SSブログ

『変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから』 [読書日記]

変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから

変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから

  • 作者: 清水 義晴
  • 出版社/メーカー: 太郎次郎社
  • 発売日: 2002/12
  • メディア: 単行本
内容(「MARC」データベースより)
「ただの人」が社会を変えていく実例集。元気の出るまちづくり、親たちの手で学校改革、仕事を「快労」にする秘訣、市民主導の市長選び。停滞ムードを蹴っ飛ばす本。

7月22日は別の記事を準備していて、いったん掲載したが、思うところがあって掲載を取りやめ、先延ばしすることにした。代わりといっちゃなんだが、他に準備していた記事を繰り上げてご紹介することにする。

昨年秋、大学院のOBのIさんが一時帰国したのを契機に、集まれるOBで集まってプチ同窓会を東京・八重洲で開いた。僕はちょうど国内出張の帰りで、京都から新幹線に乗り、2時間近く遅れて合流し、ほとんど終わりかけの宴席になだれ込んで残っていた食事とお酒をさらえるのに貢献した。一時帰国中のIさんは、南アジアの某国に帰るのに本を大量に買い込んでおられたことから、話題はなんとなく最近読んだお薦めの1冊というのになった。

僕は自分が読んだ本はこのブログでほぼあまねく紹介しているので、それを読んで下さっていたIさんは、参考にして購入された本が既にあるという。そこで同席されていたUさんが、今読んでいる本ということでバッグから取り出されたのが、本日紹介する『変革は、弱いところ、小さいところ、遠いところから』である。

Uさんは、著者の清水氏をご存知で、それで読まれていたのだと思われる。付箋だったか単にページに折り目を入れておられたのかどちらだったのかは記憶していないが、引用したい記述がそこらじゅうにあるとその場では仰っていた。

確かに、アマゾンや読書メーターの感想を読んでいると、「生きる種、仕事の種がいっぱいある本」、「地域づくり、まちづくりの教則本」、「明日に役立つ本」、「新時代の日本を垣間見せてくれます」、「勝つことよりも、つながること」、「日本スタイルの参加型開発」といった高い評価が並んでいる。実際に読んでみると、どうもこの本は清水氏へのインタビューをもとに別のライターが再構成した本らしく、もう少し深く掘り下げて欲しいところとか、同じ事例を重複して出すなら1ヵ所に集約して欲しいとか、多少の注文はあるけれど、確かに著者が関わった地域づくりの事例が多く取り上げられており、マーカーを引きたくなるような含蓄のある記述も確かに多い。

清水氏の功績をある程度理解した上で読むのであれば、本書でも十分わかりやすいに違いない。ただ、僕のように清水義晴という方にほとんど予備知識がない者がいきなり読むと、清水氏が親から引き継いだ印刷会社の社長職を38歳で辞め、新潟県はおろか日本全国の地域づくりに関わるようになっていったプロセスが時系列的に整理されずに書かれているので、清水義晴が関わる地域づくりというのがどのように進んでいくのか、それに清水氏はどのポイントからどう関わったのか、もし彼が関わらなかったとしたらその地域づくりはどうなっていたのかが、理解しづらいなと感じた。

本書を読んでみれば、清水氏が相当優れたファシリテーターであったことは想像がつく。しかし、本書には、清水氏がどうやってそのスキルを身につけていったのかは書かれていないし、全国に広がる彼のネットワークがどのように出来上がっていったのかもよくわからない。そして、清水氏なかりせば、こううまくいかなかったのではないかと思われる事例が多い気もした。

これからの日本を考えた時に、清水氏のようなファシリテーターがもっと多く必要になってくると思う。地域のリーダーは元々その地域に住んでいる人々の中から現れるものだが、ファシリテーターはちょっと違う。本書は地域づくり、まちづくりの事例集にはなっており、それを読んだ地域の人々が、その中からヒントを得ることはできると思うけれど、僕は、清水氏のような人が増えていくには、或いは清水氏のようになるにはどうしたらいいのかというのがもう少し可視化できたらよかったなという気がした。

さて、僕はこの本はアマゾンで注文して購入した。僕の地域デビューは既に始まっているが、地元のシニアの方々と同じ集まりに出て、話し合いが紛糾するたびに、こういう時に有能なファシリテーターがいたら喋るだけ喋って人の話を聞かない参加者に対してどのような問いかけをするのだろうかと考える。本書も含めて僕の住む地域の外にある好取組事例にアンテナを張っておき、必要な時にすぐに引き出しから取り出せるようにしておきたい。そのために自分の書棚に本書はとっておきたいと思う。

nice!(6)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0