から出勤し、20時頃まで作業に専念し、そんな生活を3日続けて本日に至っている。つまり、読んでいる時間は朝と夜の通勤時間と、就寝前の枕元での読書など、限られた時間しかなかったのである。結局、400頁に到達したところで、返却予定日を迎えてしまった。もうギブアップだ。

僕は、タイトルだけを見て、本書は企業の戦略をエスノグラフィーとしてまとめる手法を提唱した本だろうと勝手に期待した。社史とはちょっと違うが、企業の戦略をストーリーとして文章に残すのは、僕が今取り組んでいることとも通じるところが多い。でも、読み始めてみると、イメージしていたものとちょっと違うように思った。

この本は、「良い戦略とは他人に説明するときに面白いストーリーでなくてはならない」と言っている。実際、本書で取り上げられている、アマゾン、サウスウエスト航空、スターバックス、マブチモーター、ホットペッパー、アスクルなどの事例は、読んでいて確かに面白いストーリーになっていると思う。ただですね、他社のストーリーをいくら読んだところで、我が社の戦略策定には直接は繋がらないような気がする。結局のところ、我が社の戦略はといった場合、僕らは明文化された割と短い戦略ペーパーを求める。長いストーリーではなく、それでもわかりやすい、社員が理解して追従するものだ。他人に説明するのに面白いストーリーをと言われても、長かったら聞いてもらえないではないか。それに、他社の競争戦略ストーリーを面白いからと他人に語ってもしょうがないし。

勿論、普段からお世話になっているアマゾンや、スタバとドトールの違いとかに関する記述は勉強になった。今度スタバやドトールを使う時には、そういう視点から観察してみたいと確かに思う。でも、自分なりの分析手法を習得しなかったら、結局のところは他人が描いた他社のベストプラクティスを見せられるだけのことに過ぎない。(著者は、コンサルタントが集めてくるベストプラクティスを役に立たないものとバッサリ斬っているが、本書で著者がやっていることも、言ってみればベストプラクティスの紹介であるのは同じだ。)

結局、読み切れなかったのはそういうご縁だったのだろうと開き直るしかない。500頁もある大書で、しかも著者の要望は1頁目から読み飛ばさずに読み進めてほしいという要望で、それをこの繁忙期に詠まなければならないというのは、本書とは縁がなかったのだとしか思えない。機会があればまた挑戦してみたいが、企業経営のエスノグラフィーを学ぼうと思ったら、もっと別の本があるのではないかという気もするので、いつ読めるのかは定かではない。


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